〈社説〉泊原発再稼働 拙速に判断すべきでない

 北海道の鈴木直道知事が、北海道電力泊原発3号機の再稼働を容認する考えを示した。

 原子力規制委員会の審査に合格してから、わずか4カ月である。

 北海道電は新規制基準を踏まえて防潮堤を造り直している。再稼働は早くても2027年の見通しだ。一方、先月下旬まで道内各地で開いた住民説明会では、再稼働や事故時の避難計画の実効性などについて参加者から多くの懸念や不安が出された。

 こうした状況でなぜ容認を急ぐのか。住民の声に向き合うのが先ではないか。知事の判断は拙速だと言わざるを得ない。

 道議会の一般質問で「原発の活用は当面取り得る現実的な選択と考えている」と述べた。きのうは3号機を視察し、原発周辺町村の首長と面談した。今後、最終的に判断するとしている。

 知事は容認の理由として、道内で高まる電力需要や、北海道電が再稼働後の電気料金値下げの見通しを公表したことなどを挙げた。

 需要増の背景には、電力を大量に使う企業の道内進出がある。政府も出資するラピダスは27年の次世代半導体量産を掲げ、ソフトバンクは国内最大規模の人工知能向けデータセンターを建設中だ。

 道内の経済団体は早期の再稼働を知事や原発周辺の4町村に要望してきた。4町村は再稼働への同意を表明している。

 だが、住民説明会では、北海道電が原発を再び動かすことへの不安や不信感も浮かび上がった。

 3号機は規制委の審査に合格するまで過去最長の12年を要した。データの流用など北海道電の数々の不手際が要因だ。敷地内の活断層が論点となったが、規制委からは地震や津波などについて専門的な議論に応じられる人材が不足しているとまで指摘された。

 住民らが廃炉を求めて起こした訴訟では、22年に札幌地裁が運転差し止めを命じる判決を出し、今も高裁で審理が続いている。

 さらに北海道電は、核燃料を荷揚げするための新たな港を原発敷地外に建設する計画という。原発とつなぐ専用道路も造るとするが、着工もしていない時点では安全性の確認は困難だ。

 知事の発言は、新潟県知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明して1週間後だった。拙速な判断が再稼働を当然視する流れを広げないか。発生から15年になる東電福島第1原発事故は、いまだ廃炉の道筋さえ見えない。今も故郷に帰れない人たちがいることを忘れてはならない。

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