検査の翌日、医師が患者に言う。「良い知らせと悪い知らせの二つがあります。良い方から話すと、あなたには24時間の余命があります」「えーっ。それじゃあ、悪い方は?」「きのう伝え忘れていたことです」▲欧米流ジョークらしい。「良い知らせと悪い知らせがある」と両こぶしを示すしぐさは洋画でもおなじみだろう。話し手と聞き手では、良い悪いの判断がずれやすいことを端的に教える▲込めた教訓はもう一つありそうだ。悪い知らせは後回しになりがち―。東京であった世界陸上の男子20キロ競歩でブラジル代表のカイオ・ボンフィム選手が金メダルを取ったものの、レース中に結婚指輪をなくした▲序盤で紛失に気付き、力が入ったという。愛妻の落とす雷にひやひやしながら歩いていたのかもしれない。「勝ったから、妻はいいよと言ってくれると信じている」。その後の成り行きが聞こえず心配していたら、大阪で落とし物として見つかった▲「落とし物が戻ってくる国」の面目を施したと喜び合いたいところだが、もやもやが晴れない。東京でなくした指輪がなぜ大阪で…。顚末(てんまつ)に疑問が残るとはいえ、終わりよければ全てよし、ということわざもある。