カープを初優勝に導いた古葉竹識(たけし)監督には持論があった。ドラフト導入から10年もたてば、理論上は戦力が均等になる。そこからライバル球団にどう差をつけるか。練り上げた優位点の一つが、左右どちらでも打てる「スイッチヒッター」である▲高橋慶彦、山崎隆造、正田耕三…。相手投手の利き腕にお構いなく、快打を連発する選手たちは「古葉野球」の代名詞に。指揮官が思い描いた通りにカープ黄金期の担い手となっていく▲新時代のスイッチヒッター像を示してくれそうだ。きのうのドラフトでカープは仙台大の平川蓮外野手を競合の末に1位指名した。大柄な体格と長打力は、赤ヘルの先輩たちにはなかったもの。過去の日本人選手を見渡しても例が思い浮かばない▲両打席で一流となるには人の2倍以上の努力が要る―。先輩たちが口をそろえてきた言葉だ。早世した木村拓也さんも利き腕とは異なる左手での食事を自らに課していた。努力の遺伝子はチームに脈々と息づいている▲古葉監督は、山本浩二と衣笠祥雄(さちお)に代表される同学年の選手の「競争心」も底上げにつなげた。一挙6人が指名された大学生に期待が膨らむ。ぜひ一丸となって令和の黄金期を。