瀬戸内沿岸には、特産物を示す決まり文句がある。山口の「防長三白」は塩と米、和紙を指す。岡山の「児島三白」は塩に綿、イカナゴのこと。塩と綿に和三盆糖が加わるのは香川の「讃岐三白」だ▲かつて盛んだったなりわいの歴史をとどめる色である。青い海、白い砂浜からの連想で「瀬戸内色」と呼ばれる列車もある。青い帯を巻いた、淡いクリーム色の車体。山口県内の山陽線を現役で走っている。近く車体の塗り替えで、その色が消える▲まだ国鉄時代の1982年にお目見えし、広島、山口両県内を30年余り走っていた。朝夕の通勤で揺られた人もいよう。おととし、JR西日本が8年ぶりに色を復活させ、運行してきた▲白と青の瀬戸内色には、白砂青松のイメージも重ねられているに違いない。だが海面の埋め立てや松枯れがあちこちで進んだ。輝くような砂と青々とした松原の織りなす景色は、今や絶滅寸前にも映る。変わらずに息づくのは唱歌の世界くらいかも▲「絵になる風景」は、地域づくりや観光のキーワードになっている。おんぶに抱っこするつもりは毛頭ないが、訪日客の耳目も集めるだろう。新たな時代の瀬戸内カラーづくりが待たれる。