水前寺清子さんの代表曲「三百六十五歩のマーチ」はデビュー5年目の作品だ。既に演歌でヒット連発の水前寺さんへ、歌の幅を広げて「息の長い歌手になるように」と周防大島出身の作詞家星野哲郎さんが用意したという▲この2人で、自民党のイメージソングを手がけていたのには驚いた。結党から14年後のことで、曲のタイトルは「話しあいのマーチ」。赤いソノシートに収められ、関係者らに配られた▲「三百六十五歩の―」に比べ勇ましい曲調。何でも言える。何でも聞ける。そんな〈自由がここにあるんだぜ〉と呼びかける。派閥の権力闘争激しい時代の緊張感も、どことなく漂う気がする▲派閥なき時代の高市早苗政権は、物を言いやすいのだろうか。防衛力の強化に前のめりで、改憲やスパイ防止法の議論も急ぎ足の構え。持論を振り回すより丁寧な議論が求められように▲自民党はきょう結党70年の節目を迎えた。ハト派の重鎮、宮沢喜一元首相は憲法が「日本という体に合うように運用されてきた」と語っていた。時に激しく、時に慎重に話し合い、憲法解釈を積み重ねたことを指す。日本という体を、武器を構えるために変えるのならごめんである。