カープファンが選ぶ、思い出の本塁打ランキングを想像すると楽しい。「ミスター赤ヘル」が最後の日本シリーズで放った読みの一発、元祖怪物に引退を決意させた「若大将」のサヨナラ弾。「天才」が自らのミスを挽回した涙のアーチも忘れ難い▲1位は不動だろう。50年前の10月15日、初優勝を決定づけたホプキンス選手の3ランだ。多くの願いを乗せ、右翼席へ力強く、美しく描かれた弾道。リアルタイムでなくても映像や口伝えで胸を熱くした人は多いはず▲懐かしいユニホーム姿がよみがえった。きのうのカープレジェンドゲームに米国から駆け付けたホプキンスさん。素手でバットを握り、82歳と思えぬ力強いスイングで観客席を沸かせた▲バットからメスへ。引退後に外科医へ転じたレジェンドだ。広島時代も練習の合間に医学書を読み、広島大の研究室に通う「二刀流」で準備を重ねた。負けや諦めを嫌い、懸命に努力する姿が弱小チームを変えていく▲当時の平均寿命を見据え「野球は35歳まで。残り35年は医学」との意志を貫いた。さしずめ今はすてきな延長戦だろう。本人が「人生を変えた」と懐かしんだ一発に、私もとうなずくファンの姿が浮かぶ。