「リュウジ、信じてるからな」ミームの“横取り”はなぜ起きたか
近頃「(料理研究家)、信じてるからな」というミームが流行した。このミームは、もともと料理研究家の長谷川あかり氏が公開した一見不安を誘うシンプルすぎるレシピが発端となり、𝕏上で調理工程の写真とともに「あかりー!信じるぞー!!」云々の不安と信頼が入り混じったユーモラスなコメントを付け加えたポストが人気となった。
その後、ミームは他の人気料理研究家にも波及した。山本ゆり氏には「ゆり、信じてるぞ」、リュウジ氏には「リュウジ、信じてるからな」、つくりおき食堂のまりえ氏には「まりえ、信じてるぞ!」といった形で広がり、特にまりえ氏は自ら「まりえ、信じてるぞ!お待ちしてます🥺」とポストしている。
結果的に言えばリュウジ氏に向けた「リュウジ、信じてるからな」がもっともポストされ流行の中心になった。この結果𝕏のAI自動まとめも「リュウジのミーム」と題名をつけており、長谷川あかりのファンなどからは「ミームを横取りされた」等とする意見がいくつか見られた。もちろんファンが勝手にリュウジ側に投げていたのが大きくなっただけでリュウジ氏が能動的にミームを横取りしたということはないのだが、私もこの手の紹介をするときは努めてオリジネーター側を紹介するようにしているし、「横取り」と言いたくなる気分は理解できる。
あかり vs リュウジの扱いの差
ここで注意すべきは、長谷川あかり氏へのリプライとリュウジ氏へのリプライは、かなり質が異なることである。
今回のミーム流行の発端となった最初の長谷川あかり氏への引用リプライに対しては、「見ず知らずの女性に対して馴れ馴れしい口調でリプライをつけるのがキモい」という意見が複数見られた。この感覚は私自身も感じ、少なからずの人が同じことを思っていたようである。
この料理研究家を呼び捨てにするやつ本当に気持ち悪い、ネット以外のリアル社会ででも滑ってそう
この、あかりって呼び捨てにするミームみたいなの嫌すぎる… 距離バグおこしてる人多すぎない? 推しだってのはわかるし、ネタなんだろうなもわかるけど、にしても見かけるたびにうわってなる (あかりさんのレシピはほんとうに好きだし本も全部持ってます)
一方で、リュウジに対してはクソリプと言っていいレベルのありとあらゆるリプライが飛んでいる。無関係の料理ならまだマシなほうで、料理風ネタ画像、料理と全く関係ない雑なポスト――ナウルの内閣、AI画像なりきり垢、ギャンブル、本人から名指しで意味わからんと言われている自己顕示欲女など、特に後半のほうはまあクソリプと呼んで差支えは全くないと思う。
ミームの"横取り"に見る慈悲的差別
社会には「男の方が雑に扱ってよい」という共通意識が存在することが指摘されている。例えば、職場において「男はタフな仕事をさせても良いが女には配慮しなければならない」といった業務割り当ての非対称性や、感情的な対応において「女を泣かせてはいけないが男は泣く方が悪い」といった規範意識として現れる。長谷川あかりからリュウジにミームの中心が移ったのは、まさにここが理由であると思われる。
女性である長谷川あかり氏に対しては、そもそも馴れ馴れしい口調を用いることが躊躇され、さらにミームとして機能するような雑なネタ投稿を投げつける行為は、さらに憚られる。
一方、男性であるリュウジ氏に対しては、男であるがゆえに「雑に扱っていい」という認識が働きやすい。その結果、ユーザーは気軽に馴れ馴れしい口調でリプライを送り、料理と無関係なネタ投稿も大量に行われる。
結果として、ミームを使用し拡散する一般人が、「雑に扱って構わない」という心理的な気楽さから、男性であるリュウジ氏をミームのターゲットとして選択したのであろう。
この現象は、ビジネスにおけるジェンダーバイアスと類似したメカニズムを示唆している。昔から、同じ能力、同じコストの男女がいた場合、男の方は雑に扱っても問題ないという潜在的な認識があるため、仕事を振る側に追加的な配慮コストがかからない。その結果、放っておくと男の方に受注が集まるというメカニズムが主張されてきた。
このように、「女性にきつい仕事をさせられない」という配慮をしたつもりが、結果的に女性から仕事を奪っていることが慈悲的差別の一種ではないかという議論はもう10年以上やられているのである。
今回のネットミームにおける「横取り」は、まさにこのメカニズムの好例と言える。追加的な配慮や遠慮といった「潜在的な追加コスト」がかからない対象、すなわち「雑に扱ってよい」と認識されている男性であるリュウジにミームの流行が集約した――その結果、リュウジはクソリプが大量に投げつけられるという負の面と同時に、仕事が増えるといっていいかどうかは知らないが、少なくとも注目が増えるという正の面も享受できたと言える。
しかしさあ
この件について、一年中喧嘩をやってる𝕏において、こういうネタは喧嘩にならないけどインプレッションが多くていいよなという話をしていたら、結局男女論に回収されるのって何と思うところはある。
もはやネットで荒れない聖地はわん🐶にゃん😺癒し動画✨しかないのか……まあその手の動画は無断転載botの赤い太洋で、近頃はAI動画も参戦してきた修羅場になっているのだが。



リュウジ氏はご本人の対応が割とお上手ですよね。虚無シリーズのような自虐をしつつも、過度なイジリには毅然とした態度とったり、燃えた時も変な燃料を投入しないバランス感覚がある。そう…
他は味の出来を信じる話というだけど、リュウジのほうは小さい鍋にミチミチにキャベツつっこむという見た目の無理っぽさが相俟って、無謀なチャレンジの写真にボケとして使うようなネタの広…