経営ビザで中国系「ペーパー会社」大阪で乱立、移民ビジネスの仕組み…500社超で「取締役」の日本側協力者も
報酬は、行政書士のビザ申請で15万~20万円。「取締役」になる場合は2万~3万円だったという。500社以上の「取締役」を務める司法書士法人の代表もいた。
■来日後は関与せず、ブローカーは「詐欺」
こうした「移民ビジネス」が成り立つのは外国人が海外にいたまま口座開設や法人登記を行うのが難しいためだ。日本に拠点を置く中国系法人や日本の不動産業者が「ブローカー」となり、司法書士らをつなぐ。中国人は資本金に加え、手続き費用に法外な値段を払い、「詐欺」と訴える人もいる。松村教授は「金もうけが目的で、中国人の来日後は一切関与しないのが問題だ」とする。
ただ、「中国の情勢にも左右されるが、あらゆる手段で中国を脱出しようとする人はなくならないだろう。距離的にも近い日本を移住先に選び、日本の不動産に投資しようという動きは続く」とみる。その上で、「実体がわからないから日本社会に外国人への不安が広がり、排斥の思考になる。日本に必要な人材を見極め、受け入れられるような制度を構築していくことが必要だ」と指摘する。
要件の厳格化はどのような影響をもたらすのか。筑波大の明石純一教授(国際政治経済学)は「資本金を6倍に引き上げたのは思い切った数字で、資金力に乏しい一定の層への影響は出る。それでも、日本は移住先の一つとして有力視されており、『経営・管理』の在留資格はその手段の一つとして残るだろう」と分析。「実体のない会社設立などが是正され、制度趣旨に合う健全な受け入れになっていくのが望ましい」と語った。 ※この記事は読売新聞とYahoo!ニュースの共同連携企画です。
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