外国人が日本国籍を取得する「帰化」の要件を、政府が厳格化する方向で調整している。高市早苗首相が平口洋法相に指示した検討の柱は、居住期間に関する条件である。帰化には5年以上の日本在住が求められる。国籍を取得せずに日本に住むことができる「永住許可」の取得条件である原則10年以上に比べて短い。
日本維新の会は9月に公表した外国人政策の提言で「より重い法的地位である国籍の方が、永住許可よりも取得要件が緩い逆転現象が生じている」と書いている。
旧知の石平氏は天安門事件をきっかけに中国と決別し、2007年に日本国籍を取得した。今年7月の参院選で維新から立候補し、参院議員になった。
彼によれば、日本国籍取得を法務局で申請する手続きは、まるで「クレジットカードの発行みたいだった」という。ようやく日本国民になれたと、ウキウキして手続きに行ったにもかかわらず、あっさり5分で終了した。身分証明書を受け取る部屋に国旗はなく、宣誓もない。「日本人になった自覚が全く持てなかった」という。
日本での国籍取得は他国との違いが際立つ。その条件が永住権取得に比べて緩いことに加え、そもそも、海外ではその際に「国に忠誠を誓う」と宣誓をするのが一般的である。米国では宣誓時に「元の国には忠誠を誓わない」ことも宣誓するそうだ。国籍の変更はそれなりの覚悟を持つことなのに、石平氏の表現を借りれば、クレジットカード発行並みの簡易さなのだ。
政治的には、厳格化の一環として、日本国への忠誠が問われるかもしれない。また、条件の5年が段階的に10年に引き上げることも想定できる。今の枠内でも、実務上の「厳格化」は可能だ。
形式的に5年の在住歴があっても、在留中に長く日本を離れていたり、離職していたりする期間があるなど、実質的には5年以上かどうかを、これまで以上に重視されるだろう。また税金と社会保険料の納付状況をより厳格に確認することも考えられる。
そのほかにも、雇用形態や転職の回数、収入の変動、頻繁な転居の有無、扶養家族の状況や家庭の生活実態など、国籍取得を認めるかどうかを厳格に判断する余地はいくらでもある。
国籍取得の成功率は8割とされ、永住権取得の成功率の5割よりも高いとされる。こうした厳格化によって、不可思議な逆転現象をどこまで適正化できるか。ちなみに永住権取得は出入国在留管理庁、帰化は法務局が所管である。ともに法務省であり、できないのはおかしいと言わざるを得ない。(たかはし・よういち=嘉悦大教授)