黒い沈黙の行先   作:シロネム

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明けましておめでとうございます。

仕事の都合上、不定期での更新になると思いますが、楽しみにお待ちいただけると幸いです!




~参上~ 便利屋の夜

 

 

「セリカちゃん、ケガはない?」

 

「うん、私は大丈……夫……」

 

 

 

(ぐらっ……)

 

 

 

「セリカちゃん!」

 

「ん、私が保健室に連れていく」

 

「Flak41の対空砲を食らってたんだもん、歩けるほうがおかしいよ~。ゆっくり休ませてあげよ~」

 

「いや、直撃してたのかよ……。生きてるだけすげぇよ……」

 

「大変なことになるところでした……。先生がいなかったら……」

 

「うんうん、先生のおかげでセリカちゃんの居場所を逃さず追跡できました☆」

 

"無事に見つかってよかった"

 

 

 

本当にな。見つからずに行方不明なんてよくあることだし、何も手を付けられていない状態で見つかるなんて、運が良かったというか……平和な世界で良かったよ。

 

 

 

「……皆さん。こちらを見てください」

 

「ん? こいつは、戦車の部品か……?」

 

「はい。戦闘中に回収した戦車の部品です。……調べた結果、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました」

 

「違法機種……ですか……?」

 

「一体どこで手に入れたんだろうね~」

 

「……となると、入手経路を調べれば、物資を支援してる存在が割り出せそうだな」

 

「はい。ただのチンピラが、なぜここまで執拗に私たちの学校を狙っているのかも、明らかになるかもしれません」

 

「うん、分かった。じっくり調べてみよっか~」

 

「……」

 

 

 

キヴォトスの基準が分からないが、違法物を扱っている闇市があったとして、……戦車を買うだけの資金を子供だけで用意できるとは思えない。

 

 

 

……裏にいる奴は、それなりの金と力がありそうだな。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「う、うぅ……。何者だ、貴様らは……」

 

「……ふふふ」

 

「ま、まさか、アビドスの!? ……よくも我々を!」

 

「……アビドス? 何か勘違いしていないかしら? ……雇い主はあなたたちと同じ、カイザーよ」

 

「なっ、なんだって!?」

 

「伝言を伝えに来たわ。……あなたたちはクビよ。現時刻をもって、アビドスは私たちが引き受けるわ」

 

「ふっ、ふざけるな! 貴様らは一体……」

 

 

 

(バンッ!)

 

 

 

ゼロ距離から放たれた()()()の弾丸が、話し相手の腕を切り飛ばす。突然の出来事に何が起きたのか理解できなかったが、飛び散った鮮血と遅れて襲ってくる痛みから、その場に蹲ってしまった。

 

 

 

「うわあああっ!! う、腕が……」

 

「……はぁ。さっさと失せなさい。……あなたたちも、死にたくないでしょう?」

 

「ひっ……。あ、あぁ……」

 

「……社長。それぐらいでいいと思う」

 

「そうそう~。殺せって指示だったけど、これだけ血が出てれば十分誤魔化せると思うよ」

 

 

 

(パシャッ!)

 

 

 

スマホのフラッシュライトが、地に濡れた地面を明るく照らす。

 

 

 

「ア、アル様あああ! ち、血が服に……」

 

「……いいのよ、ハルカ。……聞きなさい。私たちは便()()()。金さえ貰えれば何でも引き受ける、便利屋68よ」

 

「べ、便利屋……68……」

 

「……暫く姿を隠しなさい。私たちの他に、赤の便利屋青の便利屋も動いてるわ。……このままだとあなたたち、カイザーに消されるわよ」

 

「ひっ……、わ、分かった……。分かったから、こ、殺さないで…………!」

 

 

 

倒れ伏す仲間を引き連れその場を後にする。……残された便利屋は顔に飛跳ねた血を、

 

 

 

――震える手で拭った。

 

 

 

「……ん? ……まずい。社長、今すぐ撤収しよう」

 

「あ、あら……? どうかしたのかしら、カヨコ」

 

「……()()()が向かってきてる。こっそり付けた発信機が近づいてるから、間違いない……」

 

「……噓でしょ? ……う、嘘だと言ってよカヨコ!」

 

「本当。……とにかく、すぐに離れよう」

 

「撤収~!」

 

「い、行きましょう! アル様!」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――深夜

 

 

セリカの様子が気になった先生は、保健室を訪れていた。

 

 

 

(ガラッ)

 

 

 

「あ、れ……? 先生!? ど、どうしたの?」

 

"お見舞いに来たよ"

 

「……あぁ、私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないし」

 

 

 

手慣れた手付きでリンゴの皮を剝く。食べやすい大きさにカットされたリンゴは、時間もあってかセリカの空腹を刺激した。

 

 

 

"……一緒に食べよう? 私もお腹すいちゃった"

 

「うっ……。い、頂くわ……。……ありがとう、先生」

 

"どういたしまして"

 

「……あっ、美味しい。……じゃなくて! 私、もう元気だから! バイトもあるし、明日から復帰するわ」

 

"うん、元気なら良かった"

 

「……じゃ、じゃあ! また明日ね、先生! ……リンゴ、美味しかったわ」

 

 

 

保健室を飛び出す。……その場に残された先生は、リンゴを一切れ口に入れた。

 

 





赤の便利屋に青の便利屋……。

一体どんな奴らなんだろうなぁ~


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