ローラン君、図書館で勘が鈍ったかな?
駄目じゃないか、ドローンにも注意を払わなくちゃ。
「あ、見つけました!」
アヤネのドローンが代理人を映し出す。距離のおかげか、どうやら代理人には気づかれていないようだ。
「ここって、公園ですか~?」
「ん、公園。結構遠い」
「どこまで行ってるのよ!」
"ホシノちゃんは……、……ちょうど、合流できたみたいだね"
「……ん? ちょっとアヤネ。二人の会話、聞き取れないんだけど」
「調整するので、ちょっと待ってください」
「……? ホシノ先輩?」
「どうしたんですか~☆ シロコちゃ……」
アヤネのドローン越しに見えた光景は、ホシノがローランにショットガンを向けている様子だった。
「ちょ、ちょっと! なんで戦おうとしてるのよ!」
「ん、代理人が危ない」
「それとだ、小鳥遊。年長者から三つ程アドバイスをやる」
「……なんだと?」
「一つ、はっきりと実力差が分からない奴には手を出すな。……お前、自分と俺との戦力差が読み切れてないだろ」
「……お前、状況が分かっていないのか? ……余計なことを言ったら撃つって、さっき伝えたはず」
「もう少しで……っ! 音声のチューニングに成功しました!」
"ありがとう、アヤネちゃん"
「二つ、お前のその発言は、何の脅しにもなっていないぞ。本当に脅すつもりがあるなら、先に腕か足の1本や2本潰しておけ」
「いやいやいや! 何、冷静に物騒なこと言ってるのよ!」
「……先生、止めに行ったほうが」
"……多分大丈夫。もう少し、様子を見ようか"
「先生……」
"本当に危ないと思ったら、アヤネちゃんのドローンで止めるよう伝えてもらおうかな"
「わかりました」
リンちゃんとの会話的に、ローランの戦闘能力はかなり高い筈。フィクサーって言うのは、まだ良く分かってないけど……。……もしかして、危ないのってホシノちゃんの方なんじゃ……。
「三つ」
「……ッ!」
「どれだけ有利な状況だと思っても、警戒しろ。相手には、この状況を解決するだけの手札があると思え」
「何、今の……」
「ん、動き出しが見えなかった」
「あの剣は一体どこから……」
「ホシノ先輩!」
"アヤネちゃん……! ……次、ホシノちゃんが攻撃されそうになったら、すぐに介入して"
「は、はい!」
「ホシノ先輩があっさりと背後を取られるなんて……」
「凄い戦闘力」
「……くそっ」
「悪いな、小鳥遊。お前と俺では生きてきた世界が違う」
「……少し落ち着け。俺も武器をしまうから、お前も肩の力を抜け」
「……分かった」
"どうやら、介入する必要は無さそうだね……"
「……まったく、心配したじゃない! ……え、何あの手袋」
「わぁ~☆ 代理人の手袋は便利ですね~」
「ん、私も欲しい。銀行強盗に役立ちそう」
「……ダメですからね? シロコ先輩?」
「それで、過去に何があったか話してみろよ」
「なんで……お前なんかに……」
「……誰かにぶちまけた方が、楽になるからな」
「ゆっくりでいいから話してみろ。……代わりに、俺の過去も話してやる」
「……!…………分かった」
★★★★★
「ホシノちゃん……」
「ホシノ先輩……」
「……」
「先輩……」
"……。…………? えっ、借金? 借金抱えてるの?"
「!? ……それは」
「ん、先生……」
"あとで、聞かせてね"
「はい……」
「……」
「……なるほどね。お前が亡くしたのは先輩だったのか。それも、大人に騙されて……と」
「……。だから私は、大人なんて信用しない。……信用できない。どれだけ頑張っても、どれだけ努力しても全てを踏みにじってくる、お前らみたいな大人なんか!」
「落ち着け。……疑心暗鬼になるのも分かるが、少なくとも俺や先生はこのキヴォトスの外から来てるんだ。その辺の悪い大人とは……」
「いや、先生はともかく、俺は十分悪い大人だったな」
「……代理人」
「……約束だ、俺のことも話してやる」
★★★★★
ローラン。私とはまた別の、外の世界から来たとは思っていたけど、まさかそんな地獄みたいなところから来ていたなんて……。…………あれ?
"アンジェリカって……もしかして、私の見た目って…………"
に、似てるのかなぁ。……あの言い方的に、似てたんだろうなぁ。
「代理人……」
「そんな……、そんなに酷い世界があるなんて……」
「……代理人」
「なぁ、小鳥遊」
「……なに」
「お前は俺に似てるって言ったけど、俺の様にはなるな。……復讐の果てには何もない。守るべきものを守れなかった人には、……何も残らないんだ」
「……うん。大人は信用できないけど、……先生と、ローランのことは信じてみるよ。この世界で何かしたいなら、アビドスよりも先に連邦生徒会を襲撃してるだろうしね~」
「襲わねぇっての」
"……うん、二人は大丈夫そうだね"
……良かった。ホシノちゃんも代理人も、さっきより顔つきが良さそう。
「……あの時、代理人がカタカタヘルメット団を殺した方が良いって、そう言ってた理由はこれだったのね……」
「確かに、殺したり殺されたりが日常のような、……そんな世界から来ていたのなら、そう思っちゃうのかもしれません」
「ん、過激だけど、……そんな所から来てたのならしょうがない」
「代理人には、この平和な世界で幸せになってもらわないとですね~☆」
"そうだね。少なくとも、この世界にいる間は、命の心配をしなくても良いって教えてあげないとね"
帰ってきたら怒ろうと思ってたけど、これじゃあ怒れないなぁ~。うーん……。
「アヤネ。もう、ドローンを撤収させてもいいんじゃ……」
「そうですね~☆ このまま盗聴していると、いつかバレちゃ……」
「ん、代理人……」
「アレって……」
"……お酒、だよね"
「小鳥遊の初飲酒に乾杯」
「かんぱい~」
「いやいやいや! 何飲んでるんですか先輩!」
「ホシノちゃん……」
「ん、ホシノ先輩だけずるい」
「シロコ先輩!?」
"これは……、……帰ってきたらお説教かな"
「どうだ? なかなか美味いだろ?」
「ん~、よく分かんない~。なんかふわふわするぅ~」
「おう、その酩酊感が病みつきになるんだよな」
「……もっと頂戴~」
「おっ、結構いけるみたいだな」
「いや、ダメですから! 未成年飲酒!」
「せ、先生。止めに入ったほうが……」
「ん、アヤネ。止めに入ったら盗聴してたのがバレる」
「ホ~シ~ノ~ちゃ~ん☆?」
"……ひっ。……だ、誰かっ! ノノミちゃんを止めて! 笑顔なのに怖い! 目が笑ってないよ!?"
「小鳥遊、そろそろみんなのところに戻るぞ」
「うへぇ~? えへへ~分かった~」
ノノミちゃんはキレたら絶対怖い
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