ローラン君はとんでもないモノを盗んでいきました。……生徒の倫理観です。
「……おじさん、ちょっと代理人の様子見てくるね~」
「ホシノ先輩……」
「みんなはここで待っててね~」
"ホシノちゃん。……ごめんね"
「気にしないで、先生~」
はぁ……。……本当は、大人である私が追いかけるべきだよね……。それを生徒に押し付けちゃうなんて……先生失格かな。
「……」
「先生……」
「わ、私は……」
"……アヤネちゃん?"
「代理人さんの言う通りにすれば……、もっと楽になるんじゃないかなって……」
「アヤネ」
「アヤネちゃん」
「そんなこと、絶対に考えちゃっ……、……いけないのに、……こ、殺すなんて、絶対ダメな筈なのに……っ!」
"アヤネちゃん……"
「そうしておけば、みんなもっと楽になったのにっ……!、こんなに辛い思いをしてまで、戦い続ける必要なんてなかったのに……って、考えてしまいました……」
"……"
その考えは間違っている……間違っている筈なのに、否定しきれない……。代理人の言う通り、一人一人殺しておけば……そうじゃなくても、捕まえておけば戦い続けることはなかったのにって、私自身思ってしまったから。
「……落ち着いてください、アヤネちゃん」
「ぐすっ……、ノノミっ……先輩……っ」
「大丈夫……、大丈夫ですから……」
「アヤネ……。……それを言うなら私だって、私だって思ったわよ! ……ダメだけど、本当はダメだけど、……こ、殺しておけば、こんな大変な思いをしなくて良かったのにって……」
「セリカ……」
「でも、それを認めたら……、殺してもいいなんて考えたら……、まともな人間でいられなくなっちゃうじゃない!」
「……」
"……そうだね、セリカの言う通りだよ"
「先生……」
"どんな理由があれ、人を殺していいなんてことは絶対にない"
「……」
"人間だから、確かに悪事を働くこともあると思う。カタカタヘルメット団の人達だって、理由があってアビドス高等学校を襲撃しているのかもしれない"
「理由……?」
"うん。……例えばだけど、……友人を人質に取られているとか、誰かに雇われていて、アビドスを襲撃しないと報酬が貰えず、まともに食事をする事すらできないとか"
「それは……」
"絶対にないとは言い切れないでしょ? ……まぁ、どんな理由であれ、人を傷付けるのは良くないことだけど"
「……」
"それでも、間違いはやり直すことが出来る。反省して、謝罪して……、そうしてやり直すことができる。だけど……、死んでしまったら、反省することも謝罪することも、やり直すことも出来ないんだ"
「やり直す……」
"だから……ね。やっぱり、殺すのは良くないことだよ。殺してしまったら……、相手に反省させることも、謝罪させることも、やり直すことも、……何も出来なくなってしまう。その機会を奪ってしまうんだ"
「そう、……ですね」
"それにほら、殺してしまったら、襲ってくる子から情報を聞き出すことも出来ないじゃない? どうして襲ってくるのか、誰の命令で動いているのか、物資はどこで補給しているのか、……そういう情報を聞き出すことも大事だと、先生は思うんだ"
★★★★★
先生の話を聞いて、アヤネは涙を拭う。ノノミも、セリカも、シロコも、先程までの暗い表情を沈め、先生の話を聞き入っていた。
「そうね。……次よ。次、カタカタヘルメット団が襲ってきたら、とっ捕まえて、なんでこんなことをするのか聞き出してやるんだから!」
「そうですね☆ もし、物資を補給している場所を聞き出せれば、その場所を抑えることもできますしね」
「ん、物資を強奪すれば、カタカタヘルメット団も襲ってこれなくなる」
「そう、ですね! ……すみません。私、変なことを考えてしまって……」
"いいんだよ、アヤネちゃん。……私だって色々理由をつけたけれど、実際の所、ローランの意見も間違ってないと思っちゃったしね"
「……ローラン?」
「ん、先生、ローランって誰?」
「もしかして~、代理人のお名前ですか~☆?」
"…………やっちゃった。……あー、ごめん、みんな。……き、聞かなかったことにしてくれるかな~。一応、シャーレの先生とシャーレの代理人って言う通り名で活動してるからさ"
「わ、分かりました」
「ん、分かった」
「はーい☆」
「わ、分かったわ。……ねぇ、先生」
"うん? セリカちゃん?"
「……代理人って、今までどんな生活を送ってたの?」
"……実は私も知らないんだよね。リンちゃんは、連邦生徒会長が外の世界から招致したって言ってたけど、……話を聞いてる感じ、どうにも私の住んでた世界とは、また別の世界から呼んでるみたいなんだよね"
次回、ローラン&小鳥遊ホシノside
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