最高か?
「いやぁ~まさか勝っちゃうなんてね」
「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよ。ホシノ先輩。勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか……」
「ん、先生の指揮と代理人の援護が良かった。私たちだけの時とは全然違った。……これが大人の力」
「今まで寂しかったんだねぇ~シロコちゃん。パパが帰ってきてくれたおかげで、ママはぐっすり眠れまちゅ」
「誰がパパだ」
「いやいや、変な冗談はやめて! 代理人も先生も困っちゃうじゃん!」
「あはは……、少し遅れちゃいましたけど、改めてご挨拶します。先生、代理人。……私たちは、アビドス対策委員会です」
"アビドス対策委員会?"
「はい。私は、書記とオペレーター担当の……」
各々自己紹介を済ませ、話題は先生の指揮と、代理人の持っていた拳銃へと移った。
「先ほども言いましたが、素晴らしい指揮でした。代理人さんも、まさか拳銃の一撃でカタカタヘルメット団の団長を倒してしまうとは」
「ん、凄かった。……良かったら、その拳銃見せてほしい」
「は?」
「私も見たいです☆どんな拳銃を使えば、あの距離を当てられるのか気になります~」
「……はぁ、まぁ、見せるだけだからな」
ローランはアヤネに見られていた為、手袋に仕舞えず……仕方なく懐に仕舞っていた2丁の拳銃を机の上に置いた。
――装飾の施された黒い大型拳銃
銀色のトリガーガードとマガジンが一際目立っており、キヴォトスで扱われている拳銃よりも重厚感があった。
「別に特別な銃って訳じゃないぞ。弾薬はそれなりに貴重だったが」
「いやいや、こんなに重そうな拳銃どこで手に入れたのよ」
「んー☆、少なくともこの辺りで売ってるのは見たことありませんね」
「おじさんも初めて見たよ~」
「ほらほら、もういいだろ? 俺からしたら、金もないのに銃弾をばら撒ける方が凄いよ」
馬鹿高い税金、過剰に破壊した場合の違約金、武器の整備費……。ダメだ考えるだけで頭が痛くなる。
★★★★★
"そういえば、対策委員会って何?"
「すみません、説明がまだでしたね。対策委員会とは、このアビドスを蘇らせるために有志が募った部活です」
「昔はもっと居たのですが、今いるアビドスの生徒は、私たち5人だけです」
「ん、他の生徒は転校したり、学校を退学したりして町を出て行った」
"だから、町に人が全然居なかったんだね"
「はい。……そのせいでカタカタヘルメット団みたいなチンピラに、学校が襲われてしまって」
「もしシャーレの支援がなかったら万事休すでした」
「……そいつは、タイミングが良かったな」
「だね~。補給品も底をついてたし、なかなかいいタイミングで来てくれたよ~」
「補給品は助かりましたが、こんな消耗戦をいつまで続けなきゃいけないんでしょうか……」
「あー、確かに。しつこいもんね、あいつら」
「そんなにしつこいのか? 正直、実力差が分かれば手を出してくることもないと思うんだが」
「その、今までは物資が補給できてなかったので……」
「ん、先生が物資を持って来てくれたから、襲撃の頻度は減るかも」
……はぁ。そりゃぁ、さっきみたいに敵を見逃していたらそうなるだろうが……。
「……そんなに頻繁に襲われるなら、一人ずつ殺していくか、生け捕りにでもして人質にしたらいいんじゃないか?」
「「「「「!?」」」」」
"だ、代理人!? 何言ってるの!?"
「いや、簡単な話だろ。ヘイローって言うのが頑丈なのは分かったけど、撃ち続ければ死なないって訳でもないんだろ?」
「だ、だとしても殺すというのは……」
「そ、そうよ! それは……、何て言うか……」
「……」
「ん、代理人。それは過激過ぎ」
「むしろ敵を見逃すから、弾薬を補給されてまた襲われると思うんだが……。先生はどう思うよ」
"……代理人、いくら悪人でも、どれだけ悪いことをしても殺すのはダメだよ"
――温いな
……温過ぎる。どんだけ平和に暮らしてきたんだ? 毎日のように襲われているって言うのに、なんで敵を見逃せる……どうして情けをかけられる……。
なんで……、なんで、殺すという選択肢が出てこないんだ。
「……悪い、ちょっと外の空気吸ってくる。まだキヴォトスのやり方に慣れてないみたいでな」
「代理人……」
――こんなにも平和で、馬鹿馬鹿しい程のお人好しがいて……血の匂いがしない世界があるって、
……もっと早く知りたかったな、アンジェリカ。
"代理人……、あなたの居た世界って、どんな所なの……?"
こんなにも平和な世界があるというのなら、都市に住む誰もが、移り住みたいと願うでしょう。
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