シロコに案内されるがまま、一行はアビドス高等学校に足を踏み入れた。
……へぇ、これが学校っていう建物か。なかなか巨大な建造物だな。
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱ……い?」
「シロコ、入っていいか?」
「ん、構わない」
「んじゃ、邪魔するぜ」
「うわっ!?何っ!?ていうか誰!?」
「おおぅ、元気だな」
おっと、元気な生徒だな。猫耳の生えた……ちょっと待て、今更だがなんで頭の上に猫の耳が生えてるんだ?? って、よく見たらシロコも猫の耳みたいなの生えてるし……。
「わぁ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
「拉致!? もしかして死体!? シロコ先輩がついに犯罪に手を……!!」
「待て待て待て、勝手に殺すな。……というか、ついにってどういう事だシロコ?」
「ん、気にしないで」
「いや、気にするが?」
"い、生きてるよ~"
「うちの学校に用があるんだって。ほら、あの支援要請の」
「先生、あの手紙持ってきてるよな?」
"持ってきてるよ。はい、これ"
「自己紹介が遅れたな。あー、シャーレの代理人だ」
"シャーレの顧問先生です、よろしくね"
「……え、ええっ!? まさか!?」
「連邦捜査部シャーレの先生!?」
「わぁ☆支援要請が受理されたのですね! 良かったですね、アヤネちゃん!」
「はい! これで……弾薬や補給品の援助が受けられます」
「見たところ、暴力組織に襲われてるようには見えないが、……そんなに切羽詰まっていたのか?」
「それはもう! 毎日襲われてますよ!」
「そ、そうなのか?」
それにしては、壁が血で染まっていないし、死臭が漂っていたりもしないが……。
「そうだ! 早くホシノ先輩にも知らせてあげないと……。……あれ? ホシノ先輩は?」
「委員長なら隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる」
「ちょっと待て」
「な、何ですか?」
"どうしたの? 代理人"
「……嫌な気配がする。恐らくこれは」
火薬の臭いと、この敵意は……噂にあった暴力組織か?
(ダダダダダダダダダッ!)
途端、学校の外から鳴り響く銃声。ローランは咄嗟に銃声の方角へと意識を向ける。
「じゅ、銃声!?」
「!!」
「ひゃーっはははは!」
「攻撃、攻撃だ! 奴らはすでに弾薬の補給を絶たれている! 襲撃せよ!! 学校を占領するのだ!!」
(ダダダダダダダダダッ!)
「ぶ、武装集団が学校に接近しています! カタカタヘルメット団のようです!」
「か、かたかた……なんて?」
「あいつら……!! 性懲りもなく!」
全員が窓の外に意識を向けていると、教室の扉が音を立てながら開かれた。
「ホシノ先輩を連れてきたよ! 先輩! 寝ぼけてないで、起きて!」
「むにゃ……まだ起きる時間じゃないよ~」
「銃声の中寝ていられるのは、中々の度胸だな」
「ホシノ先輩! ヘルメット団が再び襲撃を! こ、こちらの方はシャーレの先生と代理人です」
「ありゃ~そりゃ大変だねぇ~。……あ、先生? と代理人? よろしくー、むにゃ」
"どうも、先生です"
「……おう。よろしくな」
今、結構な殺意を向けられたんだが、俺何かしたか? ていうか、どこが7級フィクサー程度だよ。……こいつは、相当ヤバイぞ。
「先輩、しっかりして! 出勤だよ! 装備持って! 学校を守らないと!」
「ふぁあー……これじゃあ、昼寝もできないじゃないか~、ヘルメット団め~」
「ほら、先生。持ってきた弾薬出してやったらどうだ?」
"そうだね。アロナ、製造済みの弾薬と補給品をここに出して"
先生がそう言うと、突如何もない虚空から弾薬が山ほど詰まった箱が現れた。
……おい、手袋に驚いてたけど、アロナで同じ様な事できるじゃねぇか。もっと食糧入れておけよ……。
「! ……すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分」
「はーい、みんなで出撃です☆」
「私がオペレーターを担当します! 先生と代理人さんはこちらでサポートをお願いします」
「了解。って言っても、俺ができるのは先生の護衛と……あー、こんな時に何だが名前は?」
「お、奥空アヤネです」
「んじゃ、奥空。サポートは先生に頼んでくれ。俺はそう言うのは苦手でな」
"代わりに、私の護衛よろしくね"
「あぁ、任せろ」
★★★★★
「しつこいなぁ~」
「ん、ホシノ先輩、左から一人来てる」
「私が牽制するわ!」
「私が制圧しますね☆」
ホシノが前線へ上がり、ヘルメット団の攻撃を防ぐ。その隙を見てシロコがドローンを呼び出し爆撃。セリカが接近できないよう牽制し、ノノミがミニガンをばら撒き制圧する。
……へぇ、下手な組織よりかは連携が取れているな。というか、これだけ好き勝手銃弾がばら撒けるとか、向こうじゃ考えられないな。
――っと、アイツが指揮官か? ……仕方ない、先に仕留めておくか。
「くそ、何だこいつら!? 前回よりも連携が取れてやがる!」
「お前ら! 弱そうなやつから狙え!」
「オォォォォ!」
「指揮官だ! 校舎にいる指揮官を狙……(ダンッ)…え」
ヘルメット団の最後方。多数のヘルメット団に守られた位置にいた指揮官は、まさに今狙おうとしていた校舎から飛んできた銃弾によって、脳天を撃ち抜かれた。
「発砲!? 一体どこか……(ダンッ)…ら」
そのすぐ側にいた団員も、校舎から飛んできた銃弾によって、撃ち抜かれていた。
「……ロジックアトリエ*1。補給ができない以上、弾薬もタダじゃないが……足りなくなったら、アロナに同じ弾丸を作ってもらうか」
先程までアビドス生たちが居た教室の窓から、二丁の拳銃を構えたローランが顔を出していた。
"だ、代理人。銃なんて持ってたの?"
「あー、まぁな。これでも先生の護衛だからな。一通りの武器は持っている」
「い、一撃で、ヘルメット団の団長を……?」
「……」
むしろ、一撃で倒れていなければ困る。というか、無防備な頭を撃ち抜いたっていうのに、何で生きているんだ? ……これが七神の言ってたヘイローって奴の効果なのか?
――面倒だが、手を汚さなくて済むのは願ったりだな
★★★★★
"戦闘終了、かな"
「カタカタヘルメット団残党、郊外エリアに撤退中」
指揮官を撃ち抜かれ、戦線が崩壊したヘルメット団はアビドス生達により鎮圧。残党も仲間を引きずりながら撤退していった。
「わぁ☆私たち、勝ちました!」
「あははっ! どうよ! 思い知ったか、ヘルメット団め!」
「皆さんお疲れさまでした。学校に帰還しましょう」
「……」
……あれだけ距離が離れていたのに、拳銃で撃ち抜いた? それも、一撃で気を失うなんて……。
「ん、ホシノ先輩?」
「うへぇ!? な、何かな~シロコちゃん」
「ん、学校に帰ろう?」
「そうだねぇ~。帰ろっか」
やったねローラン君。ヘイローのおかげで撃ち放題、斬り放題だよ。
自分の手が汚れなくて良かったね。
――まぁ、そんな都合の良い物じゃないけどね