黒い沈黙の行先   作:シロネム

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アビドス編開始です!


フィクサー = 傭兵、何でも屋、便利屋……


便利屋ねぇ……


Vol.1 A区 対策委員会編
~依頼~ A区の狼


「おはようございます、先生! 代理人!」

 

"おはよう、アロナ"

 

「おう、おはようさん。アロナ」

 

 

 

――アロナ

 

シッテムの箱と呼ばれる、先生の持つタブレットの中に居住している存在。初めて見たときは幻想体の1体かとも思ったが、そんな危険な存在ではなかったようだな。

 

 

 

「ここ数日間でシャーレに関する噂もたくさん広まっているみたいでして、他の生徒たちからも入部希望やお手紙が届いていますよ」

 

「へぇ、そうなのか。……それって良いことなのか?」

 

「良いことです! 私たちの活躍が始まるということですから!」

 

「そ、そうか」

 

 

 

情報の隠匿という意味では、余り良くない気がするんだが……考えすぎか?

 

 

 

「ただ、そのお手紙の中にちょっと不穏なものがありまして」

 

"不穏なもの?"

 

「はぃ。それで、一度先生と代理人に読んでもらった方が良いかなと」

 

"分かった。それじゃあ、手紙をみせて"

 

 

 

――連邦捜査部の先生、及び代理人へ――

 

 

 

そう書かれた手紙には、暴力組織によって学校が追い詰められていること、弾薬などの物資が枯渇していることが書かれていた。

 

 

 

「物資の枯渇か。それは深刻だな」

 

「アビドス高等学校……。昔はとても大きい自治区だったのですが、気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました」

 

"気候の変化?"

 

「えぇ。なんでも街のど真ん中で遭難に遭ってしまうほど酷いらしく……」

 

「あー、誇張じゃないのか?」

 

「あはは、私も誇張だとは思うのですが……、それでも学校が暴力組織に追い詰められているなんて、ただ事ではなさそうです……」

 

"それじゃあ。アビドスに出張しようか!"

 

「す、すぐに出発ですか!? さすがの行動力です! 先生!」

 

「おい、待て待て待て」

 

"どうかしたの、代理人?"

 

「最低限準備ぐらいしろ。街のど真ん中で遭難するとか言われてるんだぞ? 俺は大丈夫だが、先生あんたは数日飲まず食わずでも大丈夫なのか?」

 

"……よし、準備してから出発しよう!"

 

 

 

★★★★★

 

 

 

エンジェル24という売店で食料を補充し、アビドス自治区へと向かった先生とローラン。ローランの予想通り、アビドス自治区に到着してから数日……学校が見つからず迷い続け、誇張表現かと疑っていた街のど真ん中での遭難が現実のものとなっていた。

 

 

 

"や、やばい。死ぬ……"

 

「だから言ったんだ。食料は補充しておいた方がいいって。あの時、売店で購入していなかったら今頃干からびていたぞ? 先生」

 

"み、水……"

 

「……はぁ。ほら、俺のやるよ」

 

 

 

そう言うと、ローランは自身の手袋から、新品のペットボトルを1本取り出した。

 

 

 

"あ、ありがとう!"

 

「……」

 

 

 

あっちの世界じゃ、間違いなく生きていけないだろうなぁ。……どれだけ平和な世界で育ってきたんだ?

 

 

 

"ところで、これどこから取り出したの?"

 

「あー、まぁ、先生にだったら教えてもいいか」

 

 

 

……敵対しても余裕で対処できるだろうし。

 

 

 

「誰にも言うなよ? ……この手袋には、色んなものが入るんだ。四次元……というより、異空間に繋がる鍵になっていてな、こんな風に」

 

 

 

先生がローランの手袋に目線を向けると、いつの間にか携帯食料が握られていた。

 

 

 

「好きなように物の出し入れができるんだ」

 

"凄いね! まるでアニメとかゲームのアイテムボックスみたい!"

 

「……ほら、食っていいぞ。食料も尽きてるんだろ?」

 

"助かるよ! 代理人が居なかったら、私本当に餓死してたかも"

 

 

 

(キキーッ)

 

 

 

「あ?」

 

"うん? どうしたの、代理人"

 

「……あの……」

 

 

 

ローランが自身の背後に目を向けると、そこには自転車に乗った一人の生徒がいた。

 

 

 

「おっと、どちら様かな?」

 

「……えっと、私は砂狼シロコ。……もしかして、遭難者?」

 

「あー、まぁ、そんな感じだな」

 

"土地勘が全くないからねぇ"

 

「土地勘がない……。……その服装。もしかして、連邦生徒会の人?」

 

「お、良く分かったな。俺は代理人だ。それでこっちが」

 

"シャーレの先生です。よろしくね、シロコちゃん"

 

「ん、よろしく。もしかして、アビドスに行くつもり?」

 

"うん。お手紙が届いたからね"

 

「……そっか、無事に届いたんだ。それじゃあ、私が案内してあげる。すぐそこだから」

 

「本当か? そいつは助かる」

 

"た、助かるんだけど……"

 

「? どうかしたか、先生」

 

"な、何日も歩き続けてたから、足が震えちゃって……"

 

「……貧弱だなぁ。あー、悪いんだけど、その自転車に先生も乗せてやってくれないか?」

 

「えっと、これ一人乗り用だから……」

 

"じゃ、じゃあ背負ってくれないかな……"

 

「子供相手にマジか、先生……。……いや、この世界だと子供のほうが頑丈なんだったか? あー、悪いんだけど先生を背負ってやってくれないか?」

 

 

 

俺が背負うと、万が一の時に護衛しづらくなるし、……他にも色々と不味いしな。

 

 

 

「……まぁ、その方がいいか。ロードバイクは後で取りに来よう」

 

「助かるよ」

 

"それじゃあ、失礼します"

 

「あっ、待って……」

 

"……?"

 

「えっと……、さっきまでロードバイクに乗ってたから……そこまで汗だくってわけじゃないけど、その……」

 

"私は気にしないよ? ……うん、むしろいい匂いだよ!"

 

「……」

 

「……はぁ。おい、先生。その発言は色々とやばいぞ」

 

 

 

いくら同性でもその発言はないだろ……!

 

 

 

「ちょ、ちょっと何を言ってるのか分からないけど、気にならないなら、まぁ……」

 

「本当に悪いな、砂狼」

 

「ん、気にしないで代理人。あと、シロコでいい。……それじゃあ、ついてきてね」

 

「あぁ、道案内頼んだ」

 

 

 




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