黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~邂逅~ 先生と代理人

 

 

――連邦捜査部『シャーレ』

 

サンクトゥムタワーの制御権を取り返した日から数日、二人の女性がシャーレ内にて書類の整理を行っていた。

 

 

 

"そういえば、リンちゃん"

 

「何でしょう? ……あと、リンちゃんはやめてください」

 

"もう一人、外部協力者がいるんだよね?"

 

「はい。連邦生徒会長の話では、既に到着されているようですが……」

 

「……」

 

「……」

 

"ここ数日、私以外に外から来た人に会った?"

 

「……何かしらの事情で到着が遅れているのでしょうか?」

 

 

 

……外部協力者かぁ。どんな人なんだろう。……あれ、ちょっと待って。

 

 

 

"ねぇ、リンちゃん"

 

「……はぁ、何でしょう先生」

 

"外部協力者って、つまりキヴォトスの外から来るってことだよね?"

 

「そうなります。一体いつ知り合ったのかは分かりません……が」

 

 

 

……二人が会話していると、突然どこからか風が吹く。

 

 

 

"風? 一体どこから……"

 

「先生、下がってください」

 

 

 

風は卓上に置かれた書類を巻き上げ、部屋のとある一点へと収束していく。突然の事態に先生とリン行政官は、収束していく風へと身構え……数刻して風が収まると、そこには黒いスーツに身を包んだ一人の人物が立っていた。

 

 

 

「……お、着いたか? ここがキヴォトスって場所で合ってるのか?」

 

 

 

黒いスーツに黒いネクタイ、黒い手袋……、黒一色に染まった服を着た男は、部屋を見回す。

 

 

 

"え? ……カッコいい! 一体どうやってきたの!?"

 

「落ち着いてください、先生」

 

「おっと、誰か居るの……か?」

 

 

 

声のした方に顔を向けてみれば、二人の人物がこちらを向いていた。

 

 

 

「お待ちしておりました、黒い沈黙様。私は、連邦生徒会所属の七神リンと申します」

 

"え、お待ちしておりましたって、この人が外部協力者の人!?"

 

「はい。容姿については、事前に連邦生徒会長から伺っておりましたので。まさか、こんな方法で来られるとは思っておりませんでしたが」

 

 

……リカ

 

「はい?」

 

 

 

……アンジェリカ?

 

 

"……うん? それって私のこと?"

 

 

 

透き通る様な白髪に水色の瞳。思わず彼女と見間違えたが、

 

 

 

――そんな訳がないと頭を振った

 

 

 

「いや……、すまん、人違いだった。あーっと、それでだな……」

 

「僭越ながら黒い沈黙様。私の方から、このキヴォトスのこと、それから今起きていることについてご説明いたします」

 

「あー、その、黒い沈黙様ってのはやめてくれ」

 

「何故でしょう?」

 

「その名前は、通り名みたいなものなんだ。呼ぶならローランって呼んでくれ。こっちが本名だ」

 

「畏まりました、ローラン様」

 

 

 

――あれ、なんで今、俺は名前を教えたんだ?

 

 

 

「……やっちまった。……まぁ、向こうほど名前が知れ渡ってはいないと信じよう」

 

「……話を続けても大丈夫でしょうか?」

 

「あぁ、すまない。続けてくれ」

 

「畏まりました。それでは、まずはこのキヴォトスについて、ご説明を……」

 

 

 

学園都市キヴォトス。連邦捜査部シャーレ。……その他、様々なことをリンから説明してもらった。

 

 

 

「それで、ローラン様。あなたには、こちらに居られる先生の補佐をして頂きたく思います」

 

「補佐? て言うと、この人の手伝いをすればいいのか?」

 

「その通りです」

 

"よろしくね、ローラン"

 

「あー、こちらこそよろしく、先生」

 

「基本的には、先生と同じくシャーレで活動していただきます。居住スペースも用意しておりますので、生活する上で不便な点や問題がございましたら、遠慮なく申し付けください」

 

「分かった。……なんというか、至れり尽くせりで悪いな」

 

「いえ、これも連邦生徒会長からのお達しですので」

 

「そうか」

 

「それから、ローラン様。あなたには本日付で代理権限が付与されます」

 

「代理権限?」

 

「はい。代理権限とは、何かしらの要因により先生の業務遂行が困難となった場合、また、先生の許可を得た場合に限り、先生と同一の権限が付与されます」

 

「……つまり先生が死んだら、代わりに先生の役割をしろってことか?」

 

"いや、死なないよ!?"

 

「……死なれては困りますが、その認識で間違いありません。それまでは先生の補佐として、先生の業務の手伝い、及び先生の護衛をお願い致します」

 

「基本的にはこの先生に同行して、護衛すればいいんだな」

 

「はい。見ての通り、先生には戦闘技能が欠片もなく、怪我一つで致命傷になりかねませんので」

 

「あー、うん。……見た感じ、戦うのは無理だと思っていたが」

 

"言い方ぁ~。そりゃぁ私は一般人だし、銃弾なんて当たったら大怪我しちゃうけどさ。……というか、ローランはヘイローないけど戦えるの?"

 

「一応戦えるぞ。まぁ、この世界でどこまで通用するか分からないが」

 

「それに関しては、連邦生徒会長より言伝を預かっております。……曰く、殆どが7級フィクサー以下の戦闘力、優れた生徒でも2級フィクサー程度の戦闘力……らしいですが、すみません。これで伝わりますかね?」

 

「大丈夫だ、伝わってるよ」

 

"ねぇねぇ、リンちゃん。フィクサー*1ってなに?"

 

「……すみません、私も詳しくは。連邦生徒会長は"黒い沈黙なら、この例えでわかると思うよ!"って仰ってましたが」

 

「あーっと、傭兵とか便利屋、何でも屋みたいなものだ。……というか、その連邦生徒会長は何でそんなこと知ってるんだ」

 

 

 

連邦生徒会長は、こっちの世界に来たことでもあるのか?

 

 

 

――いや、あるんだろうな

 

 

 

でなければ、招待状なんて作れないだろうし、フィクサーについての知識も得られないだろう。

 

 

 

「それから、ローラン様。キヴォトスでは基本的に役職名で通しておりますので……」

 

「うん?」

 

「これからは、連邦捜査部シャーレの"代理人"という通り名で行動して下さい」

 

「あぁ、了解。……改めてこれからよろしく、先生」

 

 

 

"こちらこそ、よろしく、代理人!"

 

 

 

 

 

 

*1
9級から1級まであり、1級の更に上澄みのフィクサーは、協会から特別な色を授けられ、特色と呼ばれる。ローランは1級フィクサーで、協会から黒の色を授けられているよ(諸説あり)




先生の容姿は、Library Of Ruinaのアンジェリカにそっくり。
あれぇ、ローラン君どうしたの? そんな目で先生を見てさ。



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