黒い沈黙の行先   作:シロネム

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作者のシロネムです。
Library Of Ruinaのその後が気になりすぎたので、とりあえずブルーアーカイブの世界に行ってもらいました。

似たような治安?だし、問題ないよね!


Vol.0 プロローグ
~導入~ 黒い沈黙、キヴォトス入り


「ローラン、少しいいかしら」

 

 

 

図書館に館長の声が響く。

本の整理を行っていたローランは、持っていた本をテーブルに置き、館長の元へ向かった。

 

 

 

「何かあったか? アンジェラ」

 

 

 

アンジェラ

そう呼ばれた館長は、一冊の本をローランへと差し出す。

 

 

 

「……ローラン、あなたこの本に見覚えは?」

 

 

 

――Κιβωτός――

 

表紙にそう記載された一冊の本。

とても分厚いその本は、都市で生活していた頃は勿論のこと、図書館内ですら見たことがなかった。

 

 

 

「いや、見たことないが、……一体どうしたんだ? その本」

 

 

 

……一瞬、本当に一瞬だけ、自分の知らぬ内に彼女が誰かを本にしたのかとも思ったが、

 

 

 

「ローラン。あなた、何か変なこと考えてないかしら」

 

「いやいや! 何にも考えていないさ」

 

 

 

今のアンジェラがそんな事する筈がないと、頭に過った考えを振り払った。

 

 

 

「……そう、ならいいけれど。実はこの本、私も見たことがないのよ」

 

「はぁ? アンジェラが見たことない本って、どういう事だ?」

 

「分からないけど、気づいた時にはこの招待状が置かれていたわ」

 

「……招待状?」

 

 

 

水色に染まった一枚の招待状。図書館で用いていた招待状とは装丁が異なるようだが……、

 

 

 

「えぇ、……あなたをご指名みたいよ、ローラン」

 

「……俺を?」

 

 

 

招待状を手に取ってみると、美麗な表紙には手書きでこのように書かれていた。

 

 

 

 

 

 

――親愛なる黒い沈黙様――

 

 

 

 

 

 

「都市で俺に招待状を送ってくる奴なんて思いつかないが、……というか、どうして此奴は黒い沈黙が図書館にいることを知っているんだ?」

 

「……」

 

 

 

不自然な点が多すぎる。どうして黒い沈黙が図書館にいることを知っている? なぜ黒い沈黙に招待状を書く? ……そもそも、どうやって図書館に招待状を置いたんだ?

 

 

 

「……ダメだ、送り主に心当たりがない。下手な装置やトラップだったら面倒だし、破壊するか?」

 

「ローラン。その招待状だけれど、どうやら都市で書かれた訳ではないみたいよ」

 

「そうなのか? ……って、おい何読んでるんだよ」

 

 

 

ローランがアンジェラに顔を向けると、彼女はΚιβωτόςと書かれた本を読み進めていた。

 

いや、警戒心薄いな! ……そんなんだから、旧友(オリヴィエ)に嵌められかけるんだよ。

 

 

 

「何か言ったかしら?」

 

「いいえ! 何も!」

 

「……そう。それで、この本だけれど」

 

 

 

アンジェラの話を聞くに、どうやらこの招待状は一緒に置かれていた本と関係があるらしい。

 

 

 

Κιβωτός

 

この本はキヴォトスという都市で生活する少女たちの物語らしく、誰かの人生を描いた本(図書館で死んで云った者)というよりは、その都市で起こる様々な出来事を記載した物語らしい。

 

 

 

「それは、何て言うかアレか? 都市伝説をまとめた本みたいな、作り話ってことか?」

 

「……あなたも図書館に染まったわね、ローラン」

 

「はい? それってどう言う……」

 

「普通、本に書かれる内容なんて誰かが作った話よ。本人の人生を描いた本なんて、都市で見たことあるかしら?」

 

「いや、ない……けど……」

 

 

 

言われてみれば確かにそうだ。事務所に居た頃にそんな本は見たことがない。

 

 

 

――そういえば、彼女が好んでいた本も、憂鬱な都市の雰囲気を紛らわすような美しい物語だったな

 

 

 

「その招待状だけれど、どうやら図書館と似たような力が作用しているようね」

 

「似たような力?」

 

「えぇ、招待客を招く力と……」

 

「……招く力と?」

 

「これは、……紫の涙と同じ力かしら。違う次元へと渡れるみたいね」

 

「紫の涙って……イオリと同じ力ってことか?」

 

 

 

確か、時空間を移動する力だったか?

「時間旅行とは違い、数多の可能性の世界を巡ることができる」って自慢げに話していたけど、この招待状に似たような力があるって、……どういうことだ?

 

 

 

「この本によると、連邦生徒会長と呼ばれる存在が、先生と呼ばれる存在と一人の協力者を、外の世界から招致したことで物語が始まるようね」

 

「招致って、……待て待て。それってつまり、俺に招待状を書いたのは、作り話の中の存在とでも言うのか?」

 

「親愛なる黒い沈黙様って書いてあることから、少なくとも、ここ(図書館)の様子は把握されてると思うわよ」

 

「……」

 

「それに、本の中で居住する存在なら、嫌という程見てきたでしょう?」

 

「……幻想体」

 

 

 

――幻想体

 

人の精神から生まれた化物。現在は図書館内の本を住処としており、侵入者に試練を課す。そうして全ての試練を乗り越えた侵入者に、幻想体は特別な力を授けるのだ。

 

 

 

「ローラン。折角だから、この本の中に行ってきなさい」

 

「は? 待て待て待て。本の中に行ってこいって、どういうことだよ」

 

「そのままの意味よ。もしかしたら都市の苦痛を取り除くのに、役に立つ物が手に入るかもしれないわ」

 

「……いやまぁ、幻想体の接待の一種と考えれば、行くのは構わないけど」

 

「一つ言い忘れていたのだけれど……」

 

「うん?」

 

「この本の世界、治安に関しては裏路地と同等ぐらい酷いみたいね」

 

 

 

……前言撤回だ、馬鹿野郎。

 

 

 

「……ははは。そういえば、マルクトに呼ばれてたっけなぁ」

 

「はぁ……。今更忌避するほどじゃないでしょう?」

 

「忌避するが? 誰が好き好んで裏路地に行くんだよ」

 

「安心しなさい。依存性の強い薬物が流行していたり、人間を調理したりはしないみたいだから、裏路地よりも多少は平和なはずよ」

 

「いや、どこにも安心できる要素がないんだが……」

 

 

 

治安が裏路地と同等って時点で地獄に決まってるだろ。あんな所で生活するぐらいだったら、幻想体と殺し合いしてる方がまだマシだ。

 

 

 

「いいから行ってきなさい。……私の方でも、できるだけの手助けはしてあげるわ」

 

「へいへい。……手助け?」

 

「えぇ、とりあえずこれを渡しておくわ」

 

「……これは」

 

 

 

図書館の招待状か? なんでこれを……。……なるほど、帰還手段か。それでこっちが――

 

 

 

「招待状の理由は分かったが、この本はなんだ?」

 

「その本は、万が一の為の保険よ。……元特色のあなたなら、使わなくて済みそうだけれど」

 

「……いや、助かるよ。手札は幾らあっても困るものじゃないからな」

 

 

 

とりあえず、"手袋*1"に入れておこう。あとは、食料もいくらか持って……。しばらく飲めなくなりそうだし、ネツァクの酒瓶も1本拝借しておくか。

 

 

 

「はぁ……。準備はいいかしら?」

 

「おう、待たせたな。……それじゃ行ってくるよ。進展があったら一度戻るわ」

 

「分かったわ。……行ってらっしゃい、ローラン」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「行ったようね」

 

 

……さりげなくネツァクのお酒を持って行ったみたいだけど、すぐにバレると思うわよ。……ネツァクもこれを機に、禁酒してくれるといいのだけれど。

 

 

「もう少し読み進めてみようかし……ら」

 

 

 

Κιβωτόςと書かれた本を手に取り、読み進めようとしたところ、ある違和感に気が付いた。

 

 

 

「……こんな表紙だったかしら、この本」

 

 

 

つい先ほどまで、 Κιβωτόςと書かれていた本の表紙には、このように書かれていた。

 

 

 

 

 

――Blue Archive――

 

 

 

 

*1
黒い沈黙の手袋:大体なんでも入る4次元ポケットのようなもの。ローラン君が普段使っている武器も、この手袋の中に収納されている。




訂正、キヴォトスの方が都市(路地裏)よりも何百倍もマシでした。

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