敷地に残された基礎、新たな企業誘致の足かせに 川内村の工業団地

岡本進
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 工業団地への企業進出をめぐり、福島県川内村が頭を痛めている。新工場を計画していた千葉県の食品加工会社が、建設途中で撤退を決めたからだ。工場の建物を支える基礎が敷地には残ったままで、新たな企業誘致の足かせになっている。

 村東部の山あいにある田ノ入(たのいり)工業団地の一角に、基礎がむき出しになったままの場所がある。当初の計画では、約2万平方メートルある敷地に鉄骨平屋の工場(延べ約3千平方メートル)が2020年に稼働する予定だった。

 冷凍食品製造などを手掛ける千葉県の会社が、村と立地の協定を結んだのは19年だ。将来は100人以上雇用し、カット野菜などを海外にも出荷する計画だった。社長は「復興のモデルケースをめざす」と語っていた。

 総事業費は約30億円で、原発事故の被災地を支援するために国がつくった企業立地の補助金で多くを賄う予定だった。だが、コロナ禍で経営が厳しくなったとの理由で、20年から工事は休止になった。

 村によると、社長からは「いずれ工事を再開させたい」との意向が再三、伝えられたという。しかし、昨年に入ると、社長との連絡も取れなくなり、昨年12月に代理人から「建設を断念する」と話があった。千葉県にある工場も稼働していないという。

 記者が会社の電話にかけたところ、電話番号は使われておらず、つながらなかった。

 村にとって、やっかいなのが、敷地に残った基礎だ。撤去費用を公費で負担するのは難しいため、基礎をそのまま活用して工場を建ててくれる企業の誘致を、村は国や県に協力を求めながら模索中だ。

 村の担当者は言う。「食品加工を想定した設計になっているため、重い機械は載せられず、用途が限られてしまう。物流会社が倉庫として使ってくれればありがたい」

 17年に完成した田ノ入工業団地(全7区画)には、機械部品メーカーの工場と風力発電の管理施設が入る。立地第1号として、18年から本格稼働したスポーツウェアの縫製工場(本社・岡山県)も一昨年、会社が経営破綻(はたん)し、2階建ての工場が空き家のまま、敷地に残っている。

 原発事故後に被災地に進出した企業の破綻は珍しくはない。隣の富岡町でも、17年に稼働した断熱材製造業(埼玉県)の工場が21年に、楢葉町では、同じ17年にできた太陽光発電システム製造会社(大阪府)の工場が22年に、それぞれ破綻した。

 川内村の遠藤雄幸村長は、企業誘致の難しさを語る。「人口が少ない被災地に進出するのは、大手企業ではなく、ベンチャーや中小が多く、リスキーな面がつきまとう。だが、被災地の経済基盤は原発事故で失われたままだ。働く場を新たにつくっていかなければ、地域の将来は立ちゆかない」

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