第47回【詳報】「教会への感情、安倍元総理に向かったことは間違いだった」
安倍晋三元首相銃撃事件の第14回公判は4日午後、奈良地裁で行われました。安倍氏の妻の昭恵さんが出廷した3日の公判で、謝罪や被害弁済について問われて「明日、こういった話をするつもりではありました」と話した山上徹也被告(45)。被告人質問最終日に何を語ったのか。タイムラインで詳報します。
17:25
次回は論告と最終弁論
最後の被告人質問を終え、予定されていたすべての証拠調べが終わった。
次回は18日午後1時10分から、検察側による論告と、弁護側の最終弁論が予定されている。
17:10
「間違いだった」
裁判長は山上被告に対して、「銃を作っている中で、人の命を奪ってはいけないという葛藤を抱いたことはありますか」と問いかけた。
山上被告は「旧統一教会に対してそういった道徳感情は超えてしまいました。ただ、安倍元総理に向かったこと、また、安倍元総理が亡くなったことは、間違いだったと思っています」と述べた。
16:55
「陰謀論、自分に原因」
裁判官や裁判員による被告人質問が始まった。
冒頭、裁判長が「検察の被告人質問で、被害者参加の申し出はありますか」と尋ねると、検察側は「ありません」と答えた。
今後の人生や罪への向き合い方についての考えを聞かれた山上被告は「安倍氏は元総理でありますから非常に影響力のある方。そういった方を殺害してしまったことはとても大きな意味があったことだと思っている」。
更に、「それが模倣犯を生んでいることにもつながっているし、陰謀論も自分が行ったことに原因があると思っている。非常に責任は大きいと思っている」と続けた。
16:35
検察側に「今回の事件を起こしてよかったですか」と聞かれ
検察側からの被告人質問があり、検察側は最後に「あなたとしては、今回の事件を起こしてよかったですか」と尋ねた。
山上被告は「少なくとも、私や(教団の)被害者にとっては意味があったと思いますが、全体としては、いろいろなことが関わっているので、一概には言えない」と答えた。
検察側の被告人質問が終わり、午後4時40分ごろから約15分間の休廷に入った。
16:25
韓鶴子氏への恨み「以前ほど強くない」
弁護側に続いて、検察側の被告人質問が始まった。
韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏を襲撃した場合には殺害するつもりだったとし、韓氏殺害に向けてパイプ銃を改良したという。安倍氏に対し怒りはなかったかと問われると「自覚的に強い怒りを持つことはなかった」と述べた。
「事件を起こすことで報道されたいという考えはあったか」と問われると、しばらく考え込み、「その方が旧統一教会に打撃を与えられるという意味はあったと思う」と話した。
韓氏に対する恨みは、「韓国でも色々なことがあったと報道されているので以前ほど強くない」と述べた。
16:15
声を震わせ「非常に申し訳ない」
山上被告が、弁護側からの被告人質問のなかで、事件に関して法廷で初めて謝罪した。
弁護側から「最後の質問です。あなたの行為で、一人の命が失われました。何か言葉はありますか」と問われると、被告は「安倍昭恵さんをはじめとして、安倍元首相のご家族に、何のうらみもありませんので、殺害したことで3年半つらい思いをさせてしまったのは間違いない。肉親を亡くした経験があるので。自分に弁解の余地はないと思っています。非常に申し訳ないことをしたと思っています」と声を震わせながら述べた。
弁護側からの被告人質問が終わった。
被告は前日の公判で、検察側から被害関係者への謝罪がないことなどを指摘され、「明日、こういった話をするつもりではありました」と述べていた。
16:00
首相在任中の安倍氏、政治的に支持か 「はい」
弁護側から、安倍氏を襲撃するに至った心情の変化についての質問が続いた。
首相在任中の安倍氏について、弁護側に「政治的には支持していたのか」と問われた山上被告は「はい」と答えた。
一方で、安倍氏が首相を退任した後、顔を出して旧統一教会への関与を示すようになったことで「(旧統一教会が)社会的に承認されていく」「自分の家族や兄の自殺、他の被害者の問題が忘れられていく」と感じたなどと述べた。
話題は、事件当時に移った。
安倍氏に向けて銃の引き金を引いたときは、「銃の威力のレベルは低いと思っていたので、命中しても命を落とす確率は高くないと思っていた」と振り返り、「旧統一教会に打撃を与えるということの実現として引き金を引くのが、最終的に到着したことだったと思う」と話した。
弁護側が「その先は神のみぞ知るということか」と問うと、「はい」と答えた。
自分が撃ったことで人が亡くなったという実感は持ったかと問われると、「報道を通してですので、間接的なものだったと思います」と述べた。法廷で、被弾した安倍氏が倒れる動画を見たときは、リアリティーを感じたという。
宗教2世への注目や教団への解散命令といった、事件を起こすことによる社会への影響は予測できなかったという。だが、「こうなってくれたのは、ありがたいです」とも話した。
犯行の目的については、「旧統一教会の被害に対する報復」と答えた。
15:30
「最大の目標は韓鶴子」だった
5回目の被告人質問が始まり、弁護側は2022年7月8日に起こした事件の直前の心情の変化について尋ねた。
山上被告は、同年6月末ごろにテレビで放送された選挙報道のなかに、安倍氏と旧統一教会との関わりについて言及する内容があったことや、旧統一教会トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁と安倍氏との会談がある可能性について言及するインターネット上の情報を目にした影響があったと述べた。
7月3日時点での襲撃対象としての安倍氏の優先順位を尋ねられた被告は、「最大の目標は韓鶴子で、次はその子どもたちになるが、中には統一教会と全く関係ない生活をしている人もいたり、献金を返そうとする人がいたりと一様ではないので」などと述べた。
15:05
「母親に対する愛憎の根底に、旧統一教会への怒り」
午後3時過ぎに公判が再開し、裁判員や裁判官が和田医師に質問した。
母親への思いが犯行を思いとどまらせる理由になりえたかという質問に対しては、「母親に対する愛憎の根底にあるのは旧統一教会への怒り。母親に対する、愛の部分はあると思うが、襲撃する方向をやめることにはならなかったと思う」と述べた。
また、経済状況を立て直すめどが立っていなかったことが事件につながったとも分析した。
さらに、自分のやったことが社会的にどんな影響を与えるか、全く考えていないわけではなかっただろうとの見方を示した。
14:10
山上被告の性格は「プライドが高い」
精神鑑定医に対する弁護側の尋問が始まった。
和田医師によると、山上被告の精神鑑定は2023年1月までの半年ほどにわたって行われた。
鑑定後に被告側から「伝えておきたいことがある」として、検察官を通して話があったが、医師は「(内容は)忘れた」「(鑑定には)全く反映していない」と述べた。
医師によると、鑑定書では被告が事件を起こすに至る二つの転換点を指摘したという。
一つ目が「被告の母親がついたうそ」。
医師によると、被告は中学生のころ、母親の信仰について「兄や祖父が反対しても、母親が幸せになるならそれでいいのでは」と考えていたが、高校時代に母親が旧統一教会への献金のために祖父の家を売ったのに「会社の借金を返すため」とうそをつかれたことを知り、「自分は間違っていたのではないか」と感じたという。
二つ目が「兄の自殺」。
祖父が亡くなった後、兄も自殺してしまい、被告は「この死は自分の責任だ」と感じるようになったと、医師は述べた。その上で、「(被告が)不本意な人生に意味があるとすれば、統一教会の襲撃に意味を見いだす」などとした。
医師は被告の性格について「プライドが高い」と指摘し、「日々の生活への不満足や不全感が統一教会の襲撃のために銃を作ることへの没頭の背景にあった」などと述べた。
弁護側から「山上被告の物の考え方に、母親を通して旧統一教会的な考えがあると思うか」と問われると、医師は「否定はできない」と答えた。
弁護側による和田医師への証人尋問が終わり、午後2時40分ごろから、約20分間の休廷に入った。
13:40
高校時代は「人生にも展望を持っていた」と考察
和田医師は子どものころの山上被告について、「小学生の時は明るくまじめで、中学生では温和で穏やか」と述べた。
高校時代は人付き合いが苦手で学校でも疎外感を抱いていたとし、「旧統一教会に怒りを持っていたが、母親への優しさもあった。責任感が強く、人生にも展望を持っていた」と考察した。
その上で、家族を窮地に陥らせた教団に怒りを感じた結果、人生に対する失望感を募らせ、兄の死にも責任を感じたと指摘。経済的困窮もあり、安倍氏と旧統一教会の関連から安倍氏を対象にしたとして、犯行について「精神障害の影響は認められない。本人の人柄や置かれた状況が犯行に至らせた」と結論づけた。
13:10
「被告人にはなんら精神疾患の影響は認められず」
山上被告が、これまでの公判と同様の黒いシャツとズボン姿で入廷した。
冒頭に、検察側から証拠整理をしたいとの申し出があった。弁護側が異議を申し立て、裁判所の職権で取り調べる手続きがあった。
その後、被告の精神鑑定を担当した大阪赤十字病院の和田央医師への証人尋問が始まった。
検察側からの質問に対し、和田医師は精神鑑定で被告が語った内容について、資料を用いて説明。「その結果、被告人にはなんら精神疾患の影響は認められなかった」などと述べた。
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安倍晋三元首相銃撃事件
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