新体操の代表選手が脱走 「当たり前を見失っていた」指導者の変心

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潮智史
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 2025年2月末、ナショナルトレーニングセンター東京都北区)で合宿中だった新体操団体の日本代表選手の複数が、夜遅くに宿泊施設から逃げ出した。衝動的な行動だった。

 数時間後、選手たちは自ら施設に戻ってきた。

 姿を消した理由をたずねると、チームを率いる日本体操協会強化本部長・村田由香里への不満が口をついた。

「私たちの意見を聞いてほしい」

 「ミスや悪い部分を指摘するばかりで、前向きに取り組めない」

 「『結果を出すためにこういう練習をしたい』という私たちの意見を聞いてほしい」

 チームは海外での国際試合を4月に控えていた。村田は2月を厳しい練習で追い込む時期ととらえ、選手たちにも伝えていた。

 新体操は選手の競技年齢が低いスポーツで、指導は一方的かつ高圧的になりがちだ。選手として五輪に2回出場している村田自身もそんな環境で育った。

 その上、日本の新体操は個人、団体ともに24年パリ五輪出場を逃した。

 村田は責任を感じていた。「失敗で終わらせたくない。甘さを出してはいけない。厳しい練習をどんどんやってしまった」

 協会関係者がすぐさま、村田…

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この記事を書いた人
潮智史
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スポーツ
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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2025年12月3日14時0分 投稿
    【視点】

    自己主張を諦めなかった選手たち、それを機に自らの指導を振り返って考え方を改めた村田由香里氏、そしてそのあいだに立って、関係性の修復と新たなスタイルの確立へと尽力した水鳥寿思氏ら協会。記事を読む限り、対話をもとに理想的な軌道修正がなされた事例だ。他団体での同じようなケースでは目も当てられないような顛末を迎えていることから、体操協会の健全性がうかがえる。 ハラスメント事案をはじめ旧態依然のやり方が通用しなくなったいま、改革を余儀なくされているスポーツ界全体にとって、一つの模範となり得る事例だと私は思っている。

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2025年12月3日14時58分 投稿
    【視点】

    チームを率いる日本体操協会強化本部長・村田由香里さんがなぜつらい指導をしてしまったのでしょうか。 その「頑張らなきゃ」という気持ちやプレッシャーを「想像できる」と思う人は多いのではないでしょうか。 もちろん、「一定の理解はできる」としても、教えられる側は大変です。複数の代表選手が一時、宿泊施設を抜け出し、その後、話し合いをへて良い方向に向かっていることを記事を読んで知り、「時代は変わっているなあ」と思いました。 過去には選手たちは我慢するしかなかったでしょうし、「脱出」は処罰の対象になったかもしれません。

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