【解説】タワマンなどで火災が起きたら…日本の対策は 香港高層マンション大規模火災
香港の高層マンションで発生した大規模火災で、発生から30時間以上が経過した現在も消火活動が続けられる中、現場マンションで行われた修繕工事は防火基準を満たしていなかった疑いが出てきました。
まだ被害の全容が見えない香港の高層マンション火災ですが、一方で、日本のマンションの対策はどうなっているのか心配に思っている方もいると思います。小栗泉・日本テレビ特別解説委員が解説します。
■日本の高層マンションは…「燃え広がることはない?」
日本にもいわゆる「タワマン」など高層マンションが多くありますが、27日は、2つのギモンについて見ていきます。まず1つ目は「燃え広がることはない?」です。
今回、香港の火災では、マンション全体に炎が燃え広がり、被害が拡大しました。その中で、放水するはしご車が上層階に届いていない様子も見られました。こうした事態への対策として、日本では、11階建て以上の建物に「スプリンクラー」の設置が消防法令で義務づけられています。
――はしご車が届かない高層階は、スプリンクラーで消火するということですね?
高層マンションの防災に詳しい土屋輝之さんによりますと、スプリンクラーには消火だけでなく、煙の発生を抑えて一酸化炭素中毒になるのを防ぐ役割もあるということです。また、7階建て以上の建物などには、「連結送水管」といって、地上から高層階に水を送る設備も消防法令で義務づけられていて、こちらに消防ホースを接続して消火活動を行うということです。
土屋さんは、「香港の火災は、竹製の足場などが燃え広がったが、日本の足場は金属製だし、世界に類を見ないほど厳しく法律で規制されているので日本では起こり得ない火災」だとしています。
■燃え広がった場合…「逃げられる?」
そして、2つ目のギモンはそれでも万が一、燃え広がった場合に「逃げられるのか?」です。
――高層マンションで火災が起きると、下から炎も煙もあがってきて、逃げられないのではと考える人もいるかもしれません。
元東京消防庁の坂口隆夫さんは、2つの方向の避難があることを知ってほしいと指摘しています。
まず、火事が起きたら、原則として、非常用エレベーターは消防隊員が使うので、階段を利用して地上に避難しましょう。特に15階以上の階などには、通常の階段とは別に「特別避難階段」の設置義務があり、これは、階段と屋内の間に炎を遮断できる緩衝地帯が設けられているので延焼しにくいものなんだそうです。
ただ、煙が入ってくるなどして階段が利用できないときはベランダから避難できるようになっていて、それが避難用のハッチです。これをあけると避難用のはしごがついていて、下の階に移動することが可能で、それを続ければ地上までたどり着けます。
そのうえで土屋さんは、「いざという時のために普段から避難経路や避難ハッチの使い方などを把握しておくことが大事」だと話していました。
(11月27日午後11時15分ごろ放送『news zero』より)