AI研究のトップ国際学会、個人情報漏出か 匿名のはずの査読者が…

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竹野内崇宏
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 学術論文を査読(チェック)するサイトが不正アクセスを受け、論文著者らの個人情報が漏出した可能性があると、AI(人工知能)研究の国際学会「ICLR」が明らかにした。査読を担当した人たちの身元が露見し、悪用された痕跡もあるという。研究者から「AI研究コミュニティーが崩壊しかねない危険な状態」との声が上がっている。

 ICLRはAIの基本技術である機械学習の世界トップレベルの学会として知られる。来年4月にブラジルで開かれる大会で発表される論文の審査途中だった。X(旧ツイッター)に投稿した声明によると、被害に気づいたのは11月27日で、論文の著者や査読者らの名前が漏れた可能性があるという。

 漏出元は米国の「オープンレビュー」というサイト。AI関連の国際会議で査読に使われ、米グーグルやアップルなども出資している。オープンレビューの発表によると、外部からのアクセス制限の設定を誤り、一時誰でも情報を見られる状態になっていたという。発覚から1時間で漏出を防ぐ設定に修正した。

 ICLRで査読に関わってい…

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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2025年12月3日21時39分 投稿
    【解説】

    論文の査読には、ダブルブラインドとシングルブラインドがあります。 ダブルブラインドでは、査読者は著者名を知らず、著者も誰が査読しているのか分からない状態で審査が行われます。 一方、シングルブラインドでは、査読者は著者を知っていますが、著者は

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