マイナ保険証移行の裏で…旧保険証「来年3月まで使える特例」国はなぜ“公式発表”しない? 元官僚の弁護士が指摘する“意図”とは
個人情報保護の観点からのリスクも懸念
幸田教授はそれに加え、現行のしくみでは、国民の個人情報が流出するリスク、不正利用されるリスクがあると指摘する。 幸田教授:「マイナンバー制度の下で、情報が一元的に管理されるおそれがあります。 諸外国のマイナンバー制度では、権限を有する者による不正利用等ができないようにするため、情報連携に第三者機関を介在させるしくみがあります。ところが、日本にはそのようなしくみがありません。 個人情報の適正な取扱いを確保するための機関である『個人情報保護委員会』は、そこに関与する権限を持っていません。 つまり、権限を有する者が『その気』になれば、すべての情報に不正アクセスすることや、情報の不正利用ができてしまう状態にあるのです。しかも、それを外部からチェックすることも困難です。 現状、政治家に対する不信が広がっており、政府内に時の権力に忖度(そんたく)する官僚が存在していることを考慮すると、この点はきわめて深刻な問題といわざるを得ません」 なぜ、12月1日をもって従来の健康保険証の期限が切れたにもかかわらず、その後も従前のように利用できるような特別措置をとるに至ったのか。「混乱を避けるため」というならば、そのような事態を招いた要因はどこにあるのか。検証は不可避のはずである。 わが国が国民主権に立脚した民主主義国家である以上、その前提として、行政には特別措置の内容、およびそれを実施するに至った理由について、国民に説明する責任があるといわざるを得ないだろう。
弁護士JPニュース編集部
【関連記事】
- 「4文字の名前のうち3文字が●に」マイナ保険証、7割の医療機関でトラブル発生…昨年とほぼ同水準 医師団体が“紙の保険証”存続訴える
- マイナ保険証「厚労省職員の患者の利用は“1人だけ”」クリニック院長が陳述…“1222人の医師・歯科医師”が国を訴えた裁判の控訴審始まる【第1回口頭弁論】
- マイナ保険証へ一本化で「コスト削減」の政府試算は“幻想”だった…莫大な税金のムダ遣い? 試算から除外された「隠れコスト」の正体
- マイナ保険証の「メリット」は“真っ赤なウソ”だった?…“政府資料”が物語る医療現場での「役立たずな実態」とは
- 「マイナ保険証」のリスクは「セキュリティ技術面」だけじゃない!? 国民の生命を脅かしかねない致命的な“法的問題点”とは