路線バス応援でクリスマスの飾り付け 千葉・多古で協力隊有志が企画
「バスの車内をデコレーションしよう!」と題したワークショップが千葉県多古町で9日、あった。各地で休止・減便が進む路線バスの利用促進につなげようと、町内を走る2社のバスの車内にクリスマスの飾り付けをした。町地域おこし協力隊の有志が企画し、町民ら約60人が参加した。
会場は町中心部にある町コミュニティプラザ。ジェイアール(JR)バス関東と京成バス千葉イーストのバス2台の車内に、クリスマス飾りを取り付け、雪や星などを描いた絵を貼った。クリスマスごろまで運行するという。
現在は鉄道がない多古では、バスが最重要の公共交通。昨年から町で地域おこし協力隊員をしている斉藤常治さんが、路線網維持を目的に様々な活動をしており、今回の飾り付けも斉藤さんらが中心になり企画した。
町内で路線バスを運行する2社は際だった特徴がある。JRバス関東の「多古本線」は、ルートが1946年に廃線となった成田鉄道多古線にほぼ沿っている。京成バス千葉イーストはグループ再編で今春に社名変更したが、前身の千葉交通は、成宗電気軌道として1910年に県内初の電気鉄道(チンチン電車)を走らせた会社の歴史を継ぐ。一方、今の町は車社会で、バス利用は低迷している。
ワークショップでは、地域と歩んできた2社の歴史を斉藤さんが解説し、地元の「資源」に愛着を持ってもらった。
茨城県から町内のわせがく高校に通う峯岸春佳さん(1年)は「子どもたちと飾りをつくれて楽しかった。通学にはバスが必要」と強調した。
同高の渡辺由佳教諭も「バスは教職員も使っているので頑張って欲しい」。町内在住で多古高美術部長の大三川実里さん(2年)も「通学は家族の車送迎だが、成田などに買い物に行くのにバスは欠かせない」と語っていた。
町は路線バスの利用促進に向けた取り組みを強化するとしている。