訪問介護事業者の倒産が過去最多に 3年連続 報酬引き下げが打撃

編集委員・森下香枝
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 2025年の訪問介護事業者の倒産件数が、11月時点で過去最多を更新したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。人手不足や、介護報酬介護サービスの公定価格)の改定を背景に、合理化が難しい中・小規模の訪問介護事業者を中心に、経営環境が厳しさを増しているとみられる。

 TSRによると、訪問介護事業者の倒産件数は11月末時点で85件に達し、過去最多だった24年の81件を上回った。23年から3年連続での最多更新となる。

 倒産の原因は、売り上げ不振が71件で全体の84%を占めた。従業員10人未満が74件、負債額1億円未満が76件と、いずれも9割近くを占め、小規模事業者の倒産が多い。ただ、負債額1億円以上の倒産も9件あり、前年から2件増えた。

 都道府県別では、最多は大阪府の12件、東京都10件、北海道8件、神奈川県6件と続いた。

 施設などを含む介護事業者全体の倒産件数は11月末時点で161件となり、この時期として過去最多となっている。

 調査を担当したTSR情報部の後藤賢治課長は「人手不足や介護報酬減額に起因した業績悪化が目立ち、零細から中堅にまで倒産は広がっている」と分析する。

 要因の一つとして指摘されているのが、厚生労働省が3年に1度行う介護報酬改定だ。24年度には介護職員の処遇改善を目的に全体の報酬は引き上げられた一方、訪問介護の基本報酬が2%以上引き下げられた。

 介護報酬引き下げは、事業者にとって収入減の打撃となる。さらに深刻な人手不足を背景にした人件費や求人コストの増加、ガソリン代や電気代など運営コストの上昇といった複合的な要因により、経営が圧迫されている。

 厚労省が24年9月、全国約3300の訪問介護事業所に行った調査(回収率37.2%)では、介護報酬改定前の前年8月に比べ、「介護保険収入が5%以上減った」と回答した事業所は全体の5~6割に上った。

 また、全国老人保健施設協会など介護13団体が行った調査では、25年度の賃上げ率は2.58%と全産業平均5.25%の半分にとどまった。

 政府が11月21日に発表した総合経済対策では、介護分野の職員の処遇改善として、「他職種と遜色のない処遇改善に向けて、26年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」とし、緊急的対応として、賃上げなどの支援を行う方針を打ち出している。

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この記事を書いた人
森下香枝
編集委員|ここからTIMES編集長
専門・関心分野
終活、中高年のセカンドライフ、事件など
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    三浦麻子
    (大阪大学大学院教授=社会心理学)
    2025年12月3日7時32分 投稿
    【視点】

    在宅医療の現場での患者・家族からの医療介護職への暴力・ハラスメント対策として,訪問看護師のための研修プログラムを開発するプロジェクトに関わっています. 参考: Web医事新報【識者の眼】「在宅ケア提供者の安全を守ろう」小倉和也 https

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