今年6月末に大量閉店が報じられた、京都発祥のラーメンチェーン「天下一品」。当時その理由について、各メディアはこぞって味や集客力の面で陰りが出てきたのではないか、経営不振による影響が大きいのではないか、といった推測が広まった。
だが、その3ヵ月後、運営会社の「天一食品商事」は公式声明を発表。経営不振によるものではない、と真っ向から否定したのである。さらに「これからも全国各地への出店を積極的に進める」という言葉通り、現在では新宿西口店を復活させるなど、出店攻勢を仕掛けている。
それではなぜ、天下一品の閉店ラッシュは起きたのか。その理由は一斉に閉店したフランチャイズ店舗の「運営会社」にあった――。
【前編記事】『大量閉店から半年「天下一品」にまさかの“開店ラッシュ”が起きていた…新宿に復活、さらにLAにも進出』よりつづく。
消えた店舗はどれも「フランチャイズ」
あらためて、今年6月末に報じられた「天下一品」の閉店ラッシュをおさらいしたい。当時、閉店となったのは、新宿西口店、池袋西口店、渋谷店、目黒店、田町店、蒲田店、吉祥寺店、川崎店、大船店、大宮東口店の計10店舗。いずれも、都内とその近郊の繫華街にあった店舗だ。
ちなみにその1年前、2024年6月末にも歌舞伎町店、池袋東口店、恵比寿店、五反田店、八幡山店、多摩ニュータウン店が閉店している。これらに共通するのは「天一食品商事」、いわゆる本部が運営する直営店ではなく、フランチャイズ店舗という点だ。
天下一品ファンなら周知の通り、同チェーンはその大部分をフランチャイズ店舗が占めている。現在、全国に約200店舗を構えるが、フランチャイズは実におよそ9割。たとえば、東京であれば直営店は現在、高円寺店と中野店の2店舗のみだ。
さらに一斉閉店したフランチャイズ店舗には、もうひとつ共通点がある。すでに一部メディアでは指摘がある通り、これらはすべて「株式会社エムピーキッチンホールディングス」を親会社とする「株式会社エムピーキッチン」などによる運営だったということだ。
それを示すように、閉店した天下一品は、次々とエムピーキッチンの“別業態”へと生まれ変わっていった。その代表例がつけ麺チェーンの「つけ麺専門店 三田製麺所」、それに同社が新規ブランドとして立ち上げた「東京背脂黒醬油ラーメン 伍福軒」だ。
では、なぜエムピーキッチンは長年フランチャイズ契約を続けていた天下一品との関係を切り捨て、自社の別業態へ切り替えを急いだのだろうか。それも同じラーメンというジャンルで、だ。その「答え合わせ」が行われたのは、さる11月14日のことだ。