【独占】SBI北尾社長を直撃、「第4のメガバンク」で巻き起こす本気すぎる地方創生
SBIホールディングス 代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏が提唱してきた「第4のメガバンク構想」。北尾氏によれば、この構想は地方銀行にとどまらず、自治体、地域メディアを巻き込み、日本経済の底力を再生するための挑戦だという。20年以上にわたって変わらぬ経営理念を掲げ、このたび『金融とメディア、ITが融合する日』を上梓した北尾氏に単独インタビューを行い、地方における「勝ち筋」と、SBIグループが描く新しい金融の将来像を聞いた。 【画像付き記事全文はこちら】
「第4のメガバンク構想」は“再始動”ではなく一貫した理念
私は「第4のメガバンク構想が再始動」と書かれた記事(注)を見たとき、正直、少し違和感を覚えました。私はこの構想を、途中で止めたことは一度もないからです。構想を掲げて以来、一貫して地方の金融機関をいかにしてより健全で、収益性の高い存在にするか、そのことだけを考えてきました。 (注:日本経済新聞『SBI新生銀行が再上場申請 「第4のメガバンク構想」再始動』2025年7月11日) 地方銀行は地域経済の“血液”のようなもの。そこが滞れば、地域全体が立ち行かなくなります。だからこそ、SBIとして本気で支える仕組みを作ろうと動いてきたのです。 第4のメガバンク構想とは、資本関係の有無に関係なく、SBIグループが中核となって全国の地域金融機関と連携し、広域的な金融ネットワークを構築する取り組みのこと。2019年に島根銀行と提携して以来、福島銀行、筑邦銀行、清水銀行、東和銀行、きらやか銀行、仙台銀行、筑波銀行、大光銀行、東北銀行ら複数の地銀と連携を進めてきました。 目的は、システム共通化や業務効率化、IT技術の活用などを通じて地銀の経営を強くすることで、SBIグループの金融ノウハウとデジタル技術を共有し、収益力を底上げしていく。 この構想の最大のポイントは、既存の三大メガバンクのように中央集権的ではなく、地方の自立を促す「分散型の連合体」である点です。私は、銀行連携は単なる資本関係ではなく、システム運用・リスク管理・投資・商品開発など、幅広い領域での協働により、銀行同士が競争だけでなく協調できる関係を築き、地方に新しい金融の“生態系”を作りたいと思っています。 地銀が単独では難しかったIT投資や人材育成も、共同で取り組めばスケールメリットが生まれる。たとえばシステムのクラウド化や共同の運用基盤を導入すれば、コストを大幅に削減できます。 もちろん、現場の課題は山ほどあります。システムは古く、ベンダーに縛られ、運用能力も十分とは言えない。そうした現実を変えるには、時間も根気も要ります。それでも私は、ここを避けて通るつもりはありません。地方の銀行がしっかり稼げるようにならなければ、日本全体の経済が縮小するからです。 今、SBI新生銀行は公的資金の返済を終え、上場を目指す段階に入りました。これを中核に、他の地方銀行と力を合わせる体制づくりを本格化させています。テクノロジーと経営の両輪で支援するのが我々の使命であり、いよいよ「構想」から「実践」のステージに入ったというわけです。