求めるのは「被害の広がりの全容解明」 水俣病健康調査で被害者ら

水俣病の住民健康調査で用いられる脳磁計=国立水俣病総合研究センター提供
水俣病の住民健康調査で用いられる脳磁計=国立水俣病総合研究センター提供

 水俣病が発生した不知火海沿岸の住民健康調査は、11月に試験的調査が始まった。2026年5月で公式確認から70年の節目を迎える水俣病。国による調査は「あたう限りの救済」を掲げた09年施行の水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に明記された。しかし、手法の検討に時間がかかり実施に至るまで16年の年月を経たうえ、被害者側が望む調査の形とは隔たりが大きいままだ。

関係者の強い拒否感

 国が住民健康調査の実施予定を10月に公表した後、患者や被害者らでつくる「水俣病被害者・支援者連絡会」は、石原宏高環境相宛てに調査中止の要望書を送った。公害問題の研究者らでつくる「日本環境会議」も中止を求める声明を発表するなど、関係団体の拒否感は強い。

 両団体が最も問題視するのが国の調査手法だ。脳磁計とMRIを併用し、1人の調査に1泊2日と時間がかかる。連絡会は要望書で「これでは早期に不知火海沿岸全域で調査を実施することはできない」と訴える。

 調査結果が被害の実態を過小評価する材…

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