特別支援学校生含めず統計算出、大学進学率など 文科省「理由不明」
文部科学省が、基本的な統計に使う「18歳人口」に特別支援学校の卒業生を含めず計算していたことが分かった。18歳人口は大学(学部)や短大などの進学率の算出に使われる。大学進学率を統計として公表し始めた当初から、同じ運用が続いてきたという。担当者は「明確な理由は確認できていないが、対応を検討する」としている。
文科省によると、大学などの進学率は、学校教育に関する基本的な統計をまとめた「学校基本統計」に載せている。1999年度から、54年度以降の数値を載せ始めた。
数値は、その年の大学入学者数を18歳人口で割って算出する。文科省は、分母の18歳人口に「3年前の中学校卒業者数」を用いてきた。高校に進まなかったり、中退したりする人もおり、「高校卒業者数」とずれるためだ。
その後にできた中等教育学校の前期課程修了者数や義務教育学校の卒業者数は、18歳人口に含めてきた。しかし、特別支援学校中学部の卒業生は含めなかった。
文科省の担当者は取材に、そうした運用とした理由を未確認だと回答した。一方、義務教育段階の子どもが特別な事情で学ぶことが困難な場合に就学を猶予することにより進級が遅れる可能性を挙げ、その場合は「年齢と学年が一致せず、18歳人口として不正確になる」とも説明した。
2024年度の大学進学率は過去最高の59.1%と発表された。もとにした18歳人口は106万3451人。しかし、特別支援学校中学部の「3年前の卒業者数」にあたる21年度の卒業者数9836人を18歳人口に加えると、大学進学率は58・6%になる可能性がある。
文科省の担当者は「障害者に対する差別意識があるわけではない。懸念があるようなら、しっかり受け止め、対応する」と話した。
- 【視点】
最初このニュースを見た時は、「昨年度ヒューマンエラーがあった」という話かと思ってしまいました。実際は、公表当初からこの運用だったということで、つまり「特別支援学校の卒業生が大学に進学することはないよね」という無意識のバイアスが働いていた、と
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