まだ本編に出てないけどフリーナです。
もう少し待っててくだしあ…
フリーナと小話 第一幕
「………」
「おーい、マルクー。」
誰かに呼ばれて、少年はまどろみからゆっくりと目を開けた。
「……ん〜……ああ、フリーナか。何か用か?」
「『何か用』じゃないよマルク!今日は僕と買い物に行くって約束したでしょ!」
「……そんな約束、したっけな。」
「したよぉ!君が最近、服が無いってヌヴィレットから聞いたんだ。だから一緒に買いに行こうって言ったじゃないか!」
「……あぁ、そういえば。悪い悪い、今行くよ。」
「まったくもう!ほら、行くよ!」
そうして2人は連れ立って街へと繰り出した。目的は、マルクの服の新調。
「なぁ、フリーナ。僕、服を選ぶのってあんまり得意じゃないんだが……何を着たらいい?」
「ふふっ、そうだと思ってた。じゃあ、これなんてどう?」
フリーナは楽しげに、二着の上着をマルクに差し出す。一着はスメール風の精緻な刺繍が入ったチュニック、もう一着は稲妻風の落ち着いた和装に似た上着だ。
「この二つなら、どっちが似合いそう?」
「うーん……君が着るなら、こっちかな。」
フリーナが指差したのは、稲妻風の上着だった。
「なるほど。じゃあ、これにするよ。」
マルクは素直に選ばれた服を手に取ると、さらにズボンを二着、黙って手に取った。
「……それも買うの?」
「僕にぴったりだ。」
キリッとした顔で断言するマルク。フリーナは少し引きつった笑顔を浮かべた。
「そ、そうなんだ……それじゃ、そろそろお会計に行こうか。」
「フリーナ、モラは持ってるのか?」
「もちろん。当たり前でしょ。ヌヴィレットが買い物用にって、ちゃんとくれたんだから。」
「へぇ……さすがヌヴィレット。」
マルクは手にした服を持ってレジへ向かい、フリーナと共に会計を済ませる。そして、袋を手に店の外へ出た。
「さて……買い物も終わったし、そろそろ帰るか。そうだ、今日の晩飯もパスタでいいのか?」
「当然だよ。……って、まさか君が作ってくれるの?」
「さあな。フリーナが食べたいって言うなら、作ってやってもいい。」
「やったー!君の作る料理、なんでも好きだよ!」
「……嬉しいこと言ってくれるな。」
「だって本当のことだもん。」
「……そっか。」
夕陽が長い影を作る道を、二人はゆっくりと歩き出す。どこか穏やかで、温かな空気がその背中を包んでいた。
………………
「ところでさ、マルク……君が着てる服って……結構その……個性的だよね……」
フリーナが少し言いづらそうに言うと、マルクは胸を張って即答した。
「何を言う。あれは僕の自作だぞ。僕のセンスが光る逸品だし、いずれは売り物にする予定だからな!」
自信満々なマルクの横顔を見ながら、フリーナは無言になった。いや、言葉を選んでいただけかもしれない。
「………………」
気まずい空気というほどではないが、沈黙が少しだけ長く流れた。
「……まあ、君が満足してるなら、いいけどね。」
「当然だ。」
マルクは鼻で笑うように言い、前を向いて歩き出す。そんな彼の後ろ姿を見ながら、フリーナは小声でつぶやいた。
「売れるかどうかは、また別の話だと思うけどね……」
フリーナ可愛い…もっと幸せになれ…
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