〜玄鳥視点.
「………」
俺と胡桃は戸惑っていた。
目の前に俺に似た少女がいきなり現れたからだ。
今日は近くの崖で日向ぼっこをしていた。
特に事件も無く、平和な一日だった。
しかし、そんなやさしい日に突然こんな事が起きたので、俺達はかなり混乱していた。
「……」
「……」
俺と胡桃が沈黙していると、その少女が目を覚ましたようだった。
「ん…んん…」
「うおっ」
俺らはビックリして驚いてしまった。
「……うーん…ここは?」
少女は眠たそうに欠伸をすると、すくっと立ち上がった。
彼女の瞳孔は俺や胡桃と同じく梅の花のような形をしていた。
「あら…あなたは?」
「俺は玄鳥…あんたは?」
「私は燕。詳しい事を話すと長くなるけど、いいかしら。」
「ああ、別にいいぞ。」
俺は燕の話を簡単に聞いた。
「つまり……お前は異世界から来た俺ってコト!?」
「その通りよ。」
燕の話を要約すると、こことは別世界の璃月から保管していた封剣という剣が7本全部盗まれ、その犯人を追ってこの世界に来たらしい。
「それで、犯人に心当たりはあるのか?」
俺は燕に聞いてみたが、燕は首を横に振った。
「いいえ……全く分からないわ……」
「そうか……」
俺は少し考え込んだ。
「なあ……俺達も協力してもいいか?」
「……へ?」
「だから、俺達も一緒に犯人を探させて欲しいんだ。」
「え、ええ……それは構わないけど…いいの?私個人の問題なのに……」
「まあ、別に構わないよ。それに……なんか面白そうだしな!」
「でも…」
「人の好意は素直に受け取っといた方が得だぜ?」
俺はそう言って燕に笑いかけた。
「そう……なら、お願いしようかしら…」
燕は少し微笑んで言った。
「ああ、任せとけ!」
俺はそう答えてガッツポーズをした。
しかし、それと同時に俺のお腹がグウゥッと鳴った。
「あら、玄鳥ったらお腹が減ったの?」
「ああ……そういえば朝から何も食べてなかったな……」
「それなら、戻ってなんか食べよう。燕、場所は分かってる?」
「ええ、璃月の往生堂。でしょう?」
やっぱり別世界の俺。当然の如く璃月の事もよく知ってた。
そして三人で往生堂に戻り、俺は厨房に、胡桃は燕と話していた。
〜胡桃視点.
「それで、燕は好きな食べ物も同じなの?」
「私はマーボーカレーが好きよ。あ、それからオレンジジュースも好きかな。」
「おー、玄鳥もマーボーカレーが好きだよ!ジュースはコーラの方が好きだけど。」
「あら、そうなのね。」
燕はフフッと微笑んでいた。
「それでね。この前お互い両思いだって分かっちゃってぇ…」
「あら、いいじゃない。」
「でも…早めに告白しないと他の子に取られちゃうかもしれないわね。」
「ええ!?」
「例えば…私とか…?」
燕は私に近づいて耳元でそう囁いた。
「え、えええ!?」
私は慌てて顔を真っ赤にさせた。
「冗談よ……フフ……」
燕はいたずらっぽく笑った。
「も、もうっ!ビックリさせないでよ!」
私は頬を膨らませて怒った。
〜玄鳥視点.
「おーい!できたぞー!」俺が厨房から戻ってくると、二人は仲良く談笑していた。
胡桃の頬はまだ少し赤みがかっていた。なんか熱でもあるのかな?
「今日はマーボーカレーだよ。」俺はそう言って、燕と胡桃の目の前にマーボーカレーを置いた。
「わぁ!おいしそう!」
胡桃が目を輝かせて言った。
「あら、マーボーカレーね?」
「ああ、そうだよ。」
俺は燕にそう答えた。
「じゃあ、早速食べようよ!」
胡桃は待ちきれないといった様子だった。
「そうだな。」俺もお腹が減っていたし、早く食べようと思った。
そして三人で手を合わせてから食べ始めた。
「それで…封剣の宛てはあるのか?」
「うーん…夜の時には微かに光が漏れるのよ。その時なら、見つかるんじゃないかしら?」
俺は聞きながらカレーを10杯目のお代わりをしようとしていた。
「よし、じゃあ明日準備して探しに行こうぜ。」
「でも、暫く往生堂を開けることになっちゃうよ?」
胡桃からそう言われて、俺は少しガクッとした。
確かに胡桃は往生堂の堂主。離れてる間に葬儀ができなかったら大変だし…
「なら、こういうのはどうかしら?」
燕が指パッチンしてとある人形型の宝石を取り出した。
「それは?」
「これはスーパー代役ンと言ってね。胡桃。手を握ってくれない?」
「うん、いいよ!」
胡桃はスーパー代役ンの手を握った。
そうすると、スーパー代役ンが光り輝き…そこに胡桃そっくりな人形が現れた。
「おお、すげー!そっくりだぜ!」
俺は思わず感嘆の声を上げた。胡桃はスーパー代役ンの元に近づき、よく観察していた。
「本当にそっくり…でも、どうしてこれを?」
「これはね…旅をしてた時に友達になった子から貰ったの。」
燕は遠い目をしていた。
「ふーん、そうなんだ……でも、これで私が離れてても安心だね!」
「ええ、そうね。」
燕は微笑んでいた。
そうして色々あって夜。
「それじゃ、私たちお風呂に入ってくるね!」
「覗いたりしたら駄目よ?」
胡桃と燕は笑いながらそう言って、着替えを持って部屋を出た。
俺は伸びをしながら、外に出た。少し外の空気を吸いたかったし。
「ん?」
暫く歩いていると、この前邪魔してきた仙人が居た。
何故ここに?と思ったので、話しかけに行った。
「おーい。」「ん?おお、この前のガキンチョじゃないか。この伏龍様に会いたかったのか?」
「いや、別に会いたい訳じゃないけど。」
俺は伏龍から目を逸らしながら言った。
「へっ!まだ20年も生きてないガキンチョが、この最イケメンの伏龍様に何の用だ?」
「ない。」俺は伏龍の言葉を遮るように言った。
「あっそ。でも、可愛い男の子でも感激だぜ?」「うわっ!変態だ!」
「変態じゃない!変態という名の紳士だぜ!俺は!」「やっぱり変態じゃん!!」
俺は再び伏龍の言葉を遮るように言った。
すると、伏龍はやれやれと言った様子で首を振った。しかし、次の瞬間には遠くから氷の矢が飛んできて、伏龍の頬を掠めた。
「伏龍さ〜ん!」
「やっべ!甘雨だ!じゃあなガキンチョ!」
そうして伏龍は飛び降りてそのまま屋根をパルクールして逃げていった。
「……帰ろ…」
俺は往生堂に戻っていった。
「お帰り〜……って、なんか疲れてない?大丈夫?」
胡桃が心配そうな顔で言った。
「ああ……ちょっと外に居たら変なの見ちゃって…」
「そっか…気をつけてね…」
そうして二人は寝室に行き、俺は風呂に入った後にすぐに眠りについた。
〜胡桃視点.
「…それじゃあ行ってくるね!代役お願いね!」
「りょーかい!」
私はバッグに荷物を入れて、スーパー代役ンにそう声をかけた。
「じゃあ行こうぜ。」
そうして玄鳥を前にして、私たちは璃月を出たのだった。
・燕
CV:名塚佳織
元素:炎
武器:片手剣
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