青溟剣を使えるチートオリ主を生やして雲嶽山メンバーを救済したろwww   作:龍角散ガム

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第二話

 

 

風水、陰陽道、氣道。

 

古より伝わるそれらの術理は、ホロウとエーテルへと通じている。そして、そのエーテルに触れ、操るために編まれた技術体系こそが“術法”だ。

 

儀玄師匠の言葉を借りるならば、術法とは「ホロウやエーテルの侵蝕物質から放たれている周波数を操り、共振を起こしたりその周波数を変えることで相転移させる技」らしい。

 

......“らしい”と言うのは、私もお兄ちゃんも、その原理を完全に理解しているわけではないからだ。師匠の説明は、霧の向こうに見える灯火のように輪郭は掴めても、その奥までは見通せない。

 

私は理よりも感覚で捉える方が性に合っていて、お兄ちゃんは逆に、とりあえず理屈の形だけでも掴もうとするタイプらしい。

 

それでも、私たち兄妹にはどうやら術法の才があるらしく、儀玄師匠や儀降師匠、先輩方のもとで、日々修行を積む身となっている。ただし、その才は戦闘向けではなく、支援に向けた術に偏っているようだ。

 

雲嶽山の中でも上から数えられるほどの支援才を持つらしく、儀降師匠からも「あなたたち兄妹の才は、儀玄にも引けを取らないわ」と確かな評価を受けている。

 

対して戦闘向けの才能はほぼ皆無と言ってよかった。

儀玄師匠はクスリと笑いながらこう言っていた。

 

 

「お前さんたちの戦闘技術は壊滅的だな。......だが、そう落ち込むな。人には向き不向きがある。それにプロキシとは後方支援が主であろう?そこに特化した才を持っているのだ。胸を張れ」

 

 

確かに、護衛術として最低限の術法は修めたし、生身でホロウに踏み入ることもできる。しかし、心のどこかで私は思ってしまうのだ。師匠たちのように、兄弟子・姉弟子たちのように、戦いの只中で立ち回れたらと。

 

今まで数多の仲間の戦いを見てきたが、雲嶽山の戦いはそのどれとも異なる。もし言葉で表すのなら、『柔』と『剛』を一呼吸のうちに編み上げる戦い。

 

風に舞う葉のように相手の攻撃を受け流し、爆ぜる雷のように蓄えた気を一瞬で解き放つ。福福先輩、瞬光先輩は特に『柔』を極め、潘さんと釈淵さんは『剛』を鋳造している。そして儀玄師匠と儀降師匠は、その両極を自在に往還していた。だが、その雲嶽山の中にあって、ひとりだけ“異質”がいる。

 

雲嶽山の宗主、㬢聖師範だ。

 

彼の動きは『柔』でも『剛』でもない。

もっと原初的で、もっと破滅的で、もっと圧倒的な———

 

そう、まさに『暴』だ。

 

私の認識では、術法とは“10の周波数を共振させ、異なる10へと変換する技”だ。

 

儀玄師匠や儀降師匠はその10を20、30へと増幅させる。だが㬢聖師範は、10を100に、1000に、無窮に跳ね上げる。しかも、その源流となるエーテルは尽きる気配すらない。僅かなエーテルを核に、無限にも等しいエネルギーを生成する。

 

膨大な気を孕める肉体。

それを制御する天賦の才。

まさに宗主の名にふさわしい怪物だった。

 

そして私は、その力を———

 

いや。

今、この瞬間に目の前で見せつけられている。

 

 

「ほらほら、どうしたお前ら。さっきから防戦一方じゃないか」

 

 

「そ、そんな.....こと言われても......よぉ......!」

 

 

「相変わらず......化け物じみたお方だ......っ!!」

 

 

「ひゃああああ!?!?す、少しは手加減してくださいぃ〜〜!!」

 

 

「弾幕が多すぎて避けるのが精一杯......っ!!」

 

 

視界が拓け、遠くまで見渡せるホロウの中の空間。その中心で、宙に浮かび腕を組んだまま、乾いた笑いを響かせる㬢聖師範。そして、その周囲で冷や汗を流しながら弾幕を躱し続ける兄弟子・姉弟子たち。

 

師範の背後には無数の“波紋”が広がり、そこから金と黒が墨のように滲むエネルギーがほとばしっていた。

 

“墨汁”などという生易しいものではなかった。そのエネルギーは地を砕き、触れるたびズドン、ズドンと重低音の地鳴りを生み、瞬く間にクレーターを刻んでいく。

 

潘さんと釈淵さんはその弾幕を己の身体で受け止めて相殺し、福福先輩と瞬光先輩は刃の間隙を縫うように躱しながら反撃の機会を探る。

 

 

「やああああっ!!!」

 

 

「そこっ!!!」

 

 

二人は弾幕の切れ目を縫い、視界の死角から同時に師範へと躍り出た。

 

 

「機動は確かだ。だがな、避けるだけでは戦いにならん。避けられない時、お前らはどうする?こんな風にな」

 

 

「わ、わわっ!?これ何ですかぁ〜〜!?!?」

 

 

「身体が......動かない!?!?」

 

 

師範が軽く右手を引き上げる。それだけで、地面から糸のようなエネルギーが噴き上がり、二人を瞬時に拘束した。

 

それは弾幕が地面を砕いて散らばり、点々と黒金の“水溜まり”として収束したものから伸びた拘束線だった。宙に縫い止められた二人は、抵抗もできぬまま追撃を受け、地へと叩き落とされる。

 

 

「潘。釈淵。どうする?守りに徹して反撃を待つだけか?いつまでも耐えられると思うなよ」

 

 

師範が右手を振り下ろすと、背後の波紋が一斉に膨れ上がる。次の瞬間、弾幕の数が倍へと跳ね上がり、二人へと雨のように降り注いだ。

 

 

「ぐうううっ!! 兄弟子ぃ!!」

 

 

「分かってます!!」

 

 

釈淵さんが素早く潘さんの背に立ち、呼吸と気脈を重ねるように波長を合わせ始めた。二人の気配が溶け合い、ひとつの脈動へと収束した瞬間、潘さんの前に巨大なエーテル盾が重々しく形成される。

 

 

「いきますよ、潘!!」

 

 

「応とも!!」

 

 

容赦なく降り注ぐ弾幕を、潘さんは盾ごと押し返し始める。その背で、釈淵さんは剣に深くエネルギーを沈め、刀身に黒金の輝きを滲ませていく。

 

 

「へぇ〜、やるじゃん」

 

 

㬢聖師範は、軽く息を吐くような仕草で両手を前に出すと、バレーボールほどの球体エネルギーを掌の間に創り出した。

 

それが師範の手を離れた瞬間、まるで意思を持ったように動き出し、弾幕の隙間を蛇行し一直線に盾へと迫る。その姿はドローンの様だった。

 

球体が淡く脈動し、次の刹那。中心から直径十センチほどの光線が噴き出した。

 

 

「っ!?!?」

 

 

光線はヒリヒリと盾を灼き、焼けただれた痕を広げ、じわじわと深い亀裂を走らせていく。

 

 

「くそっ......はあっ!!!!」

 

 

釈淵さんが盾から半身を乗り出し、刀を閃かせて球体を斬り裂いた。爆ぜるように白い蒸気が舞い上がり、視界一面を覆い尽くす。

 

潘さんは即座に新たな盾を形成し、釈淵さんも次の一撃のために剣へエネルギーを重ねていく。

──だが。

 

 

「なっ......!?」

 

 

「おいおい、嘘だろ......!?」

 

 

蒸気が晴れたその先で、ふたりは言葉を失った。

弾幕は止んでいた。だが、その代わりに釈淵さんが斬り裂いたはずの球体エネルギーが無数に広がっていた。

 

球体一つ一つが獣の瞳のようにギラリと光り、次の瞬間、雪崩のように光線を放った。先ほど盾を焼き切った威力ほどではない。しかし、逃げ場のない連撃は二人の体力と意識を無慈悲に削り取った。

 

光が収束したとき、兄弟子二人は力なく地へと沈んでいた。

 

ほんの数分の出来事だった。

 

あれほど頼りになる先輩たちが、為す術もなく倒れた。しかも、㬢聖師範は一歩たりとも動かず、ただ『暴』を放つだけで。

 

計り知れない実力差。

 

『柔』でも『剛』でもない、ただ純粋な破壊の力。

 

圧倒的な『暴』の前に、私はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

「う〜ん。まだまだだね」

 

 

ふわりと重力を無視するような軽さで地面へ降り立った㬢聖師範は、先ほどまで破壊の嵐を撒き散らしていたのが嘘のように穏やかな気配を纏い、気絶した兄弟子、姉弟子たちを柔らかなエネルギーで包んだ。先ほどの『暴』とは別種の、温かい波動が周囲に満ち、その身体を丁寧に修復していく。

 

㬢聖師範は肩を軽く回し、儀玄師匠と儀降師匠へと視線を向ける。

 

 

「んで、次の相手は?儀玄?それとも儀降?」

 

 

儀降師匠が小さく息をつき、目元に手を当てて答えた。

 

 

「私は新しいお弟子ちゃんたちの面倒を見ないといけないから、今日は遠慮しておくわ」

 

 

儀玄師匠も続けて、まるで当然のことのように言ってのける。

 

 

「私も今日は肌の調子が悪くてな。このあとリンとエステに行く予定がある。残念だがパスだ」

 

 

その涼しい顔をしている二人の内心は、言葉にせずとも分かる。

 

“ふざけるな。お前みたいな怪物と遊んでたら命がいくつあっても足りん”

 

だが次の瞬間、儀玄師匠が何かひらめいたように手を打ち鳴らし、スマホを取り出した。

 

 

「そうだ。私の知り合いに、大の修行好きがいてな。そいつと鍛錬すればいい。なに、奴は私と互角に渡り合える実力者だ。思う存分暴れてくるといいさ」

 

 

そう言ってどこか楽しげに連絡を取り始める。

私はその人物が誰なのか気になって耳を澄ませたが、“メロン”という単語が聞こえた瞬間、すべてを悟った。

 

 

「ほ〜ん。じゃあ、日程は任せるわ。俺はそいつの都合に合わせる。......さて、ひとまずこの未熟な弟子たちの治療でもしますかね〜」

 

 

ヒラリとひょうきんに手を振り、㬢聖師範はエネルギーに包まれた先輩たちを軽々と指先で操りながら歩き出す。

 

その時、㬢聖師範が何気ない調子でふり返った。

 

 

「あ、今度はアキラの番だからな〜」

 

 

「え、えぇ!?ちょっと待ってくれ師範!!冗談だろう!?!?」

 

 

「いやマジの本当よ本当。俺、嘘つかない」

 

 

「ど、どうして僕が......!?」

 

 

「お前さんには女難の相が出てるからな。もしもの時に逃げられるよう鍛えとく必要がある。安心しろって。こいつらほどハードじゃない。ただ俺の弾幕からひたすら逃げ回るだけの簡単な修行よ。ほら、今のうちに心構えしとけよぉ〜」

 

 

師範はカラカラと乾いた笑いを残しながら、ゆるく手を振って去っていく。

 

その背中を見送ったお兄ちゃんは、ぺたりと膝を落とし、地面に両手をつけて完全なるorz姿勢を決めた。

 

 

「お兄ちゃん......」

 

 

「まあ......その、なんだ......頑張れ」

 

 

「骨だけは拾ってあげるから、安心してね」

 

 

私たちのやさしい労り(?)の声が届いた瞬間、お兄ちゃんは「ガハッ!!」と謎の吐血をして倒れた。

 

少し可哀想だけど......

うん。自業自得だよね、これは。

 

さっきまでの緊迫感が嘘みたいな脱力空気の中、私はひとつだけ確信した。

 

明日から、お兄ちゃんの地獄が始まると。

 





オリ主くんの攻撃のイメージは『ゲートオブバビロン』『ファンネル』、Marvel's Spider-Manに出てくるガジェットの『トリップ・マイン』です。
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