四大企業 アトラース   作:スキル素材年中枯渇ニキ

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感想、誤字脱字報告誠にありがとうございます……!

エタりたくないって気持ちだけは本当です……


そこのお前! ニケ1人に含まれる脳味噌は、人間1人分だぜ!

 地上。

 

 今日も太陽は平等に陽光を齎していた。ただその恩恵が人類に齎される事はない。地上は最早ラプチャーの支配にあったからだ。

 

 そのラプチャーを倒す為、地上にある資源を確保するため、あるいは自由を求めた為、地上に出た人間に対して向けられたのは、ラプチャーの苛烈な歓迎であった。

 

 今日も何処かでラプチャーが、ニケが、人間が屍を晒して誰かの養分になる。

 

 私も、そしてニケとなった母さんも、人間は除くものの、その屍を養分として今日を生き延びる。

 

 パパパンッ! という連続した発砲音を最後にラプチャーが沈黙する。完全な不意打ちだった。

 

「ふう……仕留めたわよ、アドルフ」

 

「お疲れ、『ハンナ』。今日も問題なく使えて良かったよ」

 

 地上で拾った、中央政府軍所属のニケが装備していたアサルトライフルを使う母さん。不甲斐ない話だが、母さんだけがラプチャーに対抗出来る唯一の戦力だった。

 

 

 


 

 

 

 母さんは、結果的には生存は出来た。だが、その面影は最早どこにもない。記憶は失われ、姿も見慣れた量産型と変わり、母さんが生きた証は、私の頭の中にしかない。せめて髪型だけでもとストレートロングヘアーにした私の行動は、滑稽に映っただろうか?

 

 記憶を保持したままニケにする事は、恐らく技術的には可能な筈だ。だが、それをする余裕はなかったし、()()()()()()()()

 

 こうして母さんが生き残れた事を考えれば、後悔はしていない。だが、思う所はある。過ぎた事を気にし過ぎても仕方がないだろうと言い聞かせて自分の心に納得をさせるには、時間がかかるだろう。

 

 どんなに形が変わろうと、母さんは母さんだ。今を生きているだけでも万々歳だろう。これ以上は望むんじゃないぞ、アドルフ……

 

 

 

 ……話を前に向けよう。今の私はニケを完成させたが、まだまだ予断を許さない状況なのだから。

 

 本当に不本意ながら、母さんという戦力が出来た事で地上での物資の回収が容易になっただけでなく、ラプチャーの残骸も倒して回収出来るようになった。これが中々高値で売れる。特にコアは。

 

 買い手もそこまで苦労はしなかった。こんな体なんで強奪してこようとしたり、安く買い叩こうとしてくるようなろくでなしばかりだったが、母さんが持ってる銃が玩具ではない事と、普通の銃では死なない体なのを証明したら誰もが掌を返した。なので買い手を選ぶ必要もなくなった。

 

 私が単身で地上に出ていた時の成果を考えたらとんでもない効率だ。いい意味でも悪い意味でも涙が出てくる。

 

 最近の私は泣いてばっかりだな……

 

 

 


 

 

 

 戦利品を持ってアウターリムに戻る。そしてまた地上に行ってまた戻ってくる。何度かそんな事をしていく内に、また一人死にかけの女性を見つけた。

 

 アウターリムの大通りから裏路地に続いている血痕。よく集中して探さなければ見つからないようなほんの小さな血痕だった。

 

 私と母さんは血痕を追い、裏路地に突入する。アウターリムの裏路地などおっかなくて普通は入れたものじゃないが、母さんという戦力がいる。どんな荒事があろうと切り抜けることは可能な筈だ。母さんのNIMPHに、人間に対する攻撃のセーフティを搭載などしていない事だし。

 

 ……それは場合によっては、母さんに殺しをしてもらわなければならないという意味を持つだろう。覚悟を決めたというよりは、ちょっと見るだけだからそんな事にはならないだろうという楽観がこの決断に踏み込ませただけだが……

 

 しかし終わり良ければ総て良しとでも言うべきか、その楽観が結果的に功を奏した。

 

 裏路地に入ってすぐだった。中学生か高校生ぐらいの年の女性が血を流して倒れていた。

 

 私達が辿ってきた血痕の少なさから軽傷だろうと考えていたが、その女性は腹部に銃撃を食らっていた。良く見て見れば途中から血痕の量が増えている。

 

 女性は手で腹を抑えながら倒れており、恐らく最初見た血痕は、手で押さえながら移動した為滴る血が少なかったからであり、途中から血が手から溢れて、それで途中から血痕の量が多かった訳だ。

 

 命中箇所とこの出血量を鑑みるに、内臓は損傷しているのは当然として腹部の動脈も掠めている可能性が高い。持って後1~2時間の重症だ。

 

 ……使える。

 

 心配するでもなくそんな感想を真っ先に抱いた私にショックを受け侮蔑しながら、その女性に近づいて話しかける。

 

「大丈夫……ではないでしょうが、聞こえますか?」

 

「…………? だ、誰……だ……? ファミリーの、連中か……?」

 

「時間がなさそうなので端的に話します。第二の人生を歩んでみる気はありませんか? とは言っても、多少の運は絡むでしょうが……」

 

「な……に……?」

 

「もっと分かりやすく言うのであれば、生きたいか、死にたいかです。死にたいのであれば、このまま放っておきます。しかし、生きたいのであればこの手を取ってください」

 

「…………好きに、しろ。どうせ、もう……長くない……」

 

「肯定と受け取りますよ。ハンナ、悪いけど荷物を追加だ。なるべくでいいから、丁寧に扱ってくれ」

 

「う、うん! 分かったわ」

 

 

 

 その後はなるべく急いでその場から離れて帰宅した。

 

 彼女の口からファミリーという単語が飛び出した。アウターリムでファミリーと言えばマフィアの事だ。当然ながら一般的な意味では使われる事はない。

 

 察するに、あの辺りのマフィア相手になにかやらかしたか。豪胆というか命知らずというか、食い詰めていた私ですら彼らから盗みをやろうとしなかったというのによくやるものだ。

 

 その結果銃弾一発で死にかけるなら世話ないが……

 

「……よし、上手くいってるぞ。やはりこの比率で間違っていなかったんだ……!」

 

 それは滞りなくニケを作れるという安堵か、それとも今更命が助かってよかった等とみっともない偽善を抱えての事か、いずれにせよ喜ばしい事なのは間違いなかったが。

 

 兎も角こうして母さんに続く第二のニケは完成した。目を覚ました彼女に、名前がレイチェルである事を教えた。彼女の荷物の中に、レイチェルと書かれたプレートがあった。それが本当に彼女の名前を示しているという保証はなかったが、今の私には、彼女の個人情報を調べる余裕も時間もない。

 

 

 


 

 

 

「お、おい……本当にやるのかよ……?」

 

 やはり臆さざるを得ないかと、予測できた事とは言え母さんは臆さずに出来た事を考えれば、苛立ちを覚えなかったと言えば嘘になる。だが実際に矢面に立つ人間に対して向ける感情ではないとその場、心の中で反省した。

 

「付近に他のラプチャーは確認できません。不意打ちなら倒せます」

 

「4体同時にか!? 加減しろよ、こっちは初心者だぞ!?」

 

「初心者もベテランも関係なく死にますよ、ここは。相手は熱源を探知できます。時間をかける方が危険です」

 

 レイチェルの初めての実戦。お膳立てされているように見える4体の孤立したラプチャー。当初こそ多少覚束なかったが、流石に場数を踏んで慣れてきた母さんは何時でも準備できているのに対して、レイチェルは足踏みしている状況から抜け出せないでいる。

 

「ッ~~、分かったよ! 死んでもいいからさっさとやってこいって事だな!?」

 

「いえ、死なれたら凄く困ります」

 

「どっちだよ! あーもう! 知らねえからなチクショウ!」

 

「ハンナはレイチェルの援護を」

 

「ええ、分かったわ」

 

 やっとこさ突撃した結果、母さんは3体、レイチェルは1体の討伐という結果に終わった。時間が経てば経験を積んでセルフレス級ぐらいは軽くあしらえるようになるだろうか。

 

 孤立したとは言えラプチャー4体、これでも運がいい方だ。ラプチャーをここまで好条件で倒せる機会はそうそうない。大抵3ダースはウヨウヨしているこの地上で、正直に言えばあまり悠長な事は言いたくなかった。

 

 あまりにも甘いペースではかえって危険な状態が続くという焦燥感か、早い所成り上がって自分の新しい目標を考えたいという欲求か。

 

 それとも、母さんを戦わせたくない、幸せな生活を送らせたいという遅すぎる孝行が、彼女達の後ろで威張り散らしているだけの男を増長させているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハァー、ハァー、ハァーッ……!」

 

 呼吸が荒れる。アドルフの口から、疲れを感じない体だと説明を受けていたのにこうなるのは、精神面から来る疲れからか。

 

 ショットガンから発射された弾丸はラプチャーを粉々にした。命を賭けた死闘に、勝ちを掴み取って見せたが、バラバラにしたラプチャーがまた動き出してこちらを襲ってこないか、レイチェルにとっては気が気ではなかった。

 

 極限状態の中恐怖で追い込まれていた精神は、しかし流石に時間が経てば多少は薄れてきた。

 

「お疲れ様、レイチェル」

 

 そう言って労うハンナは、ラプチャーを3体倒し、残骸をバッグに入れていつでも動けるように準備していた。

 

 こういう事をやり始めてから2週間経つハンナは、レイチェルよりは手際がずっと良かったのである。

 

「ども……パイセン、いつもこんな事やってるんすか?」

 

「今日は運がいい方よ? ある意味ね」

 

 ハンナがラプチャーの残骸を見ながら言うその意味は、生きる糧が得られた事だというのはレイチェルにも察せられた。

 

「金が要るのは分かるっすけど……正直、こんな事してたら命が幾つあっても足りなそうって言うか……」

 

「そうね……でも、こうして戦える手段があるだけ他の人よりは恵まれてると思うわよ」

 

「あー……まあ、これ以上望んだら贅沢っすかね」

 

 レイチェルもラプチャーの残骸を回収して立ち上がる。その後、二人は後方で待機しているアドルフの元に歩みを進めた。

 

「それにしても、アドルフ……アイツ一体何なんすか?」

 

「凄いでしょ? アドルフは」

 

「まあ、凄いのは分かるっすけど、何というか現実味がないというか異物感があるって言うか……言っちまえば気味が悪いっすよ……」

 

 その話を聞いてハンナが困った顔をしてるのを尻目に、レイチェルは続けた。

 

「アイツ、6歳っすよ? 勉強する時間もなければ学校にも行ってない。それが掃き溜めのジャンクパーツでニケを作る、パソコンも作るわレーダーも作るわ武器も修理するわ、あの子一体何なんっすか? 中におっさんが入ってるって言われてもアタシは驚かないっすよ?」

 

「それは……確かに私もそこはちょっと変だなーって思ったりはしたけど……」

 

「ちょっと所じゃないっすよ……今を生き抜くために、アイツの知恵が必要なのは分かる。だからアタシはアイツに協力するって決めた。でも……」

 

 レイチェルは一度立ち止まり、意思表示をするかのようにハンナの目を真っ直ぐに見つめて答えた。

 

「アタシはあの化け物の事を信頼できない。お互い利用し、利用される関係だ。記憶を失ったアタシが唯一残ってた、アウターリムでの処世術はそうしろって答えを出したっすよ」

 

「……」

 

「悲しそうな顔をするんすね。丁度いいから聞かせて欲しいっす。パイセンは、アイツの事を……アドルフの事をどう思ってるんすか?」

 

 ハンナは数秒間の間目を瞑って考えた。

 

「……何なんでしょうね? 私も、正直分からないの」

 

「分からない?」

 

「レイチェルの気持ちは、否定しないわ。多分、それが普通の反応なのよね。でも……私は、アドルフの為ならどんな事でも頑張れるって気がするの」

 

「どうして?」

 

「具体的な事は、あんまり言えないけど……そうね、レイチェルは……アドルフの事を化け物って言うけど……私はアドルフの事を可愛いって思うの」

 

「……度し難い部類のショタコンでいらっしゃる?」

 

「真面目な話をしてるの」

 

「あいてっ」

 

 ハンナは呆れた顔でレイチェルに軽くチョップした。

 

「つまりね、私にはアドルフは普通の人間に見えるって事。ジャンクパーツでニケを作っちゃう、パソコンも作っちゃう、レーダーも作っちゃう。それでもアドルフは普通の子供なの」

 

「……何でそう思えるのかってのを聞きたいんすけどね」

 

「ごめんね。最終的には、なんとなく……としか言えないかしら。でも……そうね。強いて言うなら――」

 

 

 

『生きてて……よかった……』

 

 

 

「――あの時流した涙が、偽物だとは思えなかったから」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ニケが元の家族を家族と考えてもー……家族もそうだという保証はありませんよね……』

 

『ニケは基本、不滅の存在ですー……赤ちゃんだった妹が、いつの間にか私よりも老いてしまう……そこで違和感を感じるのは、ニケの方でしょうか……ニケの家族の方でしょうか……?』

 

『過去、地上での戦闘と1、2を争う死亡要因がありました……家族と出会った直後……ですー……』

 

 MIRACLU SNOWでのエクシアの言葉を思い出す。Nの家族に、Nを合わせてやりたいという指揮官に対してリスクを説明するシーンだ。

 

 中央政府にとっては、ニケを兵器として運用したいからという側面もあったのだろうが、実際問題思考転換の確率は馬鹿にならなかったのだろう。

 

 ニケになった際に記憶は消えている。正しい。正しいんだ。

 

 ニケの製造成功で舞い上がって母さんと呼んでしまった失敗以来、私は母さんを母さんと呼んではいなかった。

 

「ハンナ、今日もお疲れ様」

 

 そう、私が母さんをハンナと呼び、家族であるという真実を私の頭の中にだけで留めておくのは、正しい事なんだ。

 

「ええ、ありがとう。レイチェルの事も労ってあげて」

 

「ああ、勿論だ。後で言っておくよ」

 

 母さんを殺したようなものだと、自分でも認めていたじゃないか。寧ろ、ハンナを母さんと呼ぶ道理が何処にある?

 

「これで全てのニケのパーツが揃った。三人目のニケが作れる。私達の生活も、徐々に楽になっていく筈だ」

 

「……自由意志、よね?」

 

「まあ、そうだな」

 

 到頭、私は一人になってしまった。

 

 耐えられるだろうか。この孤独に。

 

 誰も私を無条件で受け入れてはくれない。利害の一致と打算だけが、人とのつながりを保つだろう。

 

 だから家族というのは偉大なんだ。何一つ裏表のないおかえりが、私を迎え入れてくれるから。

 

 だがもう、誰も私におかえりと言ってはくれな――

 

 

 

 ……ふと、母さんの腕が私を包み込む。

 

「アドルフ、貴方も休みましょ? 今日はもう遅いし、凄く疲れてるように見えるわ」

 

「ハンナ……だがまだ機械の調整が……」

 

「ダーメ。根詰め過ぎて倒れたら、それこそでしょ?」

 

 そう言ってベットに連れ込もうとする母さんに、疲労と合わせて流石に強情に反論する気にはなれなかった。睡魔に負けた私は、されるがままにボロボロのベットの上に寝かせられる。

 

「アドルフが何をしようとしてるのか、私にはあんまりよく分かっていないのだけれど……アドルフはとっても頑張ってると思うわ」

 

 私の頭を撫でる母さんの手が、どうしてか温かい。ボロ布を毛布がわりにしているだけの状態で体が温まるこの現象を、しかし何も疑問に思えなかった。

 

「ちょっと頼りないって思う事もあるかもしれないけど……私ももっと頑張るから……」

 

 積もり積もっていた眠気も相まって、重い瞼を閉じた。赤の他人のぬくもりに、確かな心の安堵を感じる。

 

「だからアドルフ……『おやすみなさい』」

 

 そんな陽光の様に温かい手が

 

 

 

 どうしようもないくらい、恐ろしかった。




現在公開可能な情報

ハンナ:アナザーデイズ

レアリティ SSR

企業 アトラース

部隊 ???

ニケストーリー アドルフがアトラースを起業する前に作られた、そしてアドルフが初めて作ったニケ。
※『注意』申し訳ありませんが、これ以上の情報は、アドルフ社長の希望により閲覧できません。

コード 風圧

武器 アサルトライフル

クラス 支援型

バースト Ⅰ

スキル1 癒し手 
最後の弾発射時、味方全体に『スキル発動者の最終最大HPの8.5%回復』 フルバーストタイムが発動した時に、味方全体に『毎秒スキル発動者の最終最大HPの2%回復』10秒間維持

スキル2 先手必勝 
ダメージを受けていない敵がいる時、自分に「攻撃力48%▲」

バーストスキル ワン・フォー・ユー 20秒
自分に「攻撃力32%▲」味方全体に「攻撃力16%▲」8秒間維持
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