第2話 理不尽な闇の女幹部Sさん-1
正規雇用の内定をひとつももらえなかった私。
けれど、短大の就職課から非正規ではありますが臨時雇用という、お役所の事務補助の仕事を紹介してもらえました。
社会人、若葉マークの私が初めて働いたのはお役所のとある土木系の課でした。
職員は専門技術を持つ中年男性が15人と事務職員の中年女性が一人いました。
そこに、後にスーパー派遣戦士となる20歳の
はじめての職場に、期待と緊張で胸をどきどきさせていた私ですが、この中年女性事務員Sさんが、『派遣戦士見習いラン』の敵キャラ『闇の女幹部S』であることを私はまだ知らない……。
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私の主な仕事は、朝出勤したら全員の机を拭くこと。
また、職員16人分のお茶を朝、昼、3時に入れること、茶碗を集めて洗うこと。
そして、たばこを吸う職員の灰皿を17時に片付けることでした。
その他は役場内の他の部署へ書類を届けるメッセンジャーであり、コピー取り、文書浄書、来客のお茶出しです。
それは仕事というにはあまりにもがっかりするような雑用ばかりですが、それでお給料がもらえるのですから、与えられた任務はしっかりやろうと思いました。
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紅一点の女性職員Sさんは、50少し手前の40代後半で、大学受験を控えた娘さんがいるとのことでした。
『天城さんは、娘みたいでかわいいわ』といいながら、時折、社内食堂で昼食を御馳走してくれることもありました。
最初は親切でいい人だと思いましたが、それはいつしか『娘みたいな小娘で、仕事ができない、役に立たない』という意味だと知ります。
私は気が付くと、Sさんのストレスの捌け口のサンドバックにされていました。
定時よりは前に来て机を拭いているのに始業の30分前ではないから遅いとか、毎日洗っているのに布巾が汚れているとか、文書の
お役所の文書のレイアウトなど定型です。
個人のセンスなど入る余地などありません。
ただの言いがかりです。
私がまだ年若く、見た目もぽっちゃりでおっとり見えて、仮想娘として家のやつあたりをしやすかったのだと思います。
それでも、私も行くところがなくこの職場に来た身ですから、クビにされたくはないとなるべく黙って我慢していました。
私は何度もマンガのようにバンと辞表を叩きつけてやめた衝動にかられましたが、ひとつの内定も取れずにやっとつかんだ仕事です。
手放す勇気などありませんでした。
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