AIコーディング実践環境の構築方法【2025年12月】
この記事は、松尾研究所Advent Calendar 2025の記事です。本記事ではAIコーディングを実践するための環境構築方法が分かります。具体的なポイントは以下となります。
- 2025年12月時点での、Claude Code を中心としたAIコーディング環境の構築手順
- AIコーディングに必要なツールの概要、セットアップ方法、使い方
- 仕様駆動開発でソフトウェア開発する流れと具体的な実践方法
AIコーディングツールの現状
今年(2025年)の3月にAIコーディングツールについてブログ記事を書きました。
この頃は、当時勢いのあったClineを使っていましたが、わずか半年で使用するコーディングツールも、新たにClaude Code、 Gemini CLI、Codex CLIといったCLIベースのツールに加え、LLMと繋がって様々な機能を実現するMCPといった便利な仕組みも出てきて、日々ベストプラクティスが変動しつつある状況です。
ただ、ツール自体は大きく変化していますが、大きく変わらない基本的な考え方もあると思っています。具体的には以下です。
- ドキュメントの重要性(仕様駆動開発)
- ルールベースの自動化(Lint/Formatの設定等)
- 様々なツールを柔軟に活用する(ロックインされない)
- 習うより慣れる(まずやってみる)
この記事では、上記の考え方に沿いながら、なるべく特定のツールに依存しない形で、2025年12月時点でのAIコーディングを効率的に実践するための環境構築と実践の流れについてまとめます。
具体的な流れのイメージとしては以下となります。
最適なLLM・ツールについては、今後も変わり続けると思いますが、基本的な考え方を意識して実践したら、今後の対応も容易かと思いますので、よろしければ参考にしてみてください。
AIコーディングツール
ツールの選定
AIコーディングツールについては、企業間でのLLM開発競争もあり、その性能の優劣が毎月のように変動している状況です。
本記事では、コーディング能力が安定して高く、定額のプラン(Maxプラン)が存在するClaude Codeを使用する前提で解説します。Claude Code特有の便利な機能もありますが「様々なツールを柔軟に活用する(ロックインされない)」という原則に従い、Codex CLI、Cursor、GitHub Copilot等にも応用可能な機能や開発方法を中心に紹介しますので、他のコーディングツールを使っている人も適宜読み替えて参考にしてください。
ツールの基本的な使い方
ツールの基本的な使い方に関しては、Claude CodeとGitHub Copilotと企業で多く使われているであろうコーディングツールについて、セットアップから利用方法まで、以下TIS株式会社様のガイドラインに丁寧に詳しく書かれているので、最初に一読しておくことをおすすめします。
なお、本記事では上記のガイドを読まなくても、最低限のセットアップについては完結するように記載します。
必要なツールのセットアップ
必要なツールのセットアップについて説明します。Macを前提としていますが、LinuxやWindows(WSL2が前提となります)でも、基本的に同じ方法でセットアップ可能です。一部各自の環境に合わせて適宜修正ください。
ターミナルでコマンドを実行していく形でセットアップを行います。
AIコーディングツール
まずはnpmをセットアップします。私はnvmというツールを使ってセットアップしています。コマンドは以下となります。
$ curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.40.3/install.sh | bash
$ nvm install --lts
nvmに関して詳しく知りたい人はnpm(nvm)をセットアップする方法を参照してください。
Claude Codeのセットアップはnpmがインストールされていれば、以下コマンドを実行すればOKです。
$ npm install -g @anthropic-ai/claude-code
参考までにCodex CLIとGemini CLIのセットアップは以下コマンドとなります。
$ npm install -g @openai/codex
$ npm install -g @google/gemini-cli
コーディングエディタ
コーディングエディタとしては、VS Codeエディタを前提にセットアップします。Cursorなどのエディタ一体型のコーディングツールを使用する場合は、それぞれのツールをインストールしてください。
VS Codeエディタのダウンロードサイトからダウンロードしてください。より詳しくVS Codeエディタのインストール方法、基本的な使い方に関しては、拙作ですが以下Zennの書籍を参考にしてください。
Linter/Formatter設定
細かいことですが、VS CodeエディタでLinter/Formatterの設定をしておくのがオススメです。
Pythonの場合だとRuffを使うことを推奨します。以下記事を参考にファイルをセーブしたら自動でLintチェック、Formatチェックをかけるように設定するのがオススメです。
AIのコーディング、意外に無駄な空白があったり、コーディングした後、AIが自分でLint/Formatのチェックをしたりするのですが、AIの無駄遣いなので専用のツールに任せたほうがよいです。これは人間がコーディングするときと同じですね。
GitHub CLI(ghコマンド)
GitHubにCLIでアクセスしたり、操作できるようにghコマンドをインストールします。ghコマンドを準備すると、AIがgitコマンドと組み合わせて、GitHubでのソフト開発に必要な一通りの操作ができるようになります。例えば、gitのコミットはもちろん、Pull RequestやコードレビューまでAIにやらせることができます。
ghはMacの場合は、以下コマンドでインストールできます。
$ brew install gh
Linux、Windows(WSL2)の場合は以下コマンドとなります。
$ sudo apt install gh
ghインストール後に、以下コマンドを実行すると、GitHubの認証を行えます。
$ gh auth login
認証が完了すると、ghコマンドでGitHubの様々な操作を行うことができるようになります。
基本的にAIまかせでよいですが、基本的なコマンドは知っておくと良いと思います。
MCPサーバー
ここは必須でなく、推奨の設定となります。コンテキストエンジニアリングとして、LLMに適切なデータを入力するために、MCPを活用するとAIコーディングのクオリティを上げられる可能性があります。MCPに関して詳しくは、私を含めた松尾研究所のメンバー3人で執筆した書籍「PythonではじめるMCP開発入門」も参考にしてみてください。
本記事では設定方法と簡単なMCPサーバの説明のみします。
MCPサーバーの設定
MCPサーバーの設定方法は、使用するAIコーディングツールによって異なります。ここでは、共通の方法で、多数のAIコーディングツールにMCPサーバーの設定ができるmmcpというOSSツールを使用します。
mmcpのインストールは以下コマンドを実行するだけです。
$ npm install -g mmcp
以下コマンド実行することで、自分の使用するAIコーディングツールを設定できます。
mmcp agents add claude-code codex-cli gemini-cli
あとは、MCPサーバーを追加していけば、登録した全AIコーディングツールにMCPサーバーが設定されます。
以降MCPサーバーの概要とmmcpでの設定方法を紹介していきます。
Context7
最新の仕様のドキュメントを提供してくれるMCPサーバーです。AIコーディングツールが、古い仕様のコードを書いてイラっとするということが減ります。
プロンプトの最後に「Context7を使って」と書くだけで、最新仕様を参照してくれるようになります。
mmcpでの設定コマンドは以下です。
$ mmcp add context7 -- npx -y @upstash/context7-mcp
$ mmcp apply
playwright
LLMでブラウザを操作することができます。LLMでブラウザでのテストをさせたいときなどの活用できます。「playwrightでYahoo Japanを開いて」とLLMにお願いすると動作確認できます。
mmcpでの設定コマンドは以下です。
$ mmcp add playwright -- npx -y @playwright/mcp@latest
$ mmcp apply
参考:Claude Codeとplaywright mcpを連携させると開発体験が向上するのでみんなやろう
その他のMCPサーバー
他にも色々便利なMCPサーバーがあります。Claude Codeであれば、以下記事を参考に手軽にコマンド一発でセットアップできるので参考にしてください。
また、あまりに多くのMCPサーバーを登録すると、無駄にコンテキストを使用してしまい、逆効果になる場合もあるので、プロジェクトに不要なMCPサーバーは使わないように設定しておきましょう。
Claude Codeの場合はプロジェクトごとに/mcpコマンドでMCPサーバーをEnable/Disableを切り替えられるようになっています。
ソフトウェア開発の流れ
AIコーディングツールを利用したソフトウェア開発の流れを簡単に紹介します。AIコーディングに限らずですが、ソフトウェア開発ではコードと同様ドキュメントも重要です。AIを活用してコードだけでなくドキュメントを生成することで、人にとっても分かりやすく、メンテナンスのしやすいソフトウェア開発が可能となります。
このドキュメントの重要性を見直す動きは、最近は仕様駆動開発と呼ばれ、開発に必要なドキュメントをAIで生成するためのツールが充実しているので、そのようなツールを使うことで効率的にドキュメントをAIで生成することが可能です。
仕様駆動開発のツールとしては、Amazonの「Kiro」、GitHubの「Spec Kit」、OSSの「cc-sdd」など多くのツールがあります。
Spec KitはGitHubが開発ということで期待が持てますが、エンタープライズ寄りで、大規模な開発向けであり習得コストも高いため、今回はKiroと互換性があり、複数のAIコーディングツールで手軽に使える国産のOSSであるcc-sddを例に説明します。
なお、こういったツールの優位性は、今後変化しうるものですが、ツールによって生成されたドキュメントは、マークダウン形式のテキストファイルなので、ツールが変わっても活用可能です。
大事なのは、コードと対応するドキュメントを生成して管理することとなります。
cc-sddセットアップ
対象のプロジェクトを開発するディレクトリで、以下コマンドを実行してcc-sddをインストールします。以下はClaude Codeの例です。
$ npx cc-sdd@latest --claude --lang ja
Claude Code以外のAIエージェントを使いたい場合や、他のオプション知りたいときは公式のマニュアルを参照しましょう。
初期ドキュメント作成
AIコーディングツールを起動して、ツール上でコマンドを実行していきます。Claude Codeでの例を載せますが、他のAIエージェントでも基本的な操作は同じ要領でできるはずです。
まず、新しいプロジェクトを準備しましょう。会社や個人で使っているテンプレートがあれば、それを使用するのがよいでしょう。松尾研究所の場合は、cookiecutterのテンプレートがあるので、多くの場合はそれを使うことになります。
テンプレート、もしくはドキュメントのない開発途中のファイルがある場合は、最初に、以下スラッシュコマンドを実行します。ファイルを読み取って必要なドキュメントを作成してくれます。全くのゼロからの開発の場合はここは飛ばしてもOKです。
/kiro:steering
続いて新規開発の場合は開発内容を、既存開発の継続の場合は、新規開発したい内容(新規機能等)を以下のように入力します。
/kiro:spec-init シンプルなチャットアプリ
そのあとのコマンドは公式のマニュアルに書いてある通りですが、基本的には続きのコマンドをAIの方でガイドしてくれるので、最初の1ステップを実行することを覚えておけばOKです。
タスクの作成までが完了したら、一通りのドキュメント生成は完了です。.kiro/steering以下にあるのがドキュメントです。この段階でGitHubにpushしておきましょう。.claudeや.kiro/settingsにもファイルが生成されますが、これらはkiro自体の設定ファイルなのでGitの管理には含めないほうが良いので.gitignoreに追加しておくのが良いかと思います。
GitHubへのコマンドでpushしてもよいのですが、せっかくghコマンドをセットアップしたので、LLMにお願いしててみます。新規作成の場合は、GitHub上のGUIでリポジトリを作成したら以下のようなプロンプトでお願いします。
git initして、comitしてGitHubにghを使ってpushしてください。リポジトリのURLは以下です。
https://github.com/xxxx/xxxxxx
既存のプロジェクトでの継続開発(新規機能開発など)の場合は、以下のようなプロンプトでPull Requestを作成することができます。
新たにブランチを切って、commitしてpushしてghを使ってPull Requestを作成してください。
Pull Requestのテンプレートは以下を使用してください。
.github/pull_request_template.md
これで必要なファイルがリポジトリにpushされます。
ここまで完了したら一旦コンテキストを解放します。コンテキストの解放方法は、AIコーディングツールによって違います。Claude Codeの場合は/clearを実行すればOKです。どのツールでも、アプリを終了すれば確実にコンテキストが解放されるはずです。
このあとの作業は、何か新しいことをするたびに定期的に/clearを実施するのがよいです。ドキュメントがあるので、/clearしてもAIが最初にドキュメントを確認して現状を把握した上で作業をしてくれるようになります。
GitHub Projectの連携
ここはチーム開発する場合のTipsとして、AIコーディングツールを使って、GitHubと連携する方法を紹介します(ここは、不要であればスキップしてもOKです)。
タスク管理にGitHub Projectを使用することを想定しているので、最初に以下コマンドを実行してGitHub CLI(gh)でGitHub Projectにアクセスできる権限を設定します。
$ gh auth refresh -s project
続いて、ドキュメントで生成したタスクをGitHubのissuesに登録します。AIコーディングツールで、以下のようなプロンプトで指示します。
@tasks.md をGitHubのissueにghコマンドで登録してください。
次々とGitHubのissuesにタスクが登録されます。
続いてGitHub上でGitHub Projectを作成します。
Projectの設定は、ここではRoadmapを選択します(後でも見た目は変更可能です)。
プロジェクトのリポジトリとProjectを紐づけます。
あとは、以下のようなプロンプトでスケジュールを設定できます。プロジェクトのURLは、自分のものに読み替えてください。
すべてのgithub issuesにStart dateとTarget dateを設定してください
1ヶ月で終わるように、タスクの難易度に応じてスケジュールを設定してください
GitHub Projectsのカスタムフィールドとして設定してください。プロジェクトは以下です。
https://github.com/users/karaage0703/projects/xxx/
あっという間に、プロジェクトのガントチャートが引かれます。
タスク管理は、もちろん他のツールを使用してもよいのですが、GitHub Projectだとghコマンドで管理できるので、AIコーディングツールとの相性がかなりよいと感じています。
実装
続いてタスクを実装していきます。以下はプロンプト例です。もちろん、タスク番号で具体的に指示してもOKです。
/kiro:spec-impl task.mdをもとに続きから順に実装してください。タスクはGitHub issueとも対応しているので、そちらも合わせて対処してください
実装が完了したら、Pull Requestを作成しましょう。以下のようなプロンプトでLLMがPull Requestを作成してくれます。
commitしてpushしてghでPull Requestしてください
タスクごとにコンテキストを解放してやるのがよいでしょう。
コードレビュー
AIコーディング活用において、コード生成が高速化した分、その品質を担保するレビューがより重要な意味を持ちます。
レビューでもAI活用は有効ですが、少なくとも現段階ではAIにお任せするのでなく、人の見逃しを防止するために、レビュワーを追加するという補助的な意識で活用するのが良いと思います。
一番手軽に使えるのがGitHub Copilotだと思います。とりあえず使用してレビューの抜け漏れを防止するのがよいでしょう。使用方法や設定方法は以下公式のガイドが参考になります。
もちろん、AIコーディングツールを使ったレビューも可能です。一番単純には以下のようにすればレビューできます。
以下のPull Requestをレビューしてください
<PRのURL>
私は、個人的にClaude Codeで、Pull Requestのテンプレートを参照しながら、Codexとマルチエージェント的に相談しながらレビューをするプラグインを作成しています。
Claude Codeのみの対応となりますが、よろしければ試してみてください。
Claude Code上で以下を実行すればセットアップできます。
/plugin marketplace add https://github.com/karaage0703/claude-coding-assistant
/plugin install coding-assistant@karaage0703/claude-coding-assistant
人に加えて、なるべく複数のAIを使って、様々な観点でコードをチェックするのが良いと思います。
まとめ
AIコーディング実践環境の構築方法とAIコーディングツールを使ったソフトウェア開発の流れを紹介しました。ツールの変化は激しいですが、AIを使ったコーディングの基本的な考え方自体は、そこまで大きく変わっていないことが確認できました。
松尾研究所では、AI活用による生産性向上の手段としてAIコーディングツールに着目して、活用検討を進めています。AIコーディングツールの使用に対しても、費用的な補助制度も開始しました。詳細については、非公開となりますが、本記事の冒頭に記載したように多くのツールが性能を競い、変化が激しい状況のため、その変化に柔軟に対応できるよう有力なツールを十分活用できる内容となっております。
松尾研究所のテックブログでは、今後もAIコーディングツールの活用含めたAI活用について発信していきますので、興味を持たれた方は是非応援、フォローをよろしくお願い致します!
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