才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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28.夜中の秘めごと 下

 ヴォルディス・ソムネクス。ウェラーレ・アモルテ同様にラテン語を元に命名しつつも、発音は英語調になったこの魔法の効果は、まさにエロ漫画とかに出てくる催眠術そのものだ。

 

 つまり記憶を消し飛ばすことも、性格を変えることも、認識を捻じ曲げることだってできる。

 本人の意思を無視して発情させることもできるし、感情を植え付けることだってできる。

 感度3000倍だってできるぞ。まあ試しに3000倍にしてみたマウスは、お亡くなりになられたからやらないけど……。

 

 杖先に宿った、ルーモスとはまた違う赤い光がそうさせる。イシュカの邪視を参考……というか大半ソースコード丸パクリで構築したら、なんとびっくり視神経を通じた光が魂に直接効果を及ぼす効果になりましてね。

 なんで成功したのかはまだぶっちゃけよくわかってないけど、招魂と葬魂を何回か見たことで推測はできるようになってきてる。魂に直接効果を及ぼす効果の完全な解明はまだ先のことだろうけど、今のところわりと順調って言えるだろう。

 

 そんな魔法なものだから、対象の意識の有無は関係ない。気絶中でも、こうやって目を開かせてやれば効果が出るってわけ。

 

 おまけにこの魔法は、フィニートでも解除できない。そのためには専用の反対呪文が必要になる。それが使えるのは、もちろん開発者であるわたしだけだ。

 

 さらに、魔法力の消費はものすごく少ない。厳密に計ったわけじゃないけど、体感ルーモス程度しか消費しないんだよね。

 

 さらにさらに、古代魔法関係ないから、たぶん覚えれば誰でも使える。効果のヤバさに反した使い勝手の良さを考えると、アバダやインペリオ、クルーシオに並ぶヤバさだと思う。禁じられた呪文、まさかの四つ目が登場である。

 

 ただ、まさかそんな魔法を最初に使うのが、ピーター・ペティグリューになるとは。見抜けなかった……この海のリハクの目をもってしても!(天丼

 

 でも言っても信じてもらえないかもしれないけど、魔法力の消費量については完全に偶然なんだ。本当なんだ。信じてください闇祓いさん。

 

 いやうん、確かにエロ目的で開発した魔法ですけどもね。ええ、三年以上をかけましたとも。ホグワーツ入学前から試行錯誤はしてたからね。普段から使ってる催淫魔法の、完全上位互換を企図していましたとも。

 それでもこの使い勝手の良さは偶然なんです。本当なんです、信じてくださいウィゼンガモットのみなさん!

 

 ああそうそう。他にもね、これも信じてもらえないかもなんだけど、今のところえっち目的で使う機会はほぼないと思われる。

 

 嘘じゃないんだって。だって別にこれがなくても、ハーミーたちとはいつでも好きなようにえっちできるもん!

 わたしの身体にすっかり夢中な彼女たちは、わたしからのお誘いを基本的に拒まないからね! 逆もまたしかりさ!

 

 まあ? ハーミーたち以外とシたくなったときに? 使う可能性は否定できないかなって感じはしますけど?

 その場合にしたって、導入に使うくらいだと思うよ。

 

 だってわたしが言うのもなんだけど、性格を無理やり変えてまでヤるのはなんか違うじゃない? それ目的のエロ漫画を読もうってときならそれでもいいけど、わたしとしてはやっぱり素の性格に愛されたいなって思うもの。

 いや本当、マジでわたしが言うのもなんなんだけどね。

 

 あとは真面目な話、オブリビエイトの完全に上位互換になったからね。記憶の処理だけじゃなくて、改ざんや追加も自由自在にできるから、代替手段としてはこっちのがいい。

 そういう意味で、この魔法はえっち目的で作ったものの、それ以外の目的で使うことがメインになるだろうなぁって思ってます。自由にできる分、手間暇はかかるけどね。

 

 実際、今回はこの魔法の出番だ。

 

 シリウスとピーターの確執をなくす。なくせないにしても、軽減する。そうして二人揃って、ダンブルドア陣営に与してもらう。

 そのためには、この魔法が必要だって直感したんだよね。おかげで開発を急ぐ羽目になって、完成したのはマジでつい先日だよ。

 

 いやだってさ、ピーターの性根を今さら変えるなんて、普通できないじゃん。三つ子の魂百までって言うくらいだ、30年以上生きた人間の性根を元から変えるなんて、それこそ魔法でも使わないと。

 

 そしてこの際、ピーターに対する配慮は考えないものとする。死にたくない、っていう彼の望みをかなえてあげるんだから、これくらいは受け入れてもらわないと。

 

 ということで、ピーターの記憶を改ざんします。

 力業? ええそうですが、何か??

 

 本当はここでアバダを見せてもらいたいんだけど、杖なしでアバダはさすがに無理だろう。お辞儀ならできるかもだけど、逆にお辞儀くらいしかできないでしょそんなん。

 だから杖を用意しておけばよかったな、って反省してるところ。ピーターは助けるって決めてたけど、禁じられた呪文の試射については頭から抜けてた。うっかり善宝寺だ。

 

 しょうがないから、素直にお仕事にまい進することにする。

 

「裏切った理由が単に『お辞儀が怖かった』『死にたくなかった』『勝ち馬だと思うほうに乗った』だけだとカスまっしぐらだから、同情できる要素を足してこう」

 

 ポッター家を守っていた忠誠の術は、魔法的にも効果的にも複雑な魔法だ。秘密を人の中に封じ込め、その人から直接秘密を聞かない限り秘密の対象となったものを認識できないっていうのがその内容なんだけど……。

 なるほどわからん、って思った人はおかしくない。最初この設定聞いたとき、前世のわたしは「なんて?」って声を上げたよ。

 

 ともかく、この秘密を封じ込められた人を秘密の守り人って言うんだけど、忠誠の術のすごいところは、自らの意思で話さないと破られないってこと。拷問や魔法で無理やり話させても意味ないんだよね。

 だからこそ、自発的に裏切ってその秘密をバラしたピーターの罪が強調されるわけなんだけど……そのせいでピーターをかばうのが難しいのが現状です。ったくワームテールくんはよぉ。

 

 ただ、心や魂ってのは曖昧なものだ。「自分の意思」って言うけど、それはどこからどこまでがそうなの? ってなるじゃん。

 たとえば拷問の苦痛から逃れたくて、なんでもいいから話すって心境になってたらそれは自分の意思とどう違うんだろうね。それで話したら、普通に破られてもおかしくないよね。

 そうでなくても、詐欺師みたいな口のうまい人にそそのかされて……ってのも十分あり得るわけで。

 

「ここはお辞儀に、言葉巧みに心を揺さぶられたってことにするのがいいかな」

 

 シリウスが秘密の守り人替え玉作戦を提案したとき、彼はピーターのことをかなり口悪く言ってたので、そういうところを突かれてしまったということにしよう。日常的にいじられたりもしてたみたいだし、ここも忘れずに混ぜておく。

 

 この辺はシリウスなりの、友人に対する軽口もあったんだろうけど……学生時代からピーターがジェームズやシリウスの腰巾着扱いだったのは有名な話だし、教師陣でさえピーターのことは一段劣った存在って思ってた。ピーター自身も、そこに特に劣等感を抱いていた。

 それでも友人だと思っていたのは本当で、だけど自分の命を軽んじられるようなことを緊迫した場面で言われたことがしこりになっていた、という前提を用意しておけば、お辞儀に言いくるめられる結果になるのもわからなくはないだろう。

 

 どんなに仲のいい人ではあっても、気に障るところは必ずある。あるいは自分と相いれない要素がある場合だって。

 それでも友情は成立し得るんだから、人間って生き物は複雑だよね。今はそのおかげでやりやすいけど。

 

 さて、ここで役に立つのが夏休み中に入手した八咫鏡だ。これでピーターの記憶を余すことなく見ることができるから、どこをどう変えて、どの時期に差し込むかとかを考えるのがめっちゃ楽だった。

 いやあ、自動でチャプター分けとかカテゴライズされるの、すごい便利。一時停止や巻き戻し、早送り、拡大縮小等々便利機能がてんこ盛りで、マジで神。もう手放せない。

 ありがとうございますイザナミ様、いつも助かってます(意味深

 

 で、鏡で見る限り、不死鳥の騎士団活動をしたくなかったピーターはジェームズとシリウスの二人から半ば強引に勧誘された結果、渋々参加することになったらしいので、これも使わせてもらおう。

 ピーターの身内はこの時点で、女手一つで育ててくれた母親しかなかったこと、そんな母親を敬愛していた記憶もあったので、セットで。改ざんしなくていいところは、極力しないのが一番だ。

 

「……よしできた。なかなかいい感じのカバーストーリーになったんじゃないかな」

 

 概要としては、こうだ。

 

 ピーターは女手一つで育ててくれた母親のためにも、きちんと就職してつつましくとも親子二人で生活していこうと考えていた。けれどマローダーズの親友たちに誘われて、断り切れなかったために、デスイーターたちとの戦いに身を投じることになった。

 そんな始まりだっただけに、親友であるはずのシリウスたちに思うところがあった。以来、彼らの言動の端々にもやもやを募らせるようになっていた。

 だけど学生時代からあった一種の上下関係や、ピーター自身の臆病さ、劣等感から。そして何より、母親との関係が極めて悪いシリウスには母親のことを言っても理解してもらえないだろうという諦観から、これらを口に出せないままだった……と、そんな感じ。

 

 記憶を見る限り、原作でシリウスが「友情を感じていたわけではなく、面倒を見てくれる強い親分が好きなだけだった」って言ってたのは半分事実だったっぽいな。友情を感じてはいるけど、それはそれとして庇護してくれる親分がほしいって感情も持っていた感じだ。

 シリウスが矢印がクソデカいタイプってこともあるだろうけど、温度差ェ。ここは調整しておいたほうがよさそうだ。ピーターお前もマローダーズの友情をもっと持つんだよ。

 

「次に……裏切り直接の原因は、やっぱり身内の危機が王道だよね」

 

 何せピーターには、何より大事にする母親がいる。ここがピーターのアキレス腱だ。人質に取られたからには、従わざるを得ない。

 母親はそのことを知らないけど、デスイーター側に所在は把握されている。つまりいつでも殺せる状況にあると脅されれば、母親を敬愛するピーターは屈せざるを得なかった。

 そうして積み重なっていた不満と相まって、裏切ってしまった。そして最終的にはポッター家の秘密を暴露するに至った……と。うん、こんな感じでいいんじゃないでしょうか。

 

 忠誠の術の秘密を暴露する一年以上前から裏切ってた、ってのが普通にめっちゃノイズだけど何とかなったと思う。

 

「マグル12人を巻き込んでの自爆と逃亡については……インペリオを食らってたことにしよう」

 

 ここはさすがに擁護できない。自己保身としては度が過ぎてる。

 ただ、インペリオで操られてたんだってことで、戦後無罪になった元デスイーターはそれなりにいる。パパフォイがその筆頭だ。だからここはそういうことにするしかないかな。

 

 不死鳥の騎士団の機密や忠誠の術の要になる秘密はバラしちゃったけど、デスイーターとして活動するのは拒んだ。

 するとインペリオをかけられてしまい、裏切りを察知してやってくるだろうシリウスを迎え撃つように命令された……って筋書きだ。

 

「最後に……なんで12年もの間、ウィーズリー家でペットをしてたのかってことだけど……」

 

 これもわりと擁護できないんだよな。だってスキャバーズ時代のピーター、マジで何もしてないもん。本当にただペットしてただけ。

 

 唯一の例外でさえ、両親をバカにされたハリーに代わって反撃したくらい。それにしたって、功績って言うには小さすぎる。

 

「……無難に記憶喪失でいいか」

 

 何せ12人ものマグルを同時に爆殺したんだ。八咫鏡で見ても、爆発としての規模はめちゃくちゃでかかった。

 ここに加えて、インペリオから解放されたあとに自分のしたことを直視してしまったことと、ポッター家の悲劇を知ってしまって自責の念に駆られたことから、自分を追い込んでしまって記憶を押し込めるに至った……とか、そんな感じでいかがでしょう。

 

 人間と同様の思考力を持ちつつも12年もネズミをやってたのは、アニメーガスに変身中に記憶を失ったせいで、マジで自分はちょっと変わってるだけのネズミだと思い込んでいたから……ってな感じでね。

 

「でも今も記憶喪失、だと話が進まない可能性あるな。シリウス脱獄の話と顔写真で記憶が戻った、ってことにしとこうかな」

 

 そうじゃないと、シリウス脱獄のタイミングで体調不良になってた(とロンたちは思ってた)事実と矛盾するし。

 記憶が戻った後は、しでかしたことが大きすぎて、自首する覚悟がなかなか決まらなかったってことにしておけばいいんじゃないかな……。

 

 ん? ちょっと待った、こ、こいつ……!

 じ、12年もペットとして世話になっておいて、ウィーズリー家に対する感謝の念が薄い……! 

 

 どうやら自分を拾ってペットにしてくれたパーシーに対してはそこそこ感謝してたみたいだけど、それ以外が……!

 なんて厚かましいやつなんだ、ドバっと足しといてやる! 十年以上記憶喪失だったなら、多少性格が変わっててもおかしくないやろ!

 

「あとは……ああそうだ、このままだとまたシリウス相手に何も言えなくてため込むよね。いっそ言い返すことができる程度には、臆病さも弱めとこう」

 

 わたし、ピーターに足りなかったのは親友とのケンカの経験だと思うんだよね。

 ケンカ、ってのは極端な表現だろうけど、要するに本音でぶつかり合うってことだ。仲間であっても、大事な人であっても……ううん、むしろそういう人だからこそ、本音でぶつかり合うって大事なことじゃない?

 

「これでよし、っと……」

 

 杖の先に宿っていた魔法の光が消える。念のため、改ざんした部分を全部映像で見直して……矛盾などの問題や違和感がないことを確認したら、ミッションコンプリート。

 これでピーターは自己保身に自己保身を重ねて悪の道に逃げたクズから、やむを得ない事情で親友を裏切ってしまい自責の念から記憶を閉ざしていた勇気の足りなかった男、にジョブチェンジだ。

 

 たぶん、物語的にはクズのままのがいいんだろう。同情の余地がないやつが相手だからこそ、物語に深みが出る場合だってある。

 

 でも今この世界を生きてるハリーたちにとって、世界は物語なんかじゃない。彼らの現実だ。

 特にハリーにしてみれば、向こう数年はマジでつらいことの連続だ。なんとか乗り越えることができたとしても、その先にさえ危うい未来が待ってる。

 

 主人公だからって、この仕打ちはあんまりだ。そういう苦労が人を成長させるとは言うけど、心の痛みなんてないほうがいいに決まってるでしょ?

 ……まあ、余計なお世話かもしれないけどさ。わたしのこの行動が吉と出るか凶と出るかは、誰にもわからない。

 

 だからわたしは、イザナミ様に祈るのさ。

 

「どうかうまく行きますように」

 

 ……さて、と。やるべきことはやり切った。念のため、記憶も一通り確認して問題がないことも確認した。ピーター、リリースヨシ!

 

 あと問題があるとしたら……。

 

「……朝だなぁ」

 

 完徹になったってこと……かな……。

 




【悲報】八咫鏡、犯罪に利用される。
催眠術とのシナジーが良すぎたのがいけない、などと供述しており。

?????「お母様??」
????「ええんやで」
?????「お母様!?」
????「その祈り、聞き届けましょう」
?????「お母様!!!!」

我が子(日本人)全肯定botお母様。
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