ゲーム3Dの仕様の具体的な一例
アニメ調ゲームモデルを例にした制作仕様とスケジュールの話
ゲームの3Dキャラクターが、どのような仕様で作られているかご存じですか?
派手なアクションをするキャラクターも、見た目が可愛いキャラクターも、実際にはすべて“定められた仕様”に基づいて制作されています。
ここでは、実際の制作現場で使用されている中ポリゴン・アニメ調のキャラクターモデル(冒頭の画像のようなモデル)を例に、ゲーム業界におけるデータ制作と管理の仕組み、さらにリアルな制作スケジュールについてご紹介します。
ゲームの3Dモデル制作には、意外と知られていない“工場のように整然とした厳密なワークフロー”が存在します。
逆にアニメの3Dはそこまでガチガチな仕様がない場合が多いです。
最終的に画像として出力するので重さは関係ないからです。
とはいえデータが重い、汚いとアニメーションやレンダリングコストが上がるので好き勝手に作っていいわけでもありません。
また、会社やプロジェクトによって異なる部分も多いため、あくまで一例としてご参考いただければと思います。
頭身やテイスト、実機のスペックにより全く変わってきます。
このくらいがっつり仕様が決められているよという紹介になります。
1. まず「モデル仕様書」が作られる
キャラ制作は、まず 仕様の決定 から始まります。
こうした仕様書には、以下のような「ルール」が明記されます。
✔ メッシュ(ポリゴン)の仕様
1キャラの総ポリゴン数:10,000〜15,000 tris
メッシュ数はなるべく少なく
布は両面作成(ポリゴンは片面表示になります)
服の中に不要なメッシュを残さない(軽量化のため)
ソフトエッジ、ハードエッジ設定
制限されたポリゴン数でいかにディティールをリッチに見せるかがカギ
✔ テクスチャ仕様
解像度:
face:256x256
Body:512x512
Hair:256x256
種類:BaseColor / SpecularMap / Normal(必要であれば)
UVは歪みを抑え、見せる部分に解像度を寄せる。反転、重ねてもよい
alpha使用する場合は白黒の2値。基本使用しない
UVの配置がテクスチャの使用解像度に直結
見える場所と見えない場所の“面積配分”がクオリティを決める
✔ リグ(ボーン)仕様
総ボーン数:60〜80本
標準ヒューマノイド構造
(Unity / UEの人型に対応)髪・布の揺れ物は2〜4チェーン程度
インフルエンス数は3
ウェイトの数値は0.1単位(四捨五入)
✔ フェイシャル仕様
テクスチャアニメ方式 顔テクスチャで喜怒哀楽用意
✔ マテリアル構成
顔、髪、体の3マテリアル が原則
つまりゲーム業界では、
まず技術と負荷の観点で作れる範囲を明確にしたうえで制作が始まる
というのが実態です。
2. データは「階層構造」で厳密に管理される
キャラのデータは、ほぼ “工場ライン” のように階層化されて管理されます。
✔ 例:キャラモデルの基本構成
フォルダ名、データ名すべてに命名規則がある
Character/
├─ CH/
│ ├─ CH001_model.fbx
└─ Texture/
├─ CH001_faceA_diff.png
├─ CH001_faceB_diff.png
├─ CH001_faceC_diff.png
├─ CH001_faceD_diff.png
├─ CH001_body_diff.png
├─ CH001_body_spc.png
├─ CH001_hair_diff.png
PSD/
├─ CH001_face.psd
├─ CH001_body.psd
├─ CH001_body.psd
└─ CH001_hair.psd
✔ ゲーム会社のデータ管理で重視されること
名前規則が厳密(ミスると読み込まれない)
余計なノード・ボーンは「禁止」
テクスチャの命名・パスも固定
余計なデータは入れない
全角文字NG。スペースNG
制作管理ツール(Flow Production Tracking(旧Shotgun、ShotGrid)、SVNなど)と同期され、
誰が・いつ・どのデータを更新したかが全て記録されます。
3. 制作のスケジュール
ここでは「中ポリアニメ調キャラ1体」を例にした、
現場でよくある制作スケジュールを紹介します。
✔ モデリング(5〜7日)
ベースの体
髪・衣装
UV展開
データの最適化(ハードエッジソフトエッジ、マテリアル作成など)
エラーチェック
※フィードバック1〜2回
✔ テクスチャ制作(4〜6日)
カラーマップ作成
スペキュラマップ作成
顔ベース+表情差分
※ここが見た目の良さの90%を決める工程
✔ リグ(ボーン)構築(1日)
ヒューマノイド構造
髪・布の揺れ物
※基本ベースリグがあり必要に応じて追加、位置調整
✔ スキニング(1〜2日)
全体のウェイト調整
揺れ物のウェイト調整
仕様に沿った状態かチェック(インフルエンス数や小数点)
✔ 実機チェック(1〜2日)
Unity / UE へのインポート
マテリアル設定、確認
基本アニメーションなどで動作確認
合計:12〜18人日(約3〜4週間)
もちろん、衣装が複雑、表情が多いなど難易度によって
調整されることもあるが+1~2日程度
フィードバックの返答が帰ってくるまでの時間も考慮する必要があり
場合によっては次のキャラを進めておくなど同時進行も行って
自分スケジュールを管理する必要もある
4. “納品して終わり”じゃない。運用を見越したデータづくりが大事
3Dキャラは、納品して終わりではありません。
ゲームに実装され、アニメーションが乗り、演出が追加されると、
必ず何かしらの不具合や調整依頼が出てきます。
✔ よくある修正の例
アニメを入れたら肩や腰が破綻した
新エフェクトが追加されてマテリアルを修正する必要が出た
衣装変更のため、UVの再調整が必要になった
実機負荷が高く、テクスチャやポリゴンを軽量化することに
スケルトンが仕様変更され、ボーンを差し替え
“ゲームは動いてから問題が出る” のが普通です。
✔ そのために必要なのが「自分側のスケジュール管理」
修正依頼はいつ来るかわからないので、
フィードバック待ちの時間は次のキャラを進めるなど、
同時進行できる柔軟なスケジュール管理が必須。
FB待ち → 次キャラのモデリング
エラー待ち → テクスチャの仕上げ
チームの状況 → 軽い作業から先に進める
常に “自分の手が止まらないように” 調整するのがプロのコツ。
✔ エラーを減らす一番の方法は「丁寧なセルフチェック」
実際、制作後のエラー修正の多くは
初期段階で防げたもの ばかりです。
ポリゴン数オーバー
UVのひどい歪み
余計なノードや履歴の混入
ボーン名ミス
マテリアルの名称不統一
インフルエンス上限オーバー
提出前の5分のチェックで、後の1時間の修正が消える。
“綺麗なデータは、未来の自分とチーム全員の負担を減らす”
というのは、どのプロジェクトでも共通の真理です。
評価も上がります!
会社だとチェックツールを作っているケースがあるので利用しましょう
なければ自分でAIなどで使って作ってしまうというのも今はありかもしれません。
まとめ
今回は、スマホゲーム向けの中ポリ・アニメ調キャラクターを例に、
ゲーム業界で実際に使われている制作仕様と、現場のスケジュール感を紹介しました。
ゲームキャラクターは自由に作っているようで、裏側では
ポリゴン数やボーン数の制限
テクスチャ解像度やマテリアル数の規約
階層構造での厳密な管理
フィードバックと修正が前提のスケジュール
不具合が出ても後から直せる安全な構造づくり
といった “工場のように整ったワークフロー” の中で作られています。
また、制作は納品して終わりではなく、運用フェーズでの修正対応も含めて
ようやく1キャラが完成したと言える世界です。
だからこそ、丁寧なセルフチェックが後のトラブルを防ぎ、
結果的に自分の作業を楽にし、チーム全体の幸福度を上げてくれます。
✔ 制作仕様はプロジェクトごとに大きく変わる
今回は比較的制限のきつめな仕様例をまとめましたが、
アニメ調・フォトリアル・SDキャラ・ハイポリ・ローポリなど、
テイストやターゲットデバイスが変われば
必要ポリゴン数
テクスチャの枚数・解像度
ボーン構成
フェイシャル方式
工数・スケジュール
は大きく変わります。
それでも、基本的な流れはどのプロジェクトでもほぼ共通かと思います。
※分業の場合はまた変わってきますが・・・
おわりに
ゲームの3Dモデル制作は、アートと技術と工程管理の集合体です。
複雑そうに見えて、仕組みを知ると意外とロジカルに動いています。
この記事が、
・これからゲームモデル制作に関わる方
・ゲームキャラ制作の裏側を覗いてみたかった方
の参考になれば嬉しいです。
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