21日、高市首相は新たな物価高対策を発表した後、羽田空港から午後3時に出発し、訪問先の南アフリカに向かった。シンガポール経由で21時間の道のりだった。翌日22日の早朝5時過ぎに南アフリカに到着。2日間の国際会議に出席し、翌日23日午後6時に南アフリカを出発し、日本には24日夜9時過ぎに到着した。26日には国会での党首討論があり、25日はその準備に当てたかったのだろう。

 南アフリカではG20首脳会議への出席に加え、イギリスのスターマー首相、ドイツのメルツ首相、インドのモディ首相など、各国首脳や国際機関のトップらと個別の会談を行った。高市首相は会議の前後などに、参加国の首脳らと立ち話も含め言葉を交わした。

 22日を含め、計25人ほどの参加国首脳や国際機関代表と会話。22日にはイタリア初の女性首相のメローニ氏と初対面を果たし、笑顔で抱き合った。国際会議の新参者として、まずは顔を売るということだろう。日本初の女性首相ということもあり、その目的は十分に達成できた。

 マスコミは、中国の李強首相との会談があったのか、なかったのかばかりを取り上げているが、もともとその予定はなかった。今の段階で中国の首相と接触しても成果はないからだ。習近平国家主席の怒りが発端であるので、首相クラスでは主席への忖度(そんたく)が働き、何も言えないからだ。

 今回のG20サミットは異例ずくめだった。まずトランプ大統領が欠席で米政府関係者は誰も出席していなかった。議長国の南アは22日の開幕直後、議論が始まる前に、気候変動危機など課題への対処や世界貿易機関(WTO)のルールに基づく貿易の促進などを盛り込んだ首脳宣言を強行的に採択した。

 遅れて到着した高市首相も議場にいなかった。採択後に行われた各国の議論では、「G20の基本原則は合意だ。総意に基づかない宣言を承認することはできない」とアルゼンチンから異議が唱えられたが、認められなかった。アルゼンチンは声明で、首脳宣言の「中東に関するアプローチが(アルゼンチンと)異なる」と説明した。

 G20では、イスラエル寄りか否かで意見が分かれている。米国、アルゼンチンやインドはイスラエル寄りだが、南アやトルコ、それにグローバルサウス(新興・途上国)主要国は反イスラエルだ。G20は発言力を増してきたが、今回はまとまりを欠いた。次回の米国開催はどうなるだろうか。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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