「母系集団で生活」「狩りは連携プレーで」“海の王者”シャチは引くぐらいに賢かった

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名古屋港水族館(愛知県名古屋市)のアース(左)とリン。飼育下では国内唯一のオスだったアースは今年8月に亡くなってしまった(撮影・名古屋港水族館『シャチまるごとBOOK』/辰巳出版より)
名古屋港水族館(愛知県名古屋市)のアース(左)とリン。飼育下では国内唯一のオスだったアースは今年8月に亡くなってしまった(撮影・名古屋港水族館『シャチまるごとBOOK』/辰巳出版より)

シャチブームではない、ずっと人気だった

今年はシャチ本のヒットに限らず、人気アイドルが主演したドラマでもシャチが象徴的な存在として登場し、大きな関心を呼んだ。また昨今はSNS上に多くのシャチ推しコメントが飛び交い、シャチ好きたちのコミュニティも多数創設されている。これは完全にシャチブームが起こっているのではないか? と思うのだが、水族館の現場はどう感じているのだろう。

鴨川シーワールドの広報マネージャー・渡邊剛志さんは次のように分析している。

「実はシャチってずっと人気なのだと思います。鴨川シーワールドのパフォーマンスはオープン当時から行われているのですが、人気がなければ長く続かないはずですから。ただ今はSNSなどが盛んになって、昔より情報を取得したり広めたりしやすくなった。それで皆さん、パフォーマンスでの驚きや感想、シャチ愛を共有し合ってくれています。つまり“好き”や“魅力”が広まりやすく可視化されやすい時代になったのだと感じています」

そこでせっかくシャチに会いに行くなら、とことん楽しみたいもの。オーソドックスなものと、「実は……」的な楽しみ方の両方を、トレーナーの宮川さんに教えてもらった。

「やはりシャチのパフォーマンスは観ていただきたい。人気種目はたくさんありますが、その日のシャチの状況や状態もあるので、こればかりはやってみないと分かりません。だからこそ何回も観て、『こんなこともできるんだ!』と楽しんでいただきたいと思います。

密かな楽しみ方は、トレーナーとシャチの絡みをよく見るのも面白いかと。シャチがパフォーマンスをするとトレーナーたちは毎回褒めてあげるのですが、その褒め方も実はいろいろあるんです。ご褒美に魚をあげているだけのように見えるかもしれませんが、いろいろな言葉をかけたり、全身で愛を伝えたりもしている。時にはトレーナーの言葉が聞き取れることもありますので、何と言っているのか耳を澄ましてみるのも面白いと思いますよ。

私たちはもともとシャチが大好きでこの仕事を始めたところがあります。だからずっとシャチってすごい! こんなにかわいい! 賢い! と思っていたのですが、ようやく時代が追いついてきた印象。そのことが何よりもうれしいですね」

 

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