「母系集団で生活」「狩りは連携プレーで」“海の王者”シャチは引くぐらいに賢かった

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並んだ姿が可愛い鴨川シーワールドのルーナ、ラビー、ララ。ラビーとララは姉妹でルーナはラビーの娘だ(撮影・鴨川シーワールド『シャチまるごとBOOK』/辰巳出版より)
並んだ姿が可愛い鴨川シーワールドのルーナ、ラビー、ララ。ラビーとララは姉妹でルーナはラビーの娘だ(撮影・鴨川シーワールド『シャチまるごとBOOK』/辰巳出版より)

引くくらいの賢さ。その秘訣は“母系集団”にあった

食べるのが魚であれクジラであれ、驚くのはその狩りの仕方のクレバーぶりだ。仲間で魚の群れを取り囲み、片側から威嚇し、片側で先回りして待ち伏せるなど、実に計画的。ターゲットがクジラの場合は、上から押さえつけることで息つぎをさせないようにしたり、また流氷上のアザラシは、みんなで協力して氷に乗り上げたり下から持ち上げたりして、海に滑り落として捕獲するのだという。

この見事な連携プレーが行われているのは、シャチならではのある特性が大きく影響している。それは、シャチが母系集団であることだ。

「シャチは特殊で、必ず年長のメスが群れを率いているんです。分かりやすくいえば、おばあちゃんがリーダー、という感じです。そうして群れの中だけで通じる“コール”という鳴き声を用い、互いに意思疎通をはかりながら生活しているようです。

群れの規模は数頭から数十頭に及ぶものもありますし、オスは生まれた群れに残るものもいれば他の群れに移ったり、一頭でフラフラするものもいる。シャチの群れに関してはまだまだ分からないことも多いのですが、それでもどの群れもメスがリーダーという点だけは間違いないようです。そして母から娘へと、豊富な知識がしっかり引き継がれていく。これが、シャチが社会性の高い動物であるゆえんの一つだと思います」

ちなみに鴨川シーワールドには、ラビーとララ、ルーナという3頭のメスのシャチがおり、ラビーとララは姉妹、ルーナはラビーの娘だ。しかしララは、母親であるラビー以上にルーナの子育てに熱心だったという。体の大きさもララのほうが勝っているが、それでもリーダーは姉であるラビーだ。普段はどんなにララが強気に振る舞っていても、ひとたびラビーが怒ると3頭の統率は取れなくなるそう。その順位は絶対に変わらないというから、興味深いものだ。

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