誰もが一度は感じたことがあるはずだ。

昇進が決まった週に、偶然旧友から連絡が来て、行ったカフェで好きな作家を見かけた。まるで世界が祝福してくれているような、不思議な連鎖。

あるいは、失恋した翌日に財布を落とし、駅で人にぶつかられ、大事なプレゼンで大失敗。まるで呪われているような、止まらない不運の波。

私たちはこれを「運」と呼ぶ。
見えない何かが、人生のハンドルを握っているような感覚。

でも、運の連鎖は存在しない。
あるのは、あなたの心が選んだ「色」だけだ。

世界は変わらない。変わるのは、あなたのメガネだ

私たちは皆、無意識に「メガネ」をかけて生きている。

嬉しいことがあった日、あなたは「プラスのメガネ」をかける。
そうすると世界は輝いて見える。

道端の野良猫が目に入り、思わず微笑む。
店員の笑顔が温かく感じられる。
電車の遅延さえ、「ゆっくりできるチャンスだ」と思える。

同じ出来事が、昨日は「ただの猫」であり、「作り笑顔」であり、「最悪の遅延」だったのに。

悲しいことがあった日は逆だ。
「マイナスのメガネ」をかけたあなたには、すべてが敵意を帯びて見える。

友人の何気ない言葉が刺さる。
いつもの道が妙に長く感じる。
コンビニで買ったコーヒーさえ、なぜか不味い。

世界は何も変わっていない。変わったのは、あなたの目だけなのだ。

いいことが続く本当の理由

では、なぜ「いいこと」は本当に続くのだろうか。

答えは単純だ。ポジティブなとき、人は動くからだ。

合格通知を受け取ったあなたは、友人を誘って祝杯をあげる。
そこで新しい人と出会う。会話が弾み、次の機会につながる。
勢いに乗って、ずっと気になっていた趣味を始めてみる。
SNSに投稿すると、思わぬ反応がある。

行動が増えれば、確率的にチャンスは増える。
それはスピリチュアルでも運命でもなく、数学的な必然だ。

幸福は、エネルギーを生む。
エネルギーは、行動を生む。
行動は、出会いを生む。
出会いは、次の幸福を生む。

いいことが続くのは、あなたが「続けているから」なのだ。

悪いことが続く本当の理由

では、悪いことはなぜ続くのか。
それは、ネガティブなとき、人は止まるからだ。

失敗したあなたは、外に出るのが億劫になる。
誘いを断る。新しいことを避ける。
リスクを恐れて、安全な場所に引きこもる。

行動が減れば、チャンスも減る。それもまた、確率の話だ。

さらに悪いことに、「マイナスのメガネ」はあらゆる出来事をネガティブに変換する。
いつもなら気にならないことが、すべて「不運」として記憶される。

友人の沈黙が「嫌われたのかも」になり
先輩や上司の表情が「怒っているのかも」になり
天気の悪さが「自分らしい」になる。

不幸は、エネルギーを奪う。
エネルギーの欠如は、行動を止める。
行動しなければ、何も変わらない。
何も変わらなければ、不幸が続いているように感じる。

悪いことが続くのは、あなたが「続けさせているから」なのだ。

小さな一歩が、メガネを変える

だから、大切なのは「メガネをかけ替える意識」だ。
「今日は最悪だ」と感じた日こそ、あえて小さく動いてみる。

5分だけ散歩する。好きな音楽を一曲聴く。
誰かに「おはよう」と声をかける。窓を開けて、深呼吸する。

それだけでいい。

小さな行動は、心に小さな光を灯す。
その光が、メガネの色を少しだけ変える。
すると、次に目に入る景色が、ほんの少し違って見える。
その「ほんの少し」が、次の行動を呼ぶ。

逆に、調子がいい日は、その波に乗ればいい。
エネルギーがあるうちに、会いたい人に会い、やりたいことをやり、行きたい場所に行く。

その積極性が、次のいいことを確実に引き寄せる。

世界は変わらない。ただ、私たちの目が変わるだけだ

結局、人生とは「何が起きるか」ではなく、「どう見るか」の勝負なのかもしれない。

同じ雨の日を、ある人は「最悪だ」と言い、ある人は「静かでいいね」と言う。
同じ失敗を、ある人は「終わりだ」と思い、ある人は「学びだ」と思う。
同じ人生を、ある人は「不運の連続」と嘆き、ある人は「冒険の連続」と笑う。

運は、連鎖しない。
連鎖しているのは、あなたの心が選んだ「色」だ。

だから今日、もしあなたが「悪いことばかり続く」と感じているなら、問いかけてほしい。

今、自分はどんなメガネをかけているだろう？

そして、もし答えが「マイナスのメガネ」だったなら、少しだけでもいいから、動いてみてほしい。

外に出る必要はない。
大きな決断も要らない。
ただ、何でもいいから、小さく動いてみる。

その一歩が、あなたのメガネを、ほんの少しだけ明るくする。

そして気づけば、世界の色が変わっている。

あなたが変えたのだ。あなたの目で。あなたの足で。あなたの心で。