【「みんなで大家さん」2000億円超不動産投資トラブル】共生バンクグループによる「日本版フードバレー構想」とは何だったのか
魚の種類によって冷凍温度が異なり、そのあたりの研究も進めてきたそうだ。なんとも夢のような冷凍技術といえる。もっとも共生バンクグループが謳う冷凍技術といえば、他にもあった。岡山県で開発された「もんげーバナナ」がそれで、当初はバナナの苗を凍らせると氷河期時代の遺伝子が目覚め、他に類を見ない栄養価の高いバナナに成長するとされた。さすがにこの冷凍技術はあきらめたが、鹿児島県で農園を開業し、「神バナナ」として今もネット販売している。 実はこのブランテックという魚の冷凍加工会社は、今年9月12日号の小誌特集『不動産投資「みんなで大家さん」配当ストップの裏側暴く“内部資料”』にも登場する。議事録と同じ時期に行政側に提示された共生バンクの「メイン保有資産一覧」である。そこには、成田の開発用地をはじめ柳瀬が買った不動産や買収した企業がズラリと並ぶ。まさしく行政に対する安心材料として提示した資料である。 2023年3月末時点の共生バンクグループ資産総額が3650億7900万円、それが2025年度には7464億6900万円に膨らむと記している。目下、出資者たちに対する2カ月に一度の配当さえ滞っている共生バンクに、こんな莫大な資産があったはずがないのは自明で、あまりにひどい資産評価というほかない。 そして、この一覧でグループの資産として計上されている1社が、ブランテック社なのだ。一覧によれば、2023年3月当時のブランテック社の株式資産価値が40億円、2025年度にはそれが1500億円に跳ね上がると書く。備考欄にはこうもある。 〈Hybrid ICE冷凍技術により電気・ドライアイスも使わない脱炭素社会の実現に向けたコールドチェーンの構築 医療分野、特に臓器保存やワクチンの定温温度管理輸送等における現状の問題を解決し、革新的な技術開発を行う〉 * * * マネーポストWEBの関連記事《【独走スクープ・みんなで大家さん】二転三転した“成田プロジェクト”の計画変更の裏で起きていたこと 柳瀬健一代表が「企業コンソーシアム」を作った思惑》では、成田プロジェクトの計画変更における柳瀬代表の目論見から、行政処分に至るまでの詳細をレポートしている。 【プロフィール】 森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。 ※週刊ポスト2025年12月12日号
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