風俗嬢だった頃、しんどいことがあるとよく、火傷しないギリギリの熱いお湯を腕や身体にかけていた。「リストカットをすると商品価値が落ちる」と言われていたから、そのかわりが欲しくて始めた行為だった。熱湯で一度傷跡ができてしまい、そこからは氷を握ったり押し当てるようになった。
痛みを感じれば感じるほど、心の中にブワーッと湧いている負の感情が、スーッと落ち着いていく。過呼吸が治り、深呼吸できた。リストカットをする人たちが「生きるため」に切っていると気づいたのは、その時だった。処理できないレベルの感情を、痛みでごまかす。心の痛みよりも激しい痛みを感じると、意識はそこへ集中する。リストカットはまさにそれだ。傷口をつけることで、ドス黒い感情を血と共に外へ排出する。
当時、腕や足に隙間なく傷がある友達が言った。
「体を切ると毒を出せる気がする」
あれは脳内麻薬による「救い」だったのか。
だから私はリストカットを「辞めろ」と言わなかった。それは、「死ね」に等しい言葉だと思っていたから。
あの子達に必要なのは、抱きしめて、「頑張ったね」と寄り添うことだ。
理解が広まって欲しいと思う。
Quote
岩田健太郎 K Iwata
@georgebest1969
すごく勉強になった。
自傷患者を“かまってちゃん”だと思っていた男性医師(50)が、世界で唯一の“リストカット傷あと特化クリニック”を開くまで「何人も診察していたら違和感が…」
傷あと治療専門の形成外科医・村松英之さんインタビュー #1 bunshun.jp/articles/-/832 #文春オンライン