【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑を捜査してきた特別検察官チーム(特検)は1日、世論調査業者が行った調査費用を支援者に肩代わりさせた政治資金法違反の罪で、ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長らを在宅起訴した。
呉氏は保守系最大野党「国民の力」所属で、次期大統領選の有力候補とも目される。今回の起訴は与野党が攻防の山場とみる来年6月のソウル市長選に影響を与える可能性がある。
呉氏は起訴について、李在明(イ・ジェミョン)政権与党による「露骨な政治工作だ」と反発するコメントを発表した。
呉氏は自身が勝利した2021年の市長選を前に、政治ブローカーの男が実質運営する世論調査会社から調査結果を受け取り、費用を支援者の実業家に違法に肩代わりさせたとされる。
男は、選挙活動に有利な調査結果が必要だった呉氏から「助けてほしい」と頼まれたと主張。呉氏は調査依頼や結果受領の事実を否認している。男と尹氏夫妻による別の選挙への介入疑惑の捜査と関連して、呉氏の疑惑が浮上していた。
一方、尹前政権から便宜を受ける目的で金氏らに金品を贈ったとして、特検が政治資金法違反などの罪で起訴した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の初公判が1日、ソウル中央地裁で開かれ、韓氏側は全ての起訴内容を否認した。