四大企業 アトラース   作:スキル素材年中枯渇ニキ

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このキャラはこんな事言わない!(ガチギレ)みたいな感想来たらどうしよ……とかビクビクしながら投稿しております……

あと最近ミラコンしばき倒してやっとキャンプから解放されました。辛い……


うん、おいしい!

 元ゴッデス部隊。現パイオニアメンバー。コラボキャラを除けば唯一の近接武器使用者。

 

 紅蓮

 

 彼女に助けられた私は、ここに留まるのは危険という事で一旦紅蓮の畑まで連れて行ってもらう事となった。

 

 ラプチャーに破壊前にコーリングシグナルを発されたので、すぐにここから移動という事でおんぶで同行する。普段だったら邪な感情を抱くかもしれない所だったが、九死に一生を得た状況と、原作キャラ、それもあの勝利の女神ゴッデスメンバーと出会えたという興奮でそれどころではなかった。

 

 道中、紅蓮に何故地上にいるのかというもっともな疑問が来たため、今までの事情を話した。父さんが死んで、ただでさえ苦しかった生活は深刻になり、食べ物や使える物を探して地上に来た、と。

 

 紅蓮は呆れたような表情をしていたが、何も言わなかった。私個人も、無茶だとは分かっていたが、反省はしても後悔はしていない。このままでは飢えて死ぬだけだったから。

 

 だがひょっとしたら、心の何処かで死にたがっていたんじゃないか? と聞かれれば……否定はできないかもしれない……

 

「ついたぞ。ここだ」

 

 紅蓮がここだと言った場所は、倒壊した住宅を挟むようにポツンと存在する小さな畑だった。川が近く、周りには住宅も多いので隠れられる場所も多い。規模に目を瞑れば良い条件の立地と言えるだろう。

 

「さて、ぼっちゃん。早速だが、今後の事について話をしようか」

 

 含意が広いように思うが、多分どういう意味かと聞き返すまでもない話だ。

 

「見た所年齢の割には中々聡いように見えるな。何を言いたいのかは何となく分かるんじゃないのかい?」

 

 確かに、冷静になって考えてみると千載一遇のチャンスと言える。恐らく彼女なら、有用そうな部品なんかも取ってこれるだろう。食べ物の種子なんかも、100年近く畑を耕している農業のエキスパートなら、在庫がある筈だ。

 

 ただ、くれと言って、くれるかどうかは分からない。ラプチャーだけでなく、厳しい自然とも戦ってきたニケ。はたして、何も労さずに恵みを享受出来るだろうか……

 

「……私は――」ぐぎゅぅぅぅぅぅぅ……

 

「……」

 

 ……そういえばここ最近あまり満足に食事もとれていなかった。だが今のタイミングで腹は鳴らなくてもいいだろう……。そりゃあ安心すると空腹は段々と自覚していくし、何時こうなってもおかしくはなかったが。

 

「プッ――あっはっはっは! そうかそうか、腹が減ったか。仕方ないな。お話の前にまずは食事にしよう」

 

 紅蓮は前もってここに置いておいたのだろう木箱の上にあった大きな袋から、トマトを取り出す。それを私に差し出した。

 

「本当はタダでくれてやるつもりはなかったんだがね、特別だ。子供が成長するまで守ってやるのが、大人の役目だからな」

 

 皮が陽光を反射する。虫食い一つない、新鮮なトマトだ。がっつくのは些か格好がつかないのではないかという懸念を、トマトの瑞々しさと空腹が踏みつける。差し出されたトマトを両手で持つ。

 

「い、いただきます!!」

 

 新鮮なトマトを前に我慢というブレーキが壊れた。早速トマトに齧り付く。ジュワジュワっと酸っぱい汁が口の中を支配した。

 

 美味い。空腹のせいでもあるんだろうが、このビチャビチャした酸っぱい味をこんなに美味しく感じるのは初めての事だった。別に前世でトマトが好物だった訳でもないのに!

 

 ああ、涙が出てくる。前世で美味しい食べ物があるというのは、当たり前のようで当たり前ではないというのは、知識では分かっていた。それが体、そして心で完全に理解した!

 

「ぼ、ぼっちゃん!? 蔕まで食べるつもりかね?」

 

 紅蓮にそう言われる頃には、トマトはすり減って蔕しか残っていなかった。蔕は確かトマチンといったような毒素が少量あるんだったか。どうやら人は、空腹を前には冷静でいられなくなるらしい。

 

「やれやれ、そんなに腹が減っていたか。今度は胡瓜でもどうかね?」

 

 どうも紅蓮は機嫌がいいのか、それとも自分が肉体的に子供だからか、サービス精神が旺盛だ。トマトの次に差し出された胡瓜もまた、新鮮で食欲を誘った。

 

 ……だが少し腹が膨れたからか、心に余裕が出来た私は胡瓜を口に入れるのを一旦止める。

 

「……あの、私は、アドルフと言います。ぐ――貴女は……何て名前ですか?」

 

「ん? ああ、そう言えば自己紹介をしていなかったねぇ。……紅蓮。ただのしがないニケさね」

 

「紅蓮さん……私は、科学者になりたい。勉強して、実験して、皆の役に立つような発明をしたい。……ですが、移動している途中で言ったように、アウターリムでは力はなく、資産もなければ後ろ盾もありません。実験どころか、今だって時間通りにエレベーターにいなければ帰れなくなる状態です」

 

 言ってて自然と拳に悔しさから力が込み上がる。胡瓜のトゲが手のひらに食い込む痛みも忘れてしまう。

 

「力が欲しいんです。理想を言ってしまえば、この世の不条理を全て跳ねのけられるような……」

 

「ふむ……」と零す紅蓮。その穏やかな表情は変わらないものの、ほんの少しだけ目つきが鋭くなったように感じる。

 

「……分かっています。貴女は優しいですが、甘くはありません。ですので、言い方を変えましょう。紅蓮さん――

 

――私は、貴女からの投資が欲しい!」

 

 紅蓮が目を見開く。その反応は思いもよらなかった故か、それとも知らぬ間に地雷でも踏んだか、前者である事を願って話を続けた。

 

「具体的には、野菜の種や栽培できるキノコ……それから、使えそうな工学部品……そして時間までに、エレベーターまで送って欲しい!」

 

「投資……ふむ、成程投資か……足りないからもっとくれ、なんて言うつもりなら甘えるなとちょっと喝を入れてやる所だった。そうしないだけ賢いぞ、ぼっちゃん。だが……投資というのは普通、利益が返ってくるか、何かしらの事業とかが達成するという信頼がなければならないのではないかね?」

 

 投資と言うからには、やはりそこに突っ込まれると耳が痛かった。科学者になりたいから投資してくれと言われても、地上暮らしの紅蓮には真面な恩恵が返ってくるとは考えにくい。そして何より、アウターリムから科学者として成り上がるのは控えめに言って難しいというのは紅蓮でなくとも察せられる話だ。

 

 一応実績としては、この手作りの腕時計と方位磁針と発煙筒、アウターリムに帰ればPCと地殻変動発電機をお披露目出来るが、科学者としての実績かは微妙だ。

 

「ああ、そんな暗い顔しないでおくれ。子供にそこまで求めんよ。そうだねぇ……ぼっちゃんの科学者としての夢とか意気込みとか、その辺を詳しく聞いてみたいな。もしかしたら、熱意に買われて投資が出るかもしれんぞ?」

 

「! ……私は、科学者になりたい。まだ究明されていない技術や法則や謎、好きなだけ研究してみたい。資金も気にする事なく、寿命が尽きるまで……」

 

「……まだ口にし足りないという顔だな?」

 

「……紅蓮さん、私は……」

 

 徐々に、本当に少しずつだが、余裕が出てきた……そうだ。私は……

 

「……いや、その前に、紅蓮さんはゴッデスをご存じですか?」

 

「ゴッデス…………そうだな、人並みには知っているぞ。そのゴッデスがどうかしたのかね?」

 

「彼女達は、志半ばで戦死したと聞いています。そして彼女達の奮戦で、今私が生きています。感謝の念に堪えません。ですが、こうも思うのです。……悔しいと」

 

「悔しい?」

 

 漫画やアニメの世界に転生となれば、誰もが考えるだろう。原作キャラの手助けをしたいと。アウターリムで過ごしていては、寧ろこちらが助けてほしかったぐらいだった。だがもしも、手を貸せるぐらいに余裕があるとしたら……!

 

「人類がアークに移住してから今まで、二回地上奪還作戦が行われたと聞いています。ですが、どちらも失敗に終わっています。それからも、人類が地上を奪還したという話は噂すら聞きません。こうしている間にも、ラプチャーは進化しているかもしれない。アークの位置がバレるのは明日かもしれないし、100年後かもしれない。ただ一つ言えるのは……ラプチャーが圧倒的に優勢な状態で時間だけが過ぎているという事です」

 

 中には、今の現状に悲観的な考えを持ち、人類が地上奪還出来る等という希望を抱いていないのかもしれない。

 

「だとしたら、ゴッデスは……ゴッデスがやった事は、ただの人類の延命でしかないのでしょうか? ……私は、地上奪還でもってそれを否定したい!」

 

 紅蓮がゴッデスだからこんな話をしているという打算はあるかもしれない。紅蓮の、ひいてはゴッデスの過去を思えば地雷を踏んでいるかもしれない。だがそれでも……

 

「ゴッデスは人類を延命させたのではなく、人類の希望を与えたんだと」

 

 ゴッデスの力になりたい。1NIKKEプレイヤーとしてのこの気持ちに、偽りはない。

 

「……もちろん、私の目指す所は科学者。実際に地上奪還に赴くのは貴女のようなニケである以上そんな大それたセリフ、胸を張って言えませんが、地上奪還の助けになりたいという気持ちに偽りはありません」

 

「……」

 

「ですがそれもままなりません。今の私は意欲以外に何もありません……投資とは言いましたが、実際の所は貴女にすり寄る形です。それがたまらなく悔しいのです」

 

 せめて生まれがアークであれば。それはそれで予算不足で喘ぎそうではあるが、前世よりはマシだろう。今の私は、何もない。何もできない。

 

「紅蓮さん、貴女がどのような目的を持って地上にいるのかは分かりません。ですが、このような危険地帯に挑んでいる以上、ラプチャーと闘争を繰り広げていると察します。そんな人達を手助けしたい。凄い武器や強いニケを作ってみせて……その前準備を貴女にさせるのは道理が通らないとは思いますが、そこを押してなんとか、投資が欲しいのです……」

 

 ……言い終わって頭を下げてから何秒経過したのだろうか。意識に留めていなかった地上を吹くそよ風は、今になって印象強い。

 

「……頭を上げておくれ」

 

 言われた通りに頭を上げた私の目には、紅蓮の人差し指と中指が映る。

 

「二つ、条件というか……約束をしてもらおう。君は、科学者というからにはこれから酒の作り方なんかも分かったりするんじゃないかね? そこでだ。私は酒が好きでな、こんな酒好きの私に、お酒を持って来てくれないか?」

 

「酒……ですか。どのような味が好みですか?」

 

「苦味のある方がいいな。まぁ、私は酒であれば何でも飲めてしまうがね」

 

「覚えておきましょう。それで……もう一つは?」

 

「生きるのを諦めないでくれ」

 

 ――その言葉は、心の奥底に、槍を突き付けられたかのような錯覚すら覚えた。

 

「今も、そしてこれからも七難八苦が君を待つだろうね。心の何処かで絶望して、死を望んでいたりしたんじゃないかね? だが、投資が欲しいという人間がそんな調子ではいかんだろう? だから、これだけは約束して欲しいんだ」

 

「そう……ですね。確かに仰る通りです」

 

「承諾した……という事でよさそうだな。ついてきなさい」

 

 向かった先は小さな小屋だった。老朽化が激しくて今にも崩れそうだったが今更この程度の恐怖には屈していられなかった。

 

「本当は仲間にくれてやるつもりだったのだがね、気が変わった。欲しい物があれば持っておいき。一度に持ち運べるだけの量のみだがね」

 

 そこそこ状態のいい工具、電子機器、数は少ないが希少資源もある。それが木箱の中に乱雑に放り込まれていた。

 

 どれもアウターリムでは到底望めないものだ。思わず涙が出てきた。

 

「ありがとう、ございます……!」

 

「それと、野菜の種だったな。一応聞いておくが、これを何処へ植えるつもりかね?」

 

「アウターリムに植えます」

 

「……? 妙な事を言うじゃないか。アウターリムに日光はあるのかね?」

 

「作ります」

 

「出来るのかね!?」

 

「出来なければ欲しがりませんよ」

 

「……君、思ったより大物かもしれんね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ここまででいいかね?」

 

「はい、十分です」

 

 その後はというと、紅蓮から物資と野菜の種を受け取った後エレベーターまでラプチャーから護衛してもらった。道中の戦闘中に残骸になったラプチャーも、ある程度持ち帰ることにした。

 

 ラプチャーの事も、調べなければならないだろう。ニケとラプチャーは、密接な関係にある事がモダニアの好感度ストーリーで示唆されている。避けては通れない道な筈だ。

 

「……あの、紅蓮さん」

 

「ん?」

 

「いつ、アウターリムから成り上がれるかは分かりませんが……いや、なるべく早く科学者として大成します。そして貴女に、おいしいお酒を届けますから……だからどうか――

 

貴女も生きるのを諦めないでください」

 

「……勿論さ。私にも、ぼっちゃんと同じように目的があるからね。それが果たされるまでは、意地でも生きてみせるさ」

 

「紅蓮さん……また、会いましょう」

 

 折角の原作キャラ、それもゴッデスメンバーとの別れとなれば名残惜しいが、酒を持ってくるという約束が果たされるならば、また会えるだろう。

 

 だから、さよならは言わない。

 

 戦利品を詰め込んだ自作のバッグを握りしめながら、エレベーターに向かった。途中、少し後ろを振り向いたが、その頃にはもう紅蓮はいなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの坊ちゃんには、少し酷な事をしたかな……」

 

「中途半端な希望は、かえって重荷になるかもしれん……だが」

 

「……しょうがないじゃないか。あのぼっちゃん、私、いや、私達の事を助けたいと、そう言っている気がしたんだ……」

 

「ちょっとだけ、賭けてみたくなってしまった。叶わぬ希望かもしれんが……ぼっちゃん、約束は果たせなくてもいいから――

 

――強く、生きておくれ」




現在公開可能な情報

ヴァルター

アドルフの父親。名前すら出ることなくナレ死する。

アドルフの事は愛していたが、それはそれとして滅多に泣かなければ、小便も糞も我慢を覚えていたり、かなり物覚えが良かったアドルフの事を若干気味が悪いと思っていた。

劣悪な環境の中採掘勤務に勤めていたが、マフィアの縄張り争いによる抗争の一環として採掘場を襲撃されて銃殺される。

28歳没
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