四大企業 アトラース   作:スキル素材年中枯渇ニキ

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一部 原作開始前 一章 ニケ制作
えっ!? アウターリム出身から成り上がりを!? できらぁっ!


 突然な話だが、私は転生者だ。前世の日本で科学者をしていた。だが日本では最新科学の研究が軽視され、中々予算が降りない。

 

 日本では限界があると悟った私は到頭アメリカで研究をすると決めた。私の論文を見たアメリカの研究所が私をスカウトしたいという話が舞い込んできた。

 

 だがそこで不幸が襲った。私が乗ったアメリカ行きの飛行機がエンジントラブルなのか、飛行機事故が発生して乗客は全員あの世行き。

 

 ……かどうかは分からない。何せ私は別の世界で前世の記憶を持ちながら転生したのだ。もしかしたら、他の乗客も私と同じように別の世界に転生したのかもしれない。

 

 しかし、私にとっての不幸は続く。転生とは言っても、異世界に行って盗賊相手にチート能力で無双してヒロインを侍らせるタイプではなかった。

 

 勝利の女神:NIKKE 転生する前にやり込んでいたゲームであり、人類が敗北している世界での転生だった。

 

 異世界転生物では、よく神が主人公を転生させたりするが、私はその神を深い憎悪を以て盛大に呪った。何故こんな絶望が支配する世界に転生させたのかと。

 

 挙句の果てに、生まれはアウターリムと来た。私の魂が入っている赤ん坊の目から零れる涙は、悲しみ故の物である気がしてならない。

 

 不幸中の幸いと言うべきか、父親と母親は優しく、立派だった。アウターリムという過酷な環境で、二人は貧しい生活をしながらも赤ん坊の私を捨てることなく育てた。

 

 ……ずっとそうなればよかったが、この過酷な世界がそうは問屋が卸さないとばかりに、父親が死亡した。マフィアの抗争に巻き込まれたらしい。私が4歳の時だ。

 

 父親が死んだと聞かされたあの時の母親、ハンナの絶望に染まった表情は今も私の頭にこびり付いていた。

 

 その間、私は何もしなかったわけではなかった。見た目は子供だが、頭脳は科学者だ。

 

 まず私は体がある程度自由に操作できる程度に仕上がった時点で、パソコンの自作を目指した。もっとも、こんな状況になってもネットサーフィンしたいとかそんな馬鹿な事は考えていない。色々用途がある。

 

 しかし子供が手に入る材料など高が知れてる。アウトローにさえ無価値と判断されたジャンクパーツ、これでパソコンの自作を目指さなくてはならなかった。

 

 それと並行して進めている研究がある。

 

 ニケだ。

 

 前世の現代で考えればとんでもないオーバーテクノロジーだ。個人的に興味がそそられるし、なによりニケの構造を把握している頭脳というのは絶対に強力な武器になる。

 

 ……いや、独白の中だけなら誰も笑うまい。中々荒唐無稽に思うだろうが、私は最終的にアウターリムでニケを製造したいと考えている。

 

 分かっている。嘲笑するに相応しい考えだ。素材、工場、中央政府の目、そして女性の脳味噌、クリアしなければならない課題は山ほどある。

 

 だが今日の飯も困る日々、約束されない明日、長生きできる確率は絶望的な物であると私の頭ははじき出した。

 

 どうせ早死にする運命ならば、無謀な賭けというのも悪くはあるまい。

 

 しかしニケの研究と言っても調べるだけでも容易な事ではない。廃棄されたニケのボディは運よく見つかったが、家とも呼称しづらい実家にこれを運び込むのも重労働だった。在り合わせの素材で作った台車にボディを載せて紐で縛って何とか持ち帰れたが、明日には筋肉痛に苦しんだ。

 

 当然そのボディは真面な状態じゃない。破損と老朽化が酷く、流石にこれをニケの基準として考えるわけにはいかない。研究は難航した。

 

 現代を生きる私にとって未知のテクノロジー、だがNIMPHに目を瞑れば人間にも理解できる代物の筈だ。私は勉強は得意なのだ。前世ではいい所の大学で首席で卒業してみせた。ニケのテクノロジーにも、追いついてみせる。

 

 

 


 

 

 

 五歳になった。

 

 色々と作業を並行したが、到頭パソコンを完成させた。素材が素材なだけに、スペックは現代を生きる人間からすれば泣けてくる有様だが、それでもないよりはマシだろう。

 

 電気の問題もぬかりない。地殻変動からエネルギーを抽出し、電気に変える発電機を作った。

 

 しかし、これらを作るためにジャンクパーツを加工する為の道具すら自作する羽目になった。何というか、アレだ。難易度をマニアックとかルナティックとかに設定したSub〇auticaをプレイしているみたいだった。私の人生を題材にしたサバイバルゲームでも作った日には、難易度が高すぎてクソゲー認定されているに違いない。

 

 だが泣き言も言っていられない。到頭真面な物が食べられなくなってきた。量の少ないパーフェクトを出して、「ごめん……これだけしか食べさせてやれなくて……」なんて言って泣きながら謝る母さんは、焼いた鼠を食べて飢えを凌いでいた。

 

 ダメだ。このままではお互い、栄養失調まであっという間だ。それに……もう母さんにごめんなんて言わせたくない。

 

 前々から、原作のキャラに縋りつくという手もあるのではないかというのは考えていた。

 

 だが懸念点が多すぎて断念せざるを得なかった。

 

 まずエキゾチックは論外。アンダーワールドクイーンも、私達と似た境遇の人間が大勢押しかけてきた事はある筈だ。そんなすり寄りにウンザリしている可能性がある。仁義を重んじる牡丹会は可能性はありそうだが、私と似た考えの人間はいた筈だ。モランが受け入れてしまいそうな所を、恐らく腹心のジンが悪い意味で対処してきた筈だ。となれば名案とは言えない。

 

 アークに助けを乞うのも時間の無駄だろう。そもそもアークの収容人数に限界があるから、アウトローは此処に押し込まれているというのもある。そもそも認識チップがないのだからよしんばアークに足を踏み入れたとしても、その瞬間射殺されてもおかしくはない。

 

 ならば地上暮らしを覚悟でピルグリムはどうか? エデンは、色んな意味で無理だろう。度を越えた弱肉強食社会は弱者を断じて許さない。科学者としての頭がある私はワンチャンあるかもしれないが、母さんは受け入れられないだろう。

 

 パイオニアも、特定の位置に拠点を置いている訳ではないので会えるか分からない。その上彼女達も余裕のある身分ではなく、守ってもらえる保証もない。恥を捨ててラプンツェルの優しさに付け込むかとも考えたが、人間2人を抱えるのではラプンツェルの旅路を危険な物にするかもしれない。

 

 クラウン王国が比較的一番安牌と言える。というか、そもそもパイオニアが私達を受け入れてくれるとしたらクラウン王国に置いておくという事になるだろう。

 

 それでも私の頭は絶望的な確率を叩き出していた。ピルグリムを頼る場合の共通する問題として、地上に出なければならない以上どうしたってラプチャーという人類にとって恐るべき脅威と枕を共にする事になる。どれだけ準備に努力しても、一週間生きられれば万々歳だ。たった一週間でピルグリムを見つける? 中央政府だって彼女達の動向を追うのに悪戦苦闘しているというのに?

 

 やはり、頼れるのは自分だけらしい。

 

 母さんの目を盗んで、地上に行くことにした。

 

 ピルグリムに会うのが目的ではない。何でもいい。木の実の種でも、キノコでも、栽培できる食材があればそれを確保するつもりでいた。ついでに使えそうな物があれば何でも。

 

 地上に上がるためのエレベーターを使う当ては一応ある。地上を往来するコレクターに何度か機械や電子機器を修理する見返りに、エレベーターを使う際にはその時だけ同行させてもらうという取引を行った。彼らからすれば、タダ同然で修理してもらえる上に見返りは物ではなくエレベーターを使わせてくれというだけのもの。悪い取引ではない筈だ。

 

 そうして迎えた地上探索、一秒でも帰りが遅れたら置き去りにしてかまわないと言ってしまった以上、時間は無駄に出来ない。

 

 自作した腕時計と方位磁針と、ラプチャーを引き付ける為の数本の発煙筒。あまりにも頼りない装備だが、背に腹は代えられない。

 

 

 

 ……なんて楽観視した自分を呪った。成人男性よりも大きく劣る体力、数本しかない発煙筒は早々に残り一本になってしまった。それでも真面な食べ物も見つけられずに、ラプチャーに捕捉されてしまった。

 

 ……なんて馬鹿で無駄な人生だったんだ。ラプチャーの武装から今にもエネルギー弾が飛んでくる。涙が出てくる。結局私は、科学者として何一つ満足に研究も出来なかった。前世でも今世でも。あの飛行機さえ墜落していなければ……そう考えると、運命が私に研究する権利を許さないとまで言っているのかとさえ思えてきた。

 

 一体私が何をしたと言うんだ? ただ私は、知りたいことを究明したいだけだったのに……

 

 全てが無価値に思えてきた。前世の記憶、学んできた科学、今まで出会ってきた人達との思い出、私の人生は全て無駄だった!!

 

 神様、もしも実在するのであれば、もう私は転生を望まない! 全て無駄だったんだ……貴方が私に科学の探求を許さないというのであれば、もう私は生きていく理由がない!

 

 頼む……一思いに……死なせてくれ……

 

 

 

 

「危ないなぁぼっちゃん、お散歩するには地上はまだ危険ではないかね?」

 

 

 

 

 ……原作で何度か聞いたことがある声がした途端、ラプチャーが次々と破壊されていく。それも普通の壊れ方ではない。まるで切り裂かれたかのようだ。カッターで切断されたかの様に奇麗な断面が出来上がっている。

 

 いや、実際に切り裂かれたのだろう。

 

「長い事地上暮らしをしてきたが、地上で子供を見るのは初めてだねぇ。ぼっちゃん、もしかしてさっきから見えた発煙筒は君かね?」

 

 遠距離攻撃がデフォルトになった戦場で、刃物でラプチャーを切り裂く。そんな芸当が出来る者を、原作を知っている私は一人だけ心当たりがあった。

 

 神様は、私にもう少しチャンスをくれるらしい。

 

 それも、ただの神様ではない。

 

 

 

 人類に勝利を齎す希望、勝利の女神だ。




現在公開可能な情報

アドルフ

元々は日本で生まれた人間で科学者だったが、飛行機の事故で死んだ後NIKKEの世界に転生する。

幅広く勉学に勤しみ、優秀な成績を収めるものの、彼の知識が活かされることはなかった。彼の研究に予算が追い付かず、歯噛みする毎日を送っていた。

エレグに釣られてNIKKEを始める。日々のストレスを解消するかのように滅茶苦茶な課金を行い、ストーリーは34章まで進めている。SECRET GARDENのイベントストーリーを見終わった後、事故で死亡。
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