政府が外国人労働者の受け入れ拡大に向けた取り組みを加速させている。少子化による働き手不足の解消につなげる狙いがあり、経済界も歓迎する。半世紀後には人口の1割を外国人が占めるという試算もある。ただ、永住する外国人が増え続ければ事実上の「移民政策」になりかねないとの懸念も自民党内で渦巻く。目指す国家像についての議論は乏しい。
「人口減少に対し、社会が適合する動きを並行して進めていかないと不都合が生じる。外国人と共生する社会を考えていかなければならない」
岸田文雄首相は7月22日、東京都内の会合でこう述べた。その一つが6月9日に閣議決定した、熟練外国人労働者として永住や家族帯同が認められる在留資格「特定技能2号」の受け入れ対象の拡大だ。
特定技能2号は安倍晋三政権で建設、造船・舶用工業の2分野を対象に導入した。その後も労働力不足に悩む経済界から拡大を要望されており、岸田政権で新たに1次産業やサービス業などを追加し、計11分野で長期雇用の道を広げた。
外国人留学生の就職先も広げ、日本国内就職率を平成30年度の48%から令和15年までに6割に引き上げたい考えだ。賃金の不払いや実習生の失踪などの問題が相次いでいた技能実習制度は廃止し、新たな制度を創設する方向で検討が進む。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した日本の将来推計人口は、2年時点で2・2%だった外国人の割合が、52年には10・8%に高まるとの見通しを示した。
自民党内の保守派を中心に受け入れ拡大に対して否定的な意見は根強い。ただ、労働力不足が深刻な地方からは「物理的に足りない。『移民法』の制定を強く主張したい」(石川県の馳浩知事)という声も上がる。首相周辺は「首相は移民解禁に踏み切るつもりはないが、外国人労働者がいなければ日本経済は持たないという危機感を持っている」と語る。(竹之内秀介)
経済界、進む外国人労働力頼り「外せない戦力」…政府の受け入れ政策を歓迎