人工知能(AI)需要に伴ってデータセンター(DC)市場が急拡大している。DCとは、AIの学習や推論、クラウドサービスの利用時に送受信されるデータを保存し処理する施設だ。その一方でDCは莫大な電力を消費し、電力需給にひずみが生まれている。
国内企業からハイパースケーラー(大手クラウド事業者)まで、幅広い事業者のデータセンター(DC)が集積する、「DC銀座」千葉県印西市。この地にDCが多数集まるようになったのは、いくつかの理由がある。地盤が強固な北総台地に広がる用地、そして都心から30~40キロメートルというアクセスの良さ。だがそれだけではない。実は、地下に秘められた巨大なトンネルの存在がある。
距離にして10.1キロメートル。太いケーブルが複数横たわるこのトンネルは、東京電力ホールディングス傘下の送配電事業者、東京電力パワーグリッド(東電PG)が275キロボルト(kV)もの超高圧電流を送るために設けたものだ。2024年6月に稼働を始めた。
近年、印西市には「ハイパースケールDC」と呼ばれる巨大なDCが集積している。これは、一般的に5000台以上のサーバーを収容するような大規模なDCを指す。米グーグルなど外資ハイパースケーラーが運営し、市場をけん引している。
こうした大規模なDCにとって、何よりも重要なのは電力の確保だ。AIのデータ処理に使う画像処理半導体(GPU)などは、「電力(を大量に消費する)モンスターマシン」(DC事業者)とも言われている。
海外のDC事業者は数年前から印西市に興味を持っていたものの、当初は十分電力が供給されるかという不安から、進出に二の足を踏んでいたという。
印西市に多くの電力ニーズがあることを感じた東電PGは、電力供給のために新京葉変電所(千葉県船橋市)と千葉印西変電所(千葉県印西市)を結ぶ地下トンネルを建設する計画を打ち立てた。この計画を示した後、多くのDC事業者が続々と印西市に集まることになったという。
一般的には掘削するシールドマシンは1~2台使うが、このプロジェクトでは異例の4台を駆使。急増する需要に応えるべく、計画から竣工までわずか2年間と、通常の半分ほどの工期で仕上げた。
電力の供給地と消費地に大きなギャップ
異例のトンネル工事が後押しした「DC銀座」の誕生。だが最近の市場膨張に伴う電力需要の急増は、電力会社にとって経験したことがないレベルに達しているようだ。
「半端ではない電力需要だ。我々自身が本当に驚いている」。印西市を含む関東圏を管内とする東電PGの岡本浩副社長は、あぜんとした表情を見せる。
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