生成AI(人工知能)のブームによってデータセンターの電力消費量が急増しており、4年で倍増するとの試算もある。電力不足リスクは既に顕在化しており、米国では石炭火力発電所の閉鎖を撤回するといった、脱炭素に逆行する動きも起こっている。「水」、「銅」に続き、第3回は生成AIブームによる電力不足を取り上げる。
2024年1月、国際エネルギー機関(IEA)は衝撃的な試算を発表した。生成AIの利用拡大を背景として、2026年に世界のデータセンターやAI、仮想通貨などによる電力消費量が2022年比で最大で2.3倍程度に膨れ上がるという。
IEAの推計では、米OpenAI(オープンAI)のChatGPTが1回のクエリーに回答する消費電力量は2.9ワット時で、グーグル検索の約10倍に相当する。AIによる膨大な計算量を支えるためにデータセンターの消費電力量が急増し、2022年に約460テラワット時だった消費電力量が2026年に620~1050テラワット時に達するとした。1000テラワット時は日本国内の年間消費電力に匹敵する規模だ。
米国ではデータセンターの建設ラッシュが続く。米商業不動産サービス大手のCBREは2024年8月19日、2024年1~6月期のデータセンター市場の調査結果を発表。北米市場で建設中のデータセンターは前年同期と比較して69%増え、電力供給量は同24%増加した。データセンター用地の選定では、電力供給能力が最重要視されていると分析した。
データセンター数の増加に加えて、規模の拡大もトレンドだ。米独立系電力会社のTalen Energy(タレン・エナジー)は2024年3月、同社が米ペンシルベニア州に所有するデータセンター「キュムラス・データ」を米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)に6億5000万ドル(約940億円)で売却したと発表した。
キュムラスは、隣接する敷地でタレンが操業するサスケハナ原子力発電所(出力容量約1.3ギガワットの原子炉が2基)から直接、電力供給を受けるデータセンターだ。タレンによれば、原発から直接的に電力供給を受けるデータセンターは米国初となる。2023年に完成した。
タレンの投資家向け説明資料によれば、AWSとタレンは10年間の電力購入契約(PPA)を結んだ。毎年120メガワットずつ電力供給を増やす契約となっており、AWSは最終的にデータセンターを消費電力960メガワットまで拡張する計画だ。つまり約1ギガワットのデータセンターが誕生することになる。