10月、教員らがクマを警戒するなか、授業の一環でサツマイモ掘りを実現。しかし休み時間に校庭で遊ぶことは中止しているそうです。中村校長は子どもたちの育ちへの影響を懸念します。
「まるでコロナ禍のような制限になっています。昼休みは体育館で遊んだり、楽器を演奏したりして過ごしていますが、外で遊べない日が続くとなると、子どもたちの体力不足が心配です。小学生には授業でも外での活動が欠かせません。例えば理科では時間をかけて太陽の動きや影の動きを観察したり、植物の育ち方を観察したりする経験も必要です」
中村校長は休みの日の過ごし方も懸念します。
「学校だけでなく、休みの日も外で自由に遊ぶことができないのです。こういう状態が今後も続くと、子どもたちのメンタル面も心配です」
桜も伐採すべき? 冬眠の間に学校がすべき対策とは
全国で出没するいま、学校現場の対策が求められています。ツキノワグマの生態に詳しい東京農工大学大学院教授・小池伸介さん(生態学)は、この先クマが冬眠している間に、学校周辺の環境を整えることが重要だと言います。
「冬眠して安堵するだけでなく、冬の間に電気柵を張ったり、柿や栗、ドングリの木を伐採したりすることも大事です。じつは学校に多い桜の木も要注意です。夏に桜の小さな実を食べにくる。人間が食べないものも誘因している可能性があるので、なぜ出没したのかをたどって、環境を整えておく必要があります」
また、通常の学校での避難訓練のように、子どもたちも巻き込んだ“クマ対策訓練“が必要だと訴えます。
「これも災害です。平時からクマに関する授業を実施し、子どもにクマ被害に遭わないためにはどうすればよいか、対策を伝えておく必要があります。今年学区内にクマが出没した学校は、ぜひ取り組んでいってほしい。子どもが正しい知識を持つことは大事なのです」
もう一つ、学校現場が知識を蓄えておく必要があるのが、「クマ撃退スプレー」の使い方です。クマ出没地域の学校に教育委員会から配備されていることが多いですが、いざというときに学校職員が使えるよう、正しい使い方の知識と訓練が必要だと小池さんは言います。
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